豊洲市場と本格的に付き合おうと検討しているなら、水産物が現場でどう扱われているのか直接確認しておきたい。「百聞は一見にしかず」で、百の説明より、一度の見学だろう。場内は業務エリアと一般エリアが分離し、一般エリアの通路から自由見学可能。ただ、それとは別にもう少し踏み込んだエリアに立ち入れる団体・業者向け視察も受け入れている。申し込みルートを整理した。
荷主なら卸、買出人は仲卸
行政視察と社会科見学
豊洲市場を開設する東京都では、行政視察と小・中学校の社会科見学を受け入れている。
行政視察は中央省庁や都道府県・市町村などの地方公共団体だけでなく、それに関連する団体、在日大使館などを通じた、訪日した要人の視察などもこれに該当する。
都職員による案内は、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟のほか、視察者の要望を踏まえ、関連事業者のエリアや屋上緑化広場、青果棟など場内を幅広くカバーしている。
小・中学校の社会科見学(修学旅行含む)の場合は、豊洲市場管理課(電話03―3520―8213)に電話予約後、ファクス(03―3520―8228)で市場見学申請書を提出すると都職員による施設案内が付く。見学者用駐車場はないが、見学目的の団体客を乗せた観光バスは市場と同じ江東区豊洲6丁目に事前予約承認制の「観光バス一時乗降場所」を用意している。
荷主に限ってセリ場も
水産卸7社(大都魚類(株)、中央魚類(株)、東都水産(株)、築地魚市場(株)、第一水産(株)、丸千千代田水産(株)、綜合食品(株))に関しては主に、市場出荷している荷主(水産会社、県漁連、漁協など)の視察を受け入れている。都が官中心とすれば水産卸は民中心。
卸7社が独自に見学者用カードと帽子を用意している。卸売場は鮮魚などの取引の場なので、業務に支障がないよう原則一組10人までとなっている。水産卸売場棟1階「マグロ卸売場見学者デッキ」で、一般見学者の事前申し込み・抽選当選者とシェアしつつ、活気のあるマグロセリの様子などを間近で見学できる。
豊洲市場では食品テロなどへのセキュリティーレベルが上がっているため、取引が行われる卸売場までは関係者といえど原則、立ち入りができないようになっている。ただ、売場に並ぶ水産物を出荷した荷主なら、水産卸担当者の付き添いがあれば該当の卸売場に降りることが特別に可能だ。
体験会も不定期に開催
水産仲卸460社でつくる東卸では、組合員からの「マグロ卸売場見学者デッキ」の入場申請を受け付けている。組合員の直接の取引先に限り、3営業日前に申請書を総務部広報文化課に提出すれば、見学人数分の見学者カードが貸与される。
午前5時~9時は定員上限60人、一事業所につき5人までに制限している。見学する場合には必ず、仲卸従事者による引率・随行が必要となる。直近の事業報告書によると、2022年度は年間通じて全部で44組の利用があった。
東卸ではこのほか、自由見学エリア以外に水産仲卸売場に立ち入れる取り組みとして、地元・江東区民向け「豊洲市場水産仲卸売場体験会」などを適宜実施しており、10月7日には開場5周年記念を銘打って都民向けの親子「水産仲卸売場体験会」を行う準備を進めている。
(第9回へつづく)