水産振興ONLINE

水産の今を読む、明日を知る

(一財) 東京水産振興会は水産に関する知識・情報の普及啓発のため1967年より「水産振興」という冊子を刊行し、2019年からは当サイト・水産振興ONLINEにて公開しています。新刊情報を電子メールでお知らせする「メール配信登録」もぜひご利用ください。

2025年10月14日

変わる海の環境 —世界の動き、日本の動き—

第3回

ブルーカーボン

古川 恵太
海辺つくり研究会 / 東京水産振興会

今回「変わる海の環境」の第3回目の記事として取り上げるのは「ブルーカーボン」です。プルーカーボンは地球温暖化への対応の切り札として注目されています。ブルーカーボンとは、国連環境計画(UNEP)が2009年に発表した “BLUE CARBON” という報告書で、マングローブ林や湿地、海草などの沿岸生態系が吸収・固定している炭素量が地球上の有機炭素の55%に上ることから、これをブルーカーボンと名付け、陸上の森林や土地に吸収されるグリーンカーボンや、工業活動により排出されるブラウンカーボン、その粉体として排出されるブラックカーボンなど共に炭素循環の管理、ひいては気候変動の緩和策としての炭素吸収・貯留の方策として命名されました。

2025年10月14日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第6回

漁業者参加の新たな水産資源調査のあり方

渡慶次 力
福井県立大学

水産資源を持続的に利用するためには、天然で自然に増えた量と漁獲量のバランスをとることが大事なポイントである。しかしながら、多数の者が利用できる共有資源が乱獲されることによって、資源の枯渇を招いてしまう共有地の悲劇が古くから知られており、漁業は共有地の悲劇になりやすいと言われている。

2025年10月7日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第7回

秋田の漁業 (下) “面倒くさい” が大切

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

前回の秋田県で行ったヒアリングを、同じように石川県で行うとどうなるか。おそらく、おのおのができていることは皆が「できている」と言い、課題として認識していることは皆が「問題点」と言うだろう。関係者間で認識に齟齬は生まれないと思う。秋田県の問題は、お互いに「こう言われていますよ」と伝えると、みんな「それは違う」と言うこと。

2025年10月1日

進む温暖化と水産業

第49回

コンブの生産を存続させる方策

吾妻 行雄
東北大学名誉教授

海の温暖化により、日本を含む世界の温帯域で、海底に生育する天然のコンブの仲間が低緯度(北半球は南限域、南半球は北限域)から消失している。北海道大学北方圏フィールド科学センター厚岸臨海実験所の研究では、東北太平洋から北海道南部のマコンブ、北海道日本海南西部のホソメコンブ、太平洋東部(道東)のナガコンブが2040年代に消失すると予測している。

2025年9月30日

全国漁師名鑑

第1回

漁師名鑑001 第十八瑛悠丸 高松亮輔(北海道)「波の向こうに、明日を見る人」

津田 祐樹
フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング

北海道の日本海に浮かぶ小さな離島・焼尻島(やぎしりとう)。ここで20年以上、一本釣りを中心に漁を続けてきたのが高松亮輔さん(40歳)です。マグロやヒラメ、ミズタコやヤリイカなど季節ごとに変わる魚を相手に、海と向き合い続けてきました。しかしいま、彼が直面しているのは温暖化による海の変化、そして漁業を取り巻く制度的な問題です。現場のリアルな声を聞きながら、未来の水産業について考えていきます。

2025年9月23日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第5回

未利用魚が生じるメカニズムとその対策

八木 信行
東京大学大学院農学生命科学研究科

近年、日本では水産物消費市場と生産地の間でミスマッチが広がっている。マグロやウナギなどの人気魚は消費が過熱し、地球規模で資源の過剰な利用が問題となっている。その一方で不人気魚は買い手がつかず港で投棄される例が最近増えているように見える。人気魚と不人気魚の差が乖離するトレンドが存在していることは明らかである。なぜこのような状況が発生しているのだろうか。

2025年9月23日

変わる海の環境 —世界の動き、日本の動き—

第2回

持続可能な開発をめざして

古川 恵太
海辺つくり研究会 / 東京水産振興会

さて、新シリーズ「変わる海の環境」の第2回目の記事として取り上げるのは、国際的な目標設定(グローバル・アジェンダ)の基盤となる「持続可能な開発」と「衡平」です。「持続可能な開発」は、前回にも簡単に紹介した通り、1992年にブラジルのリオで開催された「国連環境開発会議 (UNCED)」において、世界規模での問題解決のための国際行動を導く規範として、明記された言葉であります。この言葉の源流を、2018年に行われた世界法学会での議論や、海洋法における「持続可能な開発」概念の研究をされてきた本田悠介氏の論説などを参考にたどってみましょう。

2025年9月9日

私たちが見つめるのは100年後の農山漁村

第14回

重茂に飛び込み地域づくり—私自身が観光資源になる— 岩手県宮古市重茂 中村菜摘さん

関 いずみ
うみ・ひと・くらしネットワーク

大学時代、本州最西端のまちで地域おこしの活動にはまり、現在は本州最東端の岩手県宮古市重茂で漁師の妻となり、漁業に従事しながら地域おこし協力隊として観光振興にも関わる中村菜摘さん。今回は、ギラギラと地域おこしに奮闘する菜摘さんのお話をお聞きしました。

2025年9月9日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第6回

秋田の漁業 (上) 水産秋田はバラバラ

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

秋田県の漁業の現状と問題点を事前に県の水産漁港課に聞くと、8項目が挙がってきた。そのうち4点は石川県の港でも起きているが、問題にはなっていないことだった。4点とは、小規模の個人経営体が多い、セリ・入札が夕方、浜の仲買人や加工業者が少ない、だ。

2025年8月25日

進む温暖化と水産業

第48回

ルポ 町を支え育つ “芽”(愛媛・愛南町㊦) 地理的ハンディ克服する人の輪

中島 雅樹
水産経済新聞社

職員「一緒に取材を受けたけど、もう組合長が9割方話しちゃって、私の出番なし!」組合長「何を言うとるんじゃ! お前もしゃべらんか~(笑い)」愛南漁協の立花弘樹組合長と職員の会話の再現だ。活字だけ追えば荒っぽい言葉の応酬に聞こえるが、笑顔の掛け合いは周りを笑いに誘い、不快感はみじんもない。それどころか、2人が醸し出す空気からは互いの信頼の強さを感じる。

2025年8月20日

進む温暖化と水産業

第47回

ルポ 町を支え育つ “芽”(愛媛・愛南町㊤) 意欲もつ人材が原点

中島 雅樹
水産経済新聞社

養殖マダイの出荷場で、黒いバケツ風容器がオーバル型の装置の上でテンポよく回っている。ついさっきまでイケスを泳いでいたマダイを1尾ずつ黒容器に投入するとマダイの重さが自動計測され、サイズごとに魚を選別していく。この自動マダイ選別装置について、安高水産 (有) の安岡高身社長は、「生きたままのマダイをサイズ別で選別できる装置は世界でもここの2台だけ」と話してくれた。

2025年8月15日

水産物流通のこれから~流通現場からのアプローチ~

第10回

生鮮水産物のマーケティングとその特性

浦和 栄助
東京都水産物卸売業者協会

これが最後のテーマとなりますが、「ⅣⅣ 生鮮水産物のマーケティングとその特性」ということで、生鮮水産物の販売という点からどのような特性があるのか?特に鮮魚ってどんな食材なの?ということを、水産品(主として鮮魚)のマーケティングとして、次のスライドにまとめました。まず①の商品特性ですが、鮮魚をはじめ生鮮食品は「最寄品」であるということです。

2025年8月5日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第5回

流通 (下) 仲買・市場は敵じゃない

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

皆さんは魚が高いか安いかで日々一喜一憂していると思うが、それは何に比べて言っているのだろうか。ここで1つ問題。キロ1,000円が高くてその魚がキロ400円になれば安いのか。キロ1,000円で喜んでいた時、実は全国の相場的にはキロ1,500円取れてもおかしくなかったかもしれない。逆にキロ400円を安いと怒り狂っていた時、実は全国的にキロ300円取れればいい方で、仲買が注文を取ってきてくれて相場以上が付いていたことに気づかなかったのかもしれない。

2025年8月5日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第4回

洋上ブロードバンド時代とスマート水産業

斎藤 克弥
漁業情報サービスセンター

漁船とインターネットは長らく良い関係を築けていませんでした。養殖施設があるようなごく沿岸であれば陸上の基地局と通信が可能ですが、数マイルも沖に出ると途端に通信圏外になるため、どうしても通信衛星を使う必要があります。一方、通信衛星の開発や打ち上げ費用は高額で、陸上と比較して利用者も少ないので、衛星を含めた沖合向けの通信キャリアの新規構築には投資リスクがあります。

2025年7月22日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第3回

日本における陸上養殖の現状

生田 和正
水産研究・教育機構

近年、水産関連ではない大企業が陸上養殖技術を用いた水産物の生産事業に参入する事例が急増しており、水産業のあり方が大きく変わる可能性が示されている。陸上養殖とは、その名の通り海面や内水面等の自然水面を利用することなく、陸上に設置された水槽や施設等で魚介類を育成する養殖手法で、これまでもニジマスやコイ、ウナギなどの淡水養殖やヒラメやクルマエビなどの海水養殖で行われてきた。

2025年7月22日

私たちが見つめるのは100年後の農山漁村

第13回

僕が変える、漁師のイメージ。僕がつくる、ここでしか味わえない食。 鹿児島県阿久根市 野村耕二郎さん

副島 久実
うみ・ひと・くらしネットワーク

鹿児島県阿久根市の漁業を支える存在として知られる「有限会社 海盛水産」。ここの定置網(つぼ網)部門を切り盛りするのが野村耕二郎さんだ。漁師一家に生まれ育った耕二郎さんは、幼い頃から海を相手に生きる家族の姿を間近で見て育ち、自然と漁業の世界に魅せられてきた。

2025年7月15日

水産物流通のこれから~流通現場からのアプローチ~

第9回

漁獲量・流通・消費について(その4)

浦和 栄助
東京都水産物卸売業者協会

C-2にはいろいろな魚介類のグループが該当しますが、まず貝類について説明します。図1は貝類全体のデータです。個別の品目では、「あさり」「しじみ」「ほたて」「牡蠣」のデータをまとめていて、ここでは「あさり」と「ほたて」のデータも示します。貝類の国内供給動向についてはまず近年、アサリの国内漁獲量が大幅に減少していますし、シジミも減っています。一方、ホタテガイの生産量は50万トン程度で安定しており、海外に盛んに輸出されています。

2025年7月8日

変わる海の環境 —世界の動き、日本の動き—

第1回

はじめに

古川 恵太
海辺つくり研究会 / 東京水産振興会

皆さまこんにちは。海辺つくり研究会の古川恵太と申します。この度、水産振興コラムの新シリーズ「変わる海の環境」を担当させていただくこととなりました。私は、長く国交省の研究者として沿岸域の環境保全・再生の技術開発に携わりながら、日本各地の環境再生事業に行政の立場で関与し、在外研究などを通して自然科学者として論文を書いたりしてきました。

2025年7月8日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第4回

流通 (上) 流通の主導権を握る

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

石川と秋田では魚の流通が違う。秋田県の場合、水揚げ港に産地市場があって、そこにすべて出すのが基本。一方、石川県では、産地市場のほかに金沢などに漁業者自身が出し分ける。他県である富山の氷見に持って行くこともあるし、うちの場合は県南部にあるので福井にも出す。石川県では多くの漁業者が複数の出荷先をもっている。

2025年7月2日

進む温暖化と水産業

第46回

ルポ 町ぐるみで向き合う(北海道・浜中町㊦) 行動する人と支える人

中島 雅樹
水産経済新聞社

町を歩くとあちらこちらで「ルパン三世」に出合う。町内の霧多布温泉施設「ゆうゆ」では入り口で出迎えられ、あいさつで交わした名刺には漁師姿のルパンがサケを抱えてほほ笑んでいる。ここ北海道釧路地区の浜中町は、ルパン三世を世に生み出した漫画家モンキー・パンチ氏のふるさと。「町のPRになれば」と用意されたイラストの数は30点を超える。いろいろなルパンを探してみるだけでも浜中町を訪れる楽しみになる。

2025年7月1日

進む温暖化と水産業

第45回

ルポ 町ぐるみで向き合う(北海道・浜中町㊤) 地域の特性をフル活用

中島 雅樹
水産経済新聞社

5月中旬、東京も札幌市内も夏日を記録したこの日、北海道・釧路地区の浜中町の最高気温は14度C。空気が冷たい。「3月末から始まった人工授精もそろそろ終盤です」。エゾバフンウニの種苗生産を担う浜中町ウニ種苗センターの羽生晃弘所長が、小型タンクが並ぶセンター内の一室を案内しながら教えてくれる。受精成功率はほぼ100%といわれているウニだが、種苗生産が容易なわけではない。

2025年6月30日

進む温暖化と水産業

第44回

秋田県漁協をめぐる報道を読んで

長谷 成人
東京水産振興会 / 海洋水産技術協議会

この連続コラムは、進む温暖化の中で、漁業、水産業や漁村がどうしていくべきか、参考となる情報、力が湧く情報をお届けできればといろいろな方に登場頂いています。にもかかわらず、続けて私自身が登場すること、連続して洋上風力発電ものとなることに躊躇しつつも、秋田県漁協の洋上風力発電をめぐる報道に接して書かずにはいられない気持ちになりました。

2025年6月27日

水産振興

650

海洋水産技術協議会ワークショップ「進む温暖化と水産業」

長谷成人/和田時夫/堀正和

皆さま、お待たせしました。時間となりましたので開始いたします。本日司会を務めさせていただきます (一社) 漁業情報サービスセンターの黒萩と申します。事務局からの報告によりますと、本日のワークショップは総計192名、うちZoom139名、会場53名のご参加をいただきました。お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。円滑な進行を務めさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

2025年6月10日

進む温暖化と水産業

第43回

「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律」の成立~漁業との関係でこれからすべきこと~

長谷 成人
東京水産振興会 / 海洋水産技術協議会

米国でのトランプ政権の登場による再エネについての急ブレーキ、資材高騰等による国内外での事業計画からの撤退、見直しに加え、秋田での陸上風車の羽根の落下事件など風力発電についてのマイナスの報道が多くなされている中ですが、我が国では、相変わらず2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、洋上風力発電は再生可能エネルギーの主力電源化への切り札と位置付けられています。

2025年6月10日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第3回

ブランド化 「煌」より「キンブチ」

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

石川県では、富山とともに寒ブリが有名で、富山に追随する形で売りにしている。実は私の定置網は冬場にすごくシケてしまう漁場にあるため、冬は網を揚げてしまい寒ブリは獲らないが、石川県から寒ブリのブランド化をしたいということで会合に声が掛かった。その会合には漁業者、県の水産課、県漁協が参加していた。私はメンバーをみた段階から不満が爆発し、「何で市場や仲買を呼んで意見を聞かないのか」と、県の水産課および県漁協に問うたが、「まずは生産者主体で決めたものを降ろせばいい。それをやらせる」という反応だった。

2025年6月5日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第2回

漁業・養殖業へのシステムエンジニアリングの導入

佐藤 弘志
海洋産業タスクフォース

私の水産業とのお付き合いは、顧客の石油会社が海洋油ガス鉱区権取得時に、応札に付加価値を付ける為に産油国の水産業援助提案を始めた2000年頃からとなります。本稿では海洋油ガス田事業導入のシステムエンジニアリングの漁業・養殖業への活用をご紹介したいと思います。産油国はこの段階から石油会社の資金と技術活用で農業や水産業の育成を目論む様になりました。対象は陸上養殖から海面養殖の創出・振興中心の提案となり、昨今は対象海域の気象・海象関連取得データを解析後に産油国政府に報告し、水産業の発展に貢献するという形も出て来ています。

2025年6月4日

進む温暖化と水産業

第42回

ルポ 島に息づく進取の精神(長崎・壱岐㊦) 創造する新たな未来

中島 雅樹
水産経済新聞社

昨年、就任したばかりの篠原一生市長は、おもむろに「壱岐新時代マップ」を広げた。折り畳むと手のひらサイズになるコンパクトなマップには島の未来を描いたイラスト地図、裏には「あそびのみなと」(漁業×観光)など4点の “壱岐のアップデート” 案が示されている。人口減少が続き、気候変動の影響を受ける状況は壱岐も例外じゃない。マップについて篠原市長は、「もう一度、今から50年、100年と豊かな営みが続く島にアップデートしようという思いを込めた」と語る。

2025年6月3日

進む温暖化と水産業

第41回

ルポ 島に息づく進取の精神(長崎・壱岐㊤) マグロと藻場とイスズミ

中島 雅樹
水産経済新聞社

この日、JF箱崎漁協直営の大型定置には10キロを超えるヒラス(ヒラマサ)が大漁だ。ヒラスの水揚げを終えると、乗組員が「昨年はマグロがもっとすごかった」と、網内に飛び跳ねるマグロを写したスマートフォンの動画で見せてくれた。昨年は長崎・壱岐の定置もマグロが大豊漁だった。ただ、限られた漁獲枠はすでにいっぱい。放流するしかない。日によっては一尾150キロ級を50尾の放流記録が残っている。乗組員のやりきれない思いを感じながらも、仕方のないことと割り切る口ぶりにマグロ管理の浸透ぶりを実感する。

2025年5月29日

進む温暖化と水産業

第40回

韓国の洋上風力発電事情~事前の漁業補償の有無~

長谷 成人
東京水産振興会 / 海洋水産技術協議会

4月28日から30日まで韓国・釜山で開催された第10回「Our Ocean Conference(私たちの海洋会議)」に参加し、自然エネルギー財団、ウミトパートナーズ、世界洋上風力連合(GOWA)及び海洋自然保護団体(Ocean Conservancy)が共同開催したサイドイベント「海と共存する」において、「日本における洋上風力発電と漁業」と題して、日ごろの主張を発表してきました。また、これに先立ち4月28日にはサイドイベントで私とともに発表者となった韓国環境研究院のKongjang Cho博士の尽力で日韓「水産業と洋上風力の共存」ワークショップが開かれ、韓国側漁業団体、地方自治体、研究者などの関係者から韓国の事情を聴くよい機会ともなりました。

2025年5月20日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第2回

ニーズとは (下) それ、押し付けてない?

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

ニーズを外している例をもう一つ。今度は漁業の話。海洋管理協議会(MSC)という国際的な組織がある。資源を守り、地球環境を大切にしながら魚を獲ろう、審査によって持続可能な漁業に認証を与え、その漁業で獲られた水産物には「海のエコラベル」というシールを付ける、といった組織である。私はそこの社内プロジェクト会議に呼ばれたことがある。

2025年5月20日

水産物流通のこれから~流通現場からのアプローチ~

第8回

漁獲量・流通・消費について(その3)

浦和 栄助
東京都水産物卸売業者協会

まずAの「供給増加・消費減少」グループについては、該当する3魚種(ブリ類、タイ類、カレイ類)をそれぞれグラフと表でデータをまとめていますが、代表してブリ類(養殖含む)とカレイ類のデータを示します。他の魚種のデータも全て同じ形式でまとめていますが、豊洲市場(2018年以降、それ以前は築地市場のデータ)での取扱高および家計支出の、1989年から2023年までのそれぞれの推移について、金額・数量・単価の3つの折れ線グラフで示しています。

カツオ 文学 焼津
2025年4月25日

水産振興

649

ノルウェーサーモン養殖の経済学

阿部 景太
武蔵大学

本稿は、世界最大のサーモン養殖生産国であるノルウェーの養殖業について、その歴史的発展と経済的側面を分析するものである。近年、日本でもサーモン養殖が注目を集め、各地でブランドサーモン養殖などの新たな取り組みが始まっているが、その発展形態はノルウェーとは異なる道を歩んでいる。ノルウェーのサーモン養殖業は、フィヨルドという特殊な地理的環境を活かした海面養殖から始まり、約半世紀にわたる発展の中で数々の技術革新、産業政策、環境課題との調和を経験してきた。この豊富な経験から日本が学べる点は多い。

2025年4月22日

第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。

第1回

ニーズとは (上) その卵、買いますか?

窪川 敏治
金城水産 / 石川県定置漁業協会

2024年8月、秋田県青年・女性漁業者交流大会(主催・秋田県、JFあきた)で、石川・加賀で定置網漁業を営む (有) 金城水産の窪川敏治社長が講演した。「第一次産業の相手は自然か。漁業の相手は魚か。」、哲学的な問い掛けから始まった講演は、自らの考えを実践して導き出した答えが指し示され、具体的で説得力に満ちていた。秋田の漁業について語り掛けてはいるが、中身は水産業界全体にも通じる。窪川氏の投げ掛けをどう受け止めるか。聞き読み飛ばすか。演者が加筆した講演の概要を7回に分けて連載する。

2025年4月22日

進む温暖化と水産業

第39回

洋上風力 漁業者の同意をめぐる法的手続きの解説

梶脇 利彦
農林水産政策研究所

2025年3月19日(水)、筆者は仕事を休み、ふるさとの田畑山林などに付いている明治・大正期・昭和期の古い抵当権(休眠抵当権)を「取り除く」ための地方法務局への登記申請の手続きをしながら、刻一刻と締切が迫っているこのコラムも気になりパソコンに向かっています。早くから取り掛からないからよ、との妻の視線を感じています(汗)。人とは、大なり小なり、そういうものではないかと。しかしながら、良いものにしていくためには早くから準備し、取り組む方が良いことはいうまでもありません。わかっちゃいるけど、執筆時の時流をみて一思いに書くのが私流だと(心の中でそっと)呟いています。

2025年4月16日

変わる水産資源2 — 生産と消費の好循環をめざして

第1回

連載の再開にあたって — ネライと背景

和田 時夫
全国水産技術協会

令和5年10月から7年3月まで、「変わる水産資源—私たちはどう向き合うか」をテーマに13回にわたり連載を続けてきました。この間、多くの方々から忌憚のないご意見をいただくとともに、疑問点やご関心を持たれた事項についてお尋ねをいただくことができました。改めて御礼申し上げます。また、ご執筆いただいた皆様や、連載の機会をいただくとともに、毎回の編集・発行をご担当いただいた (一財) 東京水産振興会の皆様に改めて感謝申し上げます。