水産振興は、これまで多くの水産関係の皆様にご愛読いただいてまいりましたが、より多くの皆様に親しんでいただくため、「水産振興ONLINE 」として電子版の掲載を開始いたしました。「水産振興ONLINE 」は、『水産振興』第617号以降の号の電子版を掲載する「水産振興ウェブ版」と、水産に関する様々な寄稿を掲載する「水産振興コラム」により、水産に関する幅広い情報発信を行うサイトです。
「豊洲市場における買出人の仕入れ実態調査報告書」の内容紹介の最終回は、新型コロナウイルスによる仕入れ・販売への影響に焦点を当てる。この調査からみえる結果は、東京都が感染拡大第3波に伴う緊急事態宣言を発令していた2021年1~2月当時のものである。新型コロナが水産物取引に与えた影響の全体像や、仕入れ総額の変化と買出人の業態の関係をみていく。
つづきを読む私からは国土交通省港湾局によるブルーカーボンに関する取り組みについてご紹介します。
島国の日本では、港湾は輸出入貨物の99.6%が経由し、かつCO2排出量の約6割を占める発電、鉄鋼、化学工業など多くが立地するエネルギーの一大消費拠点でもあり、港湾地域はCO2削減の余地が大きい地域であると言えます。
「豊洲市場における買出人の仕入れ実態調査報告書」の中から、今回は海外に比べて普及の遅れが指摘されている電子商取引(eコマース=EC)の利用と、決済方法の実態を紹介する。国が2025年に決済方法全体に占めるキャッシュレスの割合40%を目標に掲げて推進政策を展開しているほか、新型コロナウイルスによる非接触決済の需要増から消費者相手では切り替えが進んでいるが、業者間取引がほとんどの場内取引はどうか。
つづきを読む私は学生時代に農業経済学と水産資源学を専攻しました。水産の区分で公務員試験を受けたのですが、たまたまその年は水産庁だけではなく旧運輸省にも採用枠がありました。進路を迷ったあげく、水産庁ではなく旧運輸省に就職し、研究所配属となり研究を続けることになりました。
つまり、もともと農林水産に興味があったにもかかわらず、どういうわけか港湾という土木の世界に漬かることになったのです。
2021年5月から2021年12月まで水産振興ONLINEで連載コラム「洋上風力発電の動向が気になっている」を公開し、洋上風力発電と漁業について様々な角度から関わってきた方々からの寄稿をいただいた。連載15回の締めくくりとして2022年1月12日、連載に登場した執筆関係者ならびに省庁関係者を招いて座談会を開き、コラムを通じて浮かび上がってきた課題など改めて議論を深めた。当日の内容を紹介する。
つづきを読む今回から「豊洲市場における買出人の仕入れ実態調査報告書」の中から主要なデータを紹介する。アンケートの有効回答806部のうち、回答者の業態で最多件数は寿司屋(43%)、次いで寿司屋以外の飲食店(22%)、チェーン展開のない鮮魚専門小売店(16%)の順番で続いた。また、チェーン展開のある鮮魚専門小売店9社、総合スーパー6社、食品スーパー20社から回答を得ている。仕入れ先と業態の関係、仕入れ時に重視している点に注目した。
つづきを読むブルーカーボンについてのリレーコラムが始まりました。温暖化対策は、いまや漁業界だけでなく今世紀最大の人類の課題で、我が国もすでに2050年カーボンニュートラルを宣言しています。この大きな世界のうねりの中で、漁村には洋上風力発電との共生という課題が持ち上がっていることから、昨年「洋上風力発電の動向が気になっている」というリレーコラムを連載しました。今回のブルーカーボンもそのような温暖化対策が不可避となった世界の新しい大きなうねりへの対応の一つです。
つづきを読む一般社団法人豊洲市場協会(伊藤裕康会長)と一般財団法人東京水産振興会(渥美雅也会長)は2019~20年度、東京・豊洲市場の買出人・水産仲卸業者・一般来場者に対して共同調査のアンケートを行った。場内業者からの伝聞に頼るしかなかった“生”の意見を可視化し、今後の活性化に役立てる狙いがある。新連載「アンケートにみる『豊洲市場の現在地』」では結果の一部を紹介。報告書の監修者で、共同調査の検討委員会座長を務めた婁小波東京海洋大学教授らに解説を依頼した。
つづきを読むでもさまざまな魚種で不漁が報告されるなど、多大な被害を受けるようになりました。地球温暖化については、その進行を疑う方はもういないでしょう。国連のIPCC第6次報告書でも、「温暖化の原因は人間活動であることは疑う余地がない」と断定するようになりました。国連で取り決められたパリ協定の枠組みが開始され、温暖化を緩和するために世界中で脱炭素社会の取り組みが始まっています。
つづきを読む司馬遼太郎先生の「坂の上の雲」の「抜錨」の章に、秋山真之参謀の「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」の一節があることは有名です。明治38年5月27日に日露戦争・日本海海戦の行われた対馬海峡は、低気圧通過後の晴天で、視程が良いものの等圧線の間隔が狭く、風強く浪高い状態が続いていました。もともとは、岡田武松気象官が熟考の末、一個の断をくだした「天気晴朗なるも浪高かるべし」が基となり、秋山参謀が、この予報文をとりあげ、さらに簡潔にし、「本日天気晴朗なれども浪高し」としたものです。つまり「天気晴朗」とは視程が遠くまで届くため、とりにがしは少なく、砲術においても視界が明瞭であれば命中率が高くなり、撃滅の可能性が大いに騰がることを示唆し、「浪高し」とは、長途の航海を経てきたバルチック艦隊に比して射撃訓練の充分な日本側のほうに利し、「きわめてわが方に有利である」気象条件であったことを示したものと言われています。
つづきを読む僕が初めて宮古島を訪れたのは、島の北西1.5kmに浮かぶ周囲10㎞ほどの池間島で観られるオカガニの放卵シーンを撮影するためだった。もう10年以上、一昔も前の話である。オカガニは普段は内陸の湿地帯などに穴を掘り生活しているが、毎年旧暦5月15日前後の大潮の日没を狙って、産卵のため集団を作り海岸の波打ち際に向かうのだ。
つづきを読む近年、日本の食とかかわりの深いニホンウナギ、クロマグロなど資源の状況が悪化している魚や、サンマ、スルメイカ、サケなど普段の食卓にかかせない魚でありながら漁獲状況が安定せず価格が高騰しているものがあり、またサワラのように、これまで漁獲・利用されてきた西日本の主要産地ではピーク時に比べて漁獲量が減少した一方で、あまりなじみのない東北など北の海域で大量に漁獲されるなど、魚種により漁獲状況に変化が起きています。同じ日本国内でも、食文化は多様であり、利用習慣がない地域では、大量に漁獲されても有効に利用・消費できないこともあります。多くの魚種で資源状況が低迷する中、貴重な海の幸の有効利用が望まれます。
つづきを読む年末年始、ついつい食べ過ぎて太ってしまった。懲りずに毎年同じ事を繰り返しているのだから、我ながら呆れたものだ。でもやっぱり、部屋でぬくぬくテレビを見ながらおせち料理をつまんで過ごすのは幸せだ。日本のお正月には、新年を迎えるのに相応しい食材を重箱に詰めた「おせち料理」を食べる、という素晴らしい文化がある。
つづきを読む日本は、国土面積の11.9倍、世界で第6位の広い海洋(EEZ)に囲まれています。また、春夏秋冬の気候にも恵まれています。このような地理的条件から日本人は古くから米を主食とし、栄養的に卓越した水産物を主な食材(タンパク質)として特色ある日本型食文化(食生活)を形成し、生きる力を維持してきました。昭和20年、終戦後の食糧難の時期を経て、昭和33年、調理の業務に従事する者の資質を向上させ、日本人の食生活の向上を主たる目的として調理師法(昭和33年5月10日法律第147号)が厚生省(現在の厚生労働省)から公布され(栄養士法は昭和22年12月29日法律第245号)、昭和34年、調理師学校等17校が調理師養成施設として厚生省から指定されています。高等学校では、福岡市立福岡女子高等学校食物科が1校だけ、昭和36年4月16日に厚生省から調理師養成施設校として指定されたのが、嚆矢です。
つづきを読むJF全漁連の三浦です。今回は沿岸漁業者の立場から、JF全漁連が漁業協同組合(JFグループ)系統組織の中央団体として、これまで国の洋上風力発電政策にどのように対応してきたか、そして、JFが今後どのように向き合っていくべきか、「洋上風力発電とJFの向き合い方」について述べたいと存じます。
つづきを読む東京・豊洲市場の移転事業が一段落したことを受け、2020年9月から2021年8月まで連載「豊洲市場 水産物流通の心臓部」を公表し、市場の将来を担うであろうキーマンの市場人に豊洲市場の果たす役割と現状、そして市場の活性化で目指すべき将来像の話を聞いた。連載11回の締めくくりとして8月23日に、連載に登場した主要水産流通関係者を招いて豊洲市場内の講堂で座談会を開き、連載記事を下敷きに、改めて議論を深めた。浮き彫りになったのは「イノベーション」の必要性だった。当日の内容を詳報する。
つづきを読む2018年12月、当時の安倍晋三首相が70年ぶりに行われる漁業法の抜本改正と呼んだ「漁業法等の一部を改正する法律」が国会で可決された。この改正は、1949年に制定された「漁業法」の目的規定自体も改正し、区画漁業権や定置漁業権を都道府県知事が免許する際の優先順位規定を撤廃したり、各都道府県の海区漁業調整委員会の委員公選制を廃止したほか、我が国の国連海洋法条約批准の際にできたいわゆるTAC法に規定されていた海洋生物資源の保存管理に関することも一体の法律とするなどの大掛かりなものとなった。
つづきを読む内水面漁協の主な収入源は組合員が納める賦課金・漁業権行使料及び遊漁者から徴収する遊漁料が主体であり、このほか市町村からの補助金、地元企業からの寄付金、漁業補償金等である。中央水産研究所の調査により、多くの漁協で組合員が納める賦課金・漁業権行使料収入よりも遊漁料収入が多いことが明らかとなった。しかし、近年遊漁者は減少し、漁協の収入が減少しつつある。一方、国民が望む漁協の活動として「河川清掃」や「水質改善」といった「環境保全」があげられている。
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