2019年9月の「水産振興ONLINE」開設以来,『水産振興』は印刷冊子およびウェブ版で皆様にご愛読いただいてまいりましたが,第635号の刊行を以て印刷冊子は終了し,第636号以降はウェブ版のみの公開とさせていただきます.つきましては,今後,新刊情報を電子メールでお知らせしてまいりますので,「メール配信登録」よりご登録いただき,引き続き「水産振興ONLINE」で『水産振興』をご覧ください.
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洋上風力発電と漁業がどのようにしたら協調していけるのか、相変わらずその動向が気になっています。ここでは、① 磯根資源、根付き資源を対象とする漁業、② 回遊魚を待って漁獲する定置網や固定式刺し網などの漁業、③ まき網、底びき網、浮きはえ縄などの沖合漁業、の3種に分けて、それぞれについて、その後の進捗の中で思うことを書いていきたいと思います。
つづきを読む千葉・銚子沖が促進区域に指定された2020年7月よりも前、まだ洋上風力発電の検討ができる「有望区域」だった19年11月に、利害関係者が一堂に会する「千葉県銚子市沖における協議会」が始まった。20年6月の最終協議会でJF銚子市漁協の坂本雅信組合長(協議会ではJF千葉漁連会長)は、事業のあり方を「東京湾で埋め立て開発により漁業権が失われた、消滅補償とは異なる。
つづきを読むラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は1897(明治30)年8月に初めて焼津を訪れてから1904(明治37)年9月に亡くなるまでの8年間で、計6回の夏を過ごしています。岸からすぐ深くなり波も荒い海水浴に向かない海岸でしたが、水泳が得意だった八雲はこの海をとても気に入りました。
つづきを読む第6回では、漁師を増やすというテーマで、漁師を増やすためにフィッシャーマン・ジャパンが取り組んできた内容を説明しました。我々の食卓に魚が登場するまでには、漁師だけでなく、多くのプレーヤーたちの存在が必要不可欠です。そこでFJが次に取り組むのは、水産加工会社を初めとした、漁師が魚を獲った後の水産業を守る人達の育成です。現状の課題や、どのようなアプローチで取り組んでいるか解説していきます。
つづきを読む千葉・銚子市沖に指定された約3,950ヘクタールの海域では、2028年9月から着床式洋上風力発電施設の運転開始を目指し、準備が進められている。20年7月、国の再エネ海域利用法に基づき、優先的に洋上風力発電事業が行える「促進区域」となったためで、同海域では52年1月までの約24年間、施設の稼働を予定している。
つづきを読む本水産振興コラム『私たちが見つめるのは100年後の農山漁村』の第3回「うみひとネット×(株)あこやひめ×たにおか農園 おみそ鯛 青とうがらし Part1—うみひとネット初のコラボ商品の立役者たち—(2024年7月)」では、この商品開発に関わってくれた3人の女性たちのご紹介をしました。今回は、この3人とうみひとネットがなぜコラボ商品をつくることになったのか、そのストーリーをご紹介します。
つづきを読む先日数十年ぶりに夏目漱石の『門』を読み返していたら、「あ、そうか」と気付いたことがありました。ご存じのように漱石には前期三部作(『三四郎』『それから』『門』)、後期三部作(『彼岸過迄』『行人』『こころ』)と呼ばれる作品群があります。『門』は前期三部作の締めとなる作品で、発表されたのは日本が韓国を併合した1910(明治43)年。その中にこんな一節がありました。《「神戸へ参ったのも、全くその方の用向なので。石油発動機とか何とか云うものを鰹船へ据え付けるんだとかってねあなた」》
つづきを読むどこまでも青く透き通った海は美しい。けれど本当に大切なのは、適度な栄養分があり多くの生き物がバランスよく生息できる“豊かな海”だ。今回は、豊かな海の活動の実践と、そのことをもっと多くの人に知ってもらうために、魅力的な発信をしている兵庫県明石浦漁協さんの取組について紹介する。
つづきを読む東日本大震災の後、水産業から多くの人が離れ、現場の人材不足が深刻化しました。フィッシャーマン・ジャパン(以下、FJ)が誕生した段階で、人材育成と採用の必要性を感じており、すぐに行動を開始しました。今回は、水産業に関わる人の育成というテーマで、FJの活動を紹介します。
つづきを読む2023年10月に始まったこの連載も今回が最終回となりました。この連載の目的は、わが国周辺での地球温暖化の影響が顕在化し、わが国社会の少子・高齢化と人口減少が進む一方、水産業のスマート化が進められるなかで、流通・消費を含めて水産資源の持続可能で安定的な利用をいかに図るかについて、多面的に考えてみることでした。
つづきを読む次からは日本の水産物消費動向について見ていきます。このシートですが上下2つのグラフを載せています。上の方のグラフは食用魚介類の国内消費仕向量と国民1人当たりの年間消費量についての1989年から2021年までの推移です。下の方のグラフは1999年から2019年まで5年刻みで年齢階層別にみた1人1日当たりの魚介類摂取量の推移です。上のグラフで緑色の折れ線は国民1人当たりの食用魚介類の年間消費量ですが、1989年は1人当たり37.4㎏ありました。ピンク色の折れ線は同じ基準での肉類消費量ですが1989年は26㎏です。この2つを足すと63.4㎏になります。
つづきを読む水産庁では、以前から、平成30年の漁業法改正をはじめとして「水産政策の改革」に取り組んできた。「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」に基づく新たな資源管理システムの構築は、その中心的な取組である。このロードマップは令和6年に改訂されたため「旧ロードマップ」となってしまったが、この旧ロードマップに沿って、資源評価対象魚種の拡大やTAC対象魚種の拡大が行われてきている。
つづきを読む次は水産物の貿易で,これもFAOの統計による水産白書からの情報です.全世界の生産量約2億トンの約3割,6千万トン以上が輸出に向けられ,今後も輸出量・金額ともに増加していくと見込まれます.水産物輸出には加工原料輸出もありますので,生産する国,加工する国,消費する国という3つの立ち位置の国がそれぞれ増えてくるのかと思います.輸出の増加を促進した要因として,1つは輸送コストの低下があります.このところのエネルギーコストの上昇やコロナ禍による消費の減退でコスト高はありますが,冷凍・チルド両方の国際的な大量輸送網の定着は,基本的にコスト低下傾向を示しています.
つづきを読む東京水産振興会の理事をしている長谷です.2019年の夏まで水産庁におりました.水産庁在職時のことですが,水研の中村智幸さんに内水面関係の調査事業の予算化について相談されたときに,残念ながら水産庁ではなかなか難しいと思い,旧知の東京水産振興会渥美会長にお願いして振興会での一連の内水面関係の事業が始まったという経緯があります.そういう意味で私は内水面と振興会の仲人役だったと自負していますので,今日はご縁を感じますし,このような形で参加できて嬉しく思っております.
つづきを読むノルウェーの漁業はしばしば漁業管理の模範的な例として挙げられる.資源は守られ,漁業は多くの利益をあげ,漁業者は大きな漁船の上で幸せに漁業をしていると考えられがちだ.こういった話を漁業関係者ならば一度は聞いたことがあるのではないだろうか.その成功は目覚ましいものがあるが,当然ながらノルウェー漁業も完璧ではなく,課題も抱えている.
つづきを読む高度回遊性魚種である太平洋クロマグロについて,我が国では,中西部太平洋まぐろ類委員会(以下「WCPFC」)の決定に基づき,2015(平成27)年から太平洋クロマグロの30キログラム未満の小型魚(以下「小型魚」)の総漁獲量を4,007トンに制限する措置等を実施している.水産振興第589号及び第590号では,「太平洋クロマグロの小型魚漁獲半減に向けた取組について」と題し,①2014(平成26)年のWCPFCにおける半減措置決定までの国際的・国内的な対応や,②半減措置決定以降の国内対応が取りまとめられている.
つづきを読む豊洲市場の歴史的な移転事業の最後を飾る施設として,6街区の場外に待望の賑わい施設「豊洲 千客万来」が2月1日に開業した.開場から丸5年遅れ,客入りを懸念する声もあったものの,オープン1か月以上を経ても平日を含め大勢の人が押し寄せている.場外市場に期待された活気や賑わいづくりの役割をここまでは十二分に果たしている.
本連載の番外編に登場するのは,事業者の万葉倶楽部(株) で新規開発事業を担当する高橋眞己副社長 (62).
ラスパルマスとは,アフリカ沿岸に位置し,7つの島から成るカナリア諸島のひとつであるグランカナリア島の県都だ.年間を通して温暖な気候が特徴で,島の中に砂漠地帯がある程カラっとしている.のんびり過ごせるビーチがあったり,味わい深い建物を眺めながら石畳を散策できたり,美味しいスペイン料理が味わえたりと,魅力あふれるリゾート地として人気だ.サハラ砂漠で有名なモロッコの近くなのだがスペイン領であることから,ヨーロッパ各地からの観光客が多い.アジア圏から遠く離れるため,アジア人の姿がかなり少ないのも特徴の1つである.
つづきを読む海遊館を辞め,フリーで活動をしていたころ先輩からのお声がけで,夏休み期間に地方都市のデパートの催事場などで行う移動水族館の現場管理を数シーズン任されたことがある.それが毎回心身ともに疲れはててしまうのだ.毎回,開催中にいくつかの水槽が,魚病によって魚が全滅という悲惨な状態になってしまうこともあるのだ.そんな悲惨なことにならないように毎日毎日水槽の管理に気を使いすぎ,移動水族館の最終日が近づくころには心身共にくたくたになる.
つづきを読む北日本の日本海沿岸で獲れるハタハタは,スズキ目ハタハタ科の魚で,通常は水深250メートル前後の深海底に棲息し,冬型の低気圧が強まり,時化によって海水が攪拌され沿岸水温が低下すると,水深2~3メートルの藻場に産卵のためにやってくる.漢字では「鰰」「鱩」「神魚」「雷魚」「神成魚」「波太多雷魚」「佐竹魚」などと表現される.ハタハタの塩漬けや干物は正月用の食べ物となり,「鰰」の文字には,ハタハタがなければ正月が迎えられないといった気持ちが込められているのだろう.
つづきを読む東京・豊洲市場は世界一の水産市場として注目度が段違いなだけに,場内やその周辺は,業界関係者らにピンポイントで訴えかけるイベント開催地として魅力ある場所といえる.とはいえ,都が開設する公設市場で公的スペースである場内と,民間事業者の管理する場外とでは,できることが異なる.最終回となる「豊洲市場活用マニュアル」では,イベントを開きたい行政・団体向けに留意する点を取りまとめた.
つづきを読む下間帆乃(ほの),1999年秋田県生まれ.秋田県立男鹿海洋高等学校海洋科を卒業,豊洲市場にある冷蔵冷凍保管事業を主とする株式会社ホウスイに入社して6年になる.
つづきを読む洋上風力発電については,2018年12月に成立した再エネ海域利用法に基づき検討が本格化し,21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画における2030年までに10GWの案件形成をという目標に対し,これまでに秋田県,新潟県,千葉県,長崎県において約3.5GWの案件がまとまってきました.
つづきを読むコラムも最後の連載となりました.この最終回まで全15回,行政,研究者,漁業者,企業など多方面から寄稿していただいたおかげで,いまや不可避となった温暖化対策について,海辺ではどのようにブルーカーボンを展開していけるか,展開していく上での問題点は何か,包括的に考えることができました.本コラム全体の内容をまとめると,行政では,各省庁が脱炭素社会の構築にむけて,ブルーカーボン吸収源の制度化と海藻バイオマス活用の推進を目指していました.それを受けて,地方自治体が浜と一緒になって運用試験を開始していました.浜でも,漁業者が独自に取り組んできた藻場再生や磯焼け対策に加えて,気候変動対策という大きな目標をやりがいに変えて,よりいっそう活動を発展させようとする気概を感じることができました.このような動きに企業が賛同し,自社の社会への責任だけでなく,地球環境と人間社会の持続可能性を向上させるべく,熱意をもってSDGsの達成や気候変動対策に取り組む姿を垣間見ることができました.
つづきを読む東京水産振興会が60年以上の事業のなかで蓄積してきた膨大な水産業資料の一部を閲覧できます.逐次追加.
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