2019年9月の「水産振興ONLINE」開設以来,『水産振興』は印刷冊子およびウェブ版で皆様にご愛読いただいてまいりましたが,第635号の刊行を以て印刷冊子は終了し,第636号以降はウェブ版のみの公開とさせていただきます.つきましては,今後,新刊情報を電子メールでお知らせしてまいりますので,「メール配信登録」よりご登録いただき,引き続き「水産振興ONLINE」で『水産振興』をご覧ください.
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次のスライドは、先ほどエンゲル係数との関係で説明した総務省「家計調査」の「食料」の支出金額に関して、いわゆる生鮮三品、家計調査のカテゴリーでは生鮮食品4グループ(魚介類、肉類、野菜・海藻、果物)に絞り込み、それらの割合をグラフ化したものです。左側の円グラフが1990年で、右側の円グラフが2023年のデータです。
つづきを読む2023年8月24日、東京電力福島第一原子力発電所の構内からALPS処理水が海に希釈処理の上排水された。ALPS処理水は、原子炉建屋に流入する地下水が東日本大震災後に起こった事故により発生した燃料デブリに触れて放射能汚染水となったものをALPSにより放射性物質を除去したものである。トリチウムだけが除去できないが、十分に希釈すれば排水をしても生態系や人間の人体に対する影響はほぼないということから、政府が放水をするとした。
つづきを読む戦後の日本の水産物消費は大きく変化した。漁獲や水産物の輸出入、国民の所得金額の変化によるものだけでなく、近年では家族構成や働き方の変化、すなわち共働きあるいは単身世帯が増えたことの影響が強い。このような変化はさらに進行しそうであり、今後、家庭内での時短調理や持ち帰り総菜等の工夫が行われることが予想される。
つづきを読む2月15日に北見市の温根湯温泉で開かれた北海道漁業士会オホーツク太平洋会議に参加してきました。この会議は、北海道の東半分の漁業士が年に1度集まる会議です。水産庁勤務時代、同僚の加藤久雄さん(現遠まき組合長)に誘われてこの会議に参加するようになり、以後、様々なインスピレーションを与えてくれた私の定点観測地点の一つです。出発までに気になる記事がいくつかありました。一つは1月15日に札幌で開かれた北海道漁業士会研修大会の様子を伝える記事です。
つづきを読む続いて、「(4)全国中央卸売市場における豊洲市場」という話題に移ります。まずこのスライドは、豊洲市場の水産物取扱高(数量・金額)を世界の主要な水産物の卸売市場と比較したグラフです。これは東京都のデータから作成したもので、卸売業者協会が出している豊洲市場の案内パンフレットにも同様のグラフが掲載されています。世界の主要市場としてパリのランジス市場、スペインのメルカマドリッド、ロンドンのビリングスゲート魚市場などと比べていますが、やはり豊洲市場の取扱高の大きさが際立っています(図1)。
つづきを読むうみ・ひと・くらしネットワークは、漁業に関わるたくさんの女性たちに出会ってきました。一方で、今、少しずつ農業の方にもネットワークを広げているところです。そこで今回は、2024年に発刊された『大阪の農と食を支える女性たち』から3つの事例を転載しながら、農業の女性の活動から、100年後の農山漁村をみつめる際のヒントを得てみたいと思います。
つづきを読むサンマは北西太平洋を中心に北太平洋に広く分布し、秋刀魚の名が示すとおり、秋を代表する味覚の1つとして我われ日本人に親しまれてきた。戦後、さんま棒受網漁業が発達し、時に落ち込むことがあっても比較的安定した漁獲と水揚を続けてきた。しかし、近年水揚量が減少し、特に最近数年間はこれまでに例のない不漁となっている。
つづきを読むベンナーズは、「サステナブルな水産インフラを構築していくことで、世界の水産業界にとって最も必要とされる会社を創造すること」をビジョンに掲げ、未利用魚に新たな価値を見出す事業を展開しています。少量しか獲れない、加工が難しい、味にクセがある等の理由で活用されることのなかった魚を独自の技術で商品化しています。
つづきを読む私の専門は生態学です。主な研究対象は沿岸・汽水域のベントス(底生生物)ですのでマガキには多少馴染みがあり、東日本大震災の後には、岩手県沿岸のマガキ養殖に関する調査・研究も行ってきました。また、アマモなどの海草については、岩手県大槌湾やタイ国南部での共同研究に参画し、2004年12月のスマトラ島沖地震で発生した津波がタイ南部の海草藻場に与えた影響評価と回復についての調査にも参加しました。
つづきを読む前回はブルーファンドの組成までや、その仕組みについて解説しましたが、今回は、実際に投資先がどのような事業をしているのか、フィッシャーマン・ジャパンはどのように伴走していくかについてお話していきます。株式会社REMAREは、「燃やさず、埋め立てず、プラスチックを社会に貯蔵する」をミッションに掲げ、海洋プラスチックごみをはじめとする複合廃棄プラスチックの課題解決を目指して設立された企業です。
つづきを読む夏目金之助が生まれた1867(慶応3)年といえば王政復古の年です。翌年に鳥羽伏見の戦いが勃発し、明治政府が発足。そして亡くなったのが1916(大正5)年ですから、漱石は近代日本とともに誕生し、明治期をフルに生きた文豪といえるでしょう。八雲が来日したころの日本はというと、前年に東京—神戸間の鉄道が開通し、大日本帝国憲法発布。
つづきを読む旧日韓漁業協定の終了通告がなされた1998年1月23日の直後の25日、寒い日曜日、戦後の漁業制度改革に直接携わった先輩たちからお話を伺う機会を得ました。場所は大手町の全漁連の一室。戦後の漁業制度改革からTAC法までの通達類をまとめた「漁業制度例規集」(大成出版)を編集した水産庁職員が、日々の業務や本の編集過程で様々な疑問、問題意識を持つ中で、当時、水産経営技術研究所所長であった水産庁の先輩、赤井雄次さんのお計らいによるものでした。
つづきを読むラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は1897(明治30)年8月に初めて焼津を訪れてから1904(明治37)年9月に亡くなるまでの8年間で、計6回の夏を過ごしています。岸からすぐ深くなり波も荒い海水浴に向かない海岸でしたが、水泳が得意だった八雲はこの海をとても気に入りました。
つづきを読む2023年10月に始まったこの連載も今回が最終回となりました。この連載の目的は、わが国周辺での地球温暖化の影響が顕在化し、わが国社会の少子・高齢化と人口減少が進む一方、水産業のスマート化が進められるなかで、流通・消費を含めて水産資源の持続可能で安定的な利用をいかに図るかについて、多面的に考えてみることでした。
つづきを読む東京水産振興会の理事をしている長谷です.2019年の夏まで水産庁におりました.水産庁在職時のことですが,水研の中村智幸さんに内水面関係の調査事業の予算化について相談されたときに,残念ながら水産庁ではなかなか難しいと思い,旧知の東京水産振興会渥美会長にお願いして振興会での一連の内水面関係の事業が始まったという経緯があります.そういう意味で私は内水面と振興会の仲人役だったと自負していますので,今日はご縁を感じますし,このような形で参加できて嬉しく思っております.
つづきを読む豊洲市場の歴史的な移転事業の最後を飾る施設として,6街区の場外に待望の賑わい施設「豊洲 千客万来」が2月1日に開業した.開場から丸5年遅れ,客入りを懸念する声もあったものの,オープン1か月以上を経ても平日を含め大勢の人が押し寄せている.場外市場に期待された活気や賑わいづくりの役割をここまでは十二分に果たしている.
本連載の番外編に登場するのは,事業者の万葉倶楽部(株) で新規開発事業を担当する高橋眞己副社長 (62).
ラスパルマスとは,アフリカ沿岸に位置し,7つの島から成るカナリア諸島のひとつであるグランカナリア島の県都だ.年間を通して温暖な気候が特徴で,島の中に砂漠地帯がある程カラっとしている.のんびり過ごせるビーチがあったり,味わい深い建物を眺めながら石畳を散策できたり,美味しいスペイン料理が味わえたりと,魅力あふれるリゾート地として人気だ.サハラ砂漠で有名なモロッコの近くなのだがスペイン領であることから,ヨーロッパ各地からの観光客が多い.アジア圏から遠く離れるため,アジア人の姿がかなり少ないのも特徴の1つである.
つづきを読む海遊館を辞め,フリーで活動をしていたころ先輩からのお声がけで,夏休み期間に地方都市のデパートの催事場などで行う移動水族館の現場管理を数シーズン任されたことがある.それが毎回心身ともに疲れはててしまうのだ.毎回,開催中にいくつかの水槽が,魚病によって魚が全滅という悲惨な状態になってしまうこともあるのだ.そんな悲惨なことにならないように毎日毎日水槽の管理に気を使いすぎ,移動水族館の最終日が近づくころには心身共にくたくたになる.
つづきを読む北日本の日本海沿岸で獲れるハタハタは,スズキ目ハタハタ科の魚で,通常は水深250メートル前後の深海底に棲息し,冬型の低気圧が強まり,時化によって海水が攪拌され沿岸水温が低下すると,水深2~3メートルの藻場に産卵のためにやってくる.漢字では「鰰」「鱩」「神魚」「雷魚」「神成魚」「波太多雷魚」「佐竹魚」などと表現される.ハタハタの塩漬けや干物は正月用の食べ物となり,「鰰」の文字には,ハタハタがなければ正月が迎えられないといった気持ちが込められているのだろう.
つづきを読む東京・豊洲市場は世界一の水産市場として注目度が段違いなだけに,場内やその周辺は,業界関係者らにピンポイントで訴えかけるイベント開催地として魅力ある場所といえる.とはいえ,都が開設する公設市場で公的スペースである場内と,民間事業者の管理する場外とでは,できることが異なる.最終回となる「豊洲市場活用マニュアル」では,イベントを開きたい行政・団体向けに留意する点を取りまとめた.
つづきを読む下間帆乃(ほの),1999年秋田県生まれ.秋田県立男鹿海洋高等学校海洋科を卒業,豊洲市場にある冷蔵冷凍保管事業を主とする株式会社ホウスイに入社して6年になる.
つづきを読む洋上風力発電については,2018年12月に成立した再エネ海域利用法に基づき検討が本格化し,21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画における2030年までに10GWの案件形成をという目標に対し,これまでに秋田県,新潟県,千葉県,長崎県において約3.5GWの案件がまとまってきました.
つづきを読むコラムも最後の連載となりました.この最終回まで全15回,行政,研究者,漁業者,企業など多方面から寄稿していただいたおかげで,いまや不可避となった温暖化対策について,海辺ではどのようにブルーカーボンを展開していけるか,展開していく上での問題点は何か,包括的に考えることができました.本コラム全体の内容をまとめると,行政では,各省庁が脱炭素社会の構築にむけて,ブルーカーボン吸収源の制度化と海藻バイオマス活用の推進を目指していました.それを受けて,地方自治体が浜と一緒になって運用試験を開始していました.浜でも,漁業者が独自に取り組んできた藻場再生や磯焼け対策に加えて,気候変動対策という大きな目標をやりがいに変えて,よりいっそう活動を発展させようとする気概を感じることができました.このような動きに企業が賛同し,自社の社会への責任だけでなく,地球環境と人間社会の持続可能性を向上させるべく,熱意をもってSDGsの達成や気候変動対策に取り組む姿を垣間見ることができました.
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