先日数十年ぶりに夏目漱石の『門』を読み返していたら、「あ、そうか」と気付いたことがありました。ご存じのように漱石には前期三部作(『三四郎』『それから』『門』)、後期三部作(『彼岸過迄』『行人』『こころ』)と呼ばれる作品群があります。『門』は前期三部作の締めとなる作品で、発表されたのは日本が韓国を併合した1910(明治43)年。その中にこんな一節がありました。《「神戸へ参ったのも、全くその方の用向なので。石油発動機とか何とか云うものを鰹船へ据え付けるんだとかってねあなた」》
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