一般財団法人 東京水産振興会

水産振興ONLINE

2019年9月の「水産振興ONLINE」開設以来、『水産振興』は印刷冊子およびウェブ版で皆様にご愛読いただいてまいりましたが、第635号の刊行を以て印刷冊子は終了し、第636号以降はウェブ版のみの公開とさせていただきます。つきましては、今後、新刊情報を電子メールでお知らせしてまいりますのでメール配信登録」よりご登録いただき、引き続き「水産振興ONLINE」で『水産振興』をご覧ください。
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最新刊
水産振興ウェブ版
639
20233

コロナ禍が水産物中央卸売市場にもたらした影響の考察
~伝統的な社会調査と新たなデータサイエンスの視点から~

大石 太郎

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行は、我が国の水産物供給において重要な役割を担う中央卸売市場に大きな影響をもたらした。効果的な対策のためには事実(ファクト)に基づいた判断が不可欠であるが、情報化の進展によって研究現場におけるファクトへのアプローチ方法が急速に変化しつつある。本稿では、伝統的な社会調査と新たなデータサイエンスの観点から2つの研究を紹介することで現在明らかになっているファクトと望まれる対策を示すとともに、今後の研究現場を展望する。

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水産振興コラム
おさかな供養のものがたり
6

アメリカ産まれの魚と供養

田口 理恵
元東海大学

静岡県富士宮市は富士山の湧水に恵まれ、富士の裾野に位置する富士養鱒場には、1990年代に建てられた「虹鱒供養塔」がある。
ニジマスはもともと日本にいなかった魚である。1877(明治10)年に、米国カリフォルニアからニジマスの卵が移入され、ふ化飼育されたことから国内でのニジマス養殖が始まった。当初は湖沼への放流が行われていたが、明治後半に国内で飼育した親魚から採卵するようになり、以後は国産卵によるニジマス養殖が行われるようになった。1926年(大正15年)「水産増殖奨励規則」の公布によって、全国にふ化場や養殖場ができ、さらに昭和に入ると養鱒の事業化が進む。国内各地でニジマスの内水面養殖が盛んになる時期、1936年(昭和11年)に、静岡県水産試験場富士養鱒場※が竣工。

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水産振興コラム
おさかな供養のものがたり
5

ブリの群れによせる想い

田口 理恵
元東海大学

ブリはスズキ目アジ科の魚で、成長につれて呼び名が変わるため出世魚といわれる。地域によって呼び方は異なるが、例えば関西では、稚魚のモジャコから、ワカナ、ツバス、ハマチ、メジロを経て、80cm以上に成長したものがブリとなる。お歳暮の贈答品になる魚を「年取り魚」や「正月魚」というが、西日本ではブリが東日本ではサケが年取り魚の代表となっている。

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水産振興コラム
洋上風力発電の動向が気になっている
長谷 成人
(一財)東京水産振興会/海洋水産技術協議会
番外編その2

洋上風力発電の沖合展開について

洋上風力発電については、2018年12月に成立した再エネ海域利用法に基づき検討が本格化し、21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画における2030年までに10GWの案件形成をという目標に対し、これまでに秋田県、新潟県、千葉県、長崎県において約3.5GWの案件がまとまってきました。

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水産振興ウェブ版
638
20232

“千客万来”の築地場外市場となるために
~『食のまち 築地』の近未来~

八田 大輔

業界紙記者として築地市場移転問題を追ってきた成果などを元に、本体を失ったことで岐路に立つ築地場外市場の活性化の道を考察する。「商品コンセプト理論」を商店街分析に転用し、築地場外市場から来場者が享受可能なベネフィット(利便性・満足感)が「プロ向けの食材・道具が手に入る(楽しめる)」点にあると示す。築地市場の移転先の豊洲市場、築地跡地、周辺エリアの動向などの背景を整理したうえで、活性化には旧築地市場の機能を補完する施設「築地魚河岸」を中核として運営することを前提に、①プロの小口客を増やす ②食の外部化に対応する ③「食のまち」以外の魅力を深耕する—3つの方向性があると示唆。関係者間でベネフィットを認識共有し、それに基づいた活性化策に取り組むよう提案する。

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水産振興コラム
豊洲市場・旬な市場人
福地 享子
築地魚市場銀鱗会
3

迷いながらも社長業

鈴木眞弥子。1974年生まれ。水産仲卸「東京鈴木屋」の社長である。
コロナ禍以来、水産仲卸の店じまいは早くなり、10時過ぎにはシャッターをおろす店も見かけるほどだ。そんななか、「東京鈴木屋」は飲食店が喜びそうな魚介類を豊富に並べて10時過ぎても営業、買出人にとって得難い店となっている。客の応対からお代のやり取りまでそつなくこなす鈴木さん、以前を知っているだけに、私は少々の感慨をこめてその姿を眺めている。

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水産振興コラム
おさかな供養のものがたり
4

サケ漁とサケの人工ふ化

田口 理恵
元東海大学

サケの群れを引き連れやってくるサケの大助(おおすけ)の話や、サケの大助に乗って始祖や神がやってきたなど、日本列島の東から北にかけてサケの伝承が広がっている。東北日本の各地で、毎年毎年、故郷の川に帰ってくるサケの姿が見られ、なかには鮭を千本殺すと、人一人を殺したのと同じ罪になるからと、サケの千本供養を行ってきた地域もある。さまざまなサケの伝承が伝わる東北日本では、近代以降のサケ資源増殖事業の普及によって、人はより深くサケと関わるようになったといえる。

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水産振興コラム
おさかな供養のものがたり
3

マグロの大漁に沸き、
被爆マグロに泣く

依田 賢太郎
元東海大学

三重県の南伊勢町奈屋浦、大紀町の錦浦、海山町の島勝浦と矢口浦、尾鷲市の須賀利浦、熊野市の甫母浦と、熊野灘に面した浦々にはマグロの石碑がある。これらの石碑から、熊野灘沿岸では、1820年代末から約100年の間に、時折、マグロの大群が浦の湾奥までやってきたことがわかる。
例えば、奈屋浦の場合、年号が慶応になると社会不安と凶作で物価が暴騰し、浦人は飢餓に追い込まれていくが、1867(慶応3)年冬にマグロの大群が押し寄せ、3000尾、6000両あまりの収益を得た。

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水産振興コラム
豊洲市場・旬な市場人
福地 享子
築地魚市場銀鱗会
2

若葉マークの競り人、発動す

金子和嘉、1998年生まれ。東海大学海洋学部卒業後の21年、豊洲市場の水産卸会社、第一水産㏍に入社。1年後に東京都の競り人試験にパスし、現在、ほやほや若葉マークの競り人である。
金子さんの仕事場は、水産卸5社の水槽がならぶ活魚の競り場である。豊洲市場は閉鎖型の施設が自慢だが、ここは真向に風が吹きさらす場所。11月も終わりの深夜、寒さは尋常ではない。

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水産振興ウェブ版
637
202212

水産研究125年の歴史

生田 和正/上原 伸二/鈴木 敏之/下川 伸也

本号は、2022年8月24日に第24回ジャパンインターナショナルシーフードショーにおいて水産研究 教育機構の講演会「水産研究125周年記念講演会」の記録を編集し掲載したものです。水産研究・教育機構は、1897年の農商務省水産検査場水産講習所試験研究部が設置されたことを起点に数えると本年で125周年を迎えます。世界の水産を見まわしてみても規模、歴史とともにまれに見る水産に特化した研究・教育、そして社会実証まで行う機関です。これを記念し、水産研究125年のあゆみ、水産資源研究の125年、水産物の安全・安心のための取組、水産大学校の沿革と人材育成の推進について講演いたしました。

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水産振興コラム
ブルーカーボンで日本の浜を元気にしたい
16

結びに変えて:ブルーカーボンで
日本の浜を元気にするために

堀 正和
国立研究開発法人 水産研究・教育機構

コラムも最後の連載となりました。この最終回まで全15回、行政、研究者、漁業者、企業など多方面から寄稿していただいたおかげで、いまや不可避となった温暖化対策について、海辺ではどのようにブルーカーボンを展開していけるか、展開していく上での問題点は何か、包括的に考えることができました。本コラム全体の内容をまとめると、行政では、各省庁が脱炭素社会の構築にむけて、ブルーカーボン吸収源の制度化と海藻バイオマス活用の推進を目指していました。それを受けて、地方自治体が浜と一緒になって運用試験を開始していました。浜でも、漁業者が独自に取り組んできた藻場再生や磯焼け対策に加えて、気候変動対策という大きな目標をやりがいに変えて、よりいっそう活動を発展させようとする気概を感じることができました。このような動きに企業が賛同し、自社の社会への責任だけでなく、地球環境と人間社会の持続可能性を向上させるべく、熱意をもってSDGsの達成や気候変動対策に取り組む姿を垣間見ることができました。

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水産振興コラム
船上カメラマンとして見つめた水産業
神野 東子
10

凍てつく海

今年も寒い冬がやって来た。秋に比べて一段と冷たくなった風が肌に刺さると、意識が一気に冬へと向かう。寒さでピンと張り詰めた空気から感じる匂いも何だか冬っぽい。道行く人もマフラーにコートにと厚着になっていく。忙しない師走の雰囲気を感じるたび「もう今年終わっちゃうの?!」と毎年心の中で呟くのは私だけではないだろう。木々は葉を落とし、空の色も淡くなる。いつも見る景色が慎ましい色彩になると、みんなの感性がなんとなく豊かになって普段は気付かないことに気付いたりする。そんな季節の移ろいが日本人の細やかさを育んでいるのかもしれない。

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水産振興コラム
ブルーカーボンで日本の浜を元気にしたい
15

若い漁師世代がブルーカーボンに
期待すること

西條 恭平
東京海洋大学大学院 博士前期課程1年

現在、私は東京海洋大学大学院に在籍している博士前期課程の学生です。本コラムの第1回目を担当した堀正和先生に指導を仰ぎながら、ブルーカーボンの研究を進めています。具体的には、ワカメ養殖とコンブ養殖を対象に、それらが吸収しているCO2量を詳細に数値化する研究をしています。

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水産振興コラム
水族館の飼育係と「食」との交わり
新野 大
高知県立足摺海洋館 館長
16

青森県、西海岸の「イカ焼き通り」

南の海の話が続いてしまったので本州最北端、青森の話を。1981年の冬のことである。水族館の飼育係になってまだ3年しか経っていない僕に、陸奥湾の湾奥部にある青森市の浅虫地区に新しい水族館を建てる計画があるので手伝わないか、というお誘いが舞い込んできた。当時浅虫には、東北大学の臨海実験所に付属した小さな水族館があった。“浅虫の水族館” と多くの県民に慕われていた施設だったのだが、臨海実験所の建て替えに伴い取り壊してしまうことになった。そこで青森県は新たに県営の水族館の建設を計画したのだ。以上の経緯については、連載第3回目でも書かせていただいたが、今回はその続編である。

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水産振興コラム
豊洲市場・旬な市場人
福地 享子
築地魚市場銀鱗会
1

ウニ師のSNS

白田遼平37歳。豊洲市場水産仲卸「大宗(だいそう)」の鮮冷チームの一員である。ウニを主に担当。肩書はウニ師。ウニ師!?なんかすご~い。初めて聞いた名前です。「オレのオリジナルです。自己ブランデイングしたいっていうか。ネット検索したら、ウニキングとかウニマスターとかあって。でも、違うだろって。閃いたのがウニ師」...

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水産振興コラム
アンケートにみる「豊洲市場の現在地」
八田 大輔
(株)水産経済新聞社
13

終わりに

5か月余の隔週連載を続けてきた連載・アンケートにみる「豊洲市場の現在地」の最終回では、一般社団法人豊洲市場協会(伊藤裕康会長)と一般財団法人東京水産振興会(渥美雅也会長)による3つの共同調査アンケートの検討委員会座長を務めた、婁小波東京海洋大学副学長が全体を総括する。場内にある複数団体の協力で予想を上回る数を集められた回答からみえてきたものは何か。

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水産振興ウェブ版
636
20229

東京湾と魚食の再生にむけて

牧野 光琢

魚離れ、海離れがすすんでいる。我々、東京湾再生官民連携フォーラムの江戸前ブランド育成プロジェクトチームは、魚食普及を通じて、東京湾と各家庭の食卓との繋がりをとりもどす活動をおこなっている。東京湾は古代から人々が食料を調達してきた場であり、江戸時代には独自の食文化も育んできたが、特に戦後はその生態系が大きく損なわれてしまった。本稿では、現在官民が連携して進めている東京湾再生にむけたプロジェクトのなかで、水産業関係者が行っている様々な活動を紹介する。そして、官民が連携して東京湾再生を進めるうえで、「おいしい水産物」が有するアピール力の大きさや、食文化の重要性を議論する。

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水産振興コラム
船上カメラマンとして見つめた水産業
神野 東子
9

知床の海と生きる

今年の春に知床の斜里町ウトロで、観光船沈没という言葉にできない程悲しく、やり切れない事故が起きてしまった。まだまだ水温が低く冷たい風も吹き荒れ、波の高い日も多いオホーツクの海で。それも、世界的に評価される程の景観の美しさと野生生物が悠然と姿を現す程の豊かさを兼ね備える知床の海で。

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水産振興ウェブ版
635
20227

ウナギの寝床創り

柵瀬 信夫

「どうして・こうする・こうなった」という問題解決の流れがあります。こと、“足元のウナギが消える”という問題では、一連の解決までの流れが細かく、現在も問題は続いています。しかし、近年、研究ではなく現場での問題解決につながる「ウナギの寝床創り」石倉カゴの技術展開が進み、その現場での実行事例がでてきました。そこで本稿では、展開された技術と製品とその普及などの概要、「こうする・こうなった」の現時点の状況を紹介します。

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水産振興 資料館

東京水産振興会が60年以上の事業のなかで蓄積してきた膨大な水産業資料の一部を閲覧できます。逐次追加。

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    コロナ禍が水産物中央卸売市場にもたらした影響の考察
    ~伝統的な社会調査と新たなデータサイエンスの視点から~

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    20232
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    生田 和正/上原 伸二/鈴木 敏之/下川 伸也
    水産振興ウェブ版
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  • おさかな供養のものがたり

    第6回 アメリカ産まれの魚と供養

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