水産振興ONLINE
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2022年5月

座談会 洋上風力発電の動向が気になっている

銚子市漁業協同組合代表理事組合長(全国漁業協同組合連合会副会長) 坂本 雅信 氏
一般社団法人海洋産業研究・振興協会顧問 中原 裕幸 氏
資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 茂木 正 氏
水産庁漁港漁場整備部長 矢花 渉史 氏
一般財団法人東京水産振興会理事 長谷 成人 氏
司会 農林水産政策研究所上席主任研究官 梶脇 利彦 氏

要旨

2021年5月から2021年12月まで水産振興ONLINEで連載コラム「洋上風力発電の動向が気になっている」を公開し、洋上風力発電と漁業について様々な角度から関わってきた方々からの寄稿をいただいた。連載16回の締めくくりとして2022年1月12日、コラムの寄稿者や関係者を招いて座談会を開き、コラムを通じて浮かび上がってきた課題など改めて議論を深めた。当日の内容を紹介する。

本号は、2022年1月12日に当会が開催した座談会の記録です。本号に先立って2月28日の日刊水産経済新聞紙上に本座談会の概要が掲載されましたが、本号では本座談会の全てのやりとりの記録を編集し掲載したものです。

開会挨拶

事務局:本日はお忙しい中、ご出席をいただきまして、ありがとうございます。洋上風力発電の座談会を始めさせていただきたいと思います。ご活発なご討議をどうぞよろしくお願いします。最初に、当会会長の渥美から開会のご挨拶をさせていただきます。

渥美(東京水産振興会会長):皆さん、こんにちは。お忙しいところ、どうもありがとうございます。東京水産振興会の渥美でございます。

本日の座談会ですが、このタイトルにありますように「洋上風力発電の動向が気になっている」というタイトルのコラムを、当会の「水産振興コラム」ということで、昨年5月から12月にわたり合計16回、識者の方々に執筆1していただきました。本日は6名の方にお集まりいただき、このコラムの締めくくりとして座談会を開催させていただきます。

本日の座談会ですが、当会の長谷理事が第1回コラムで「再生可能エネルギーへの転換を進める中で、漁業も食料産業の一翼を担い、国境監視機能も有する漁業、漁村が存続していくことが重要であるということ、そして洋上風力の関係者、漁業関係者にこのことを訴え、漁業協調型の考え方、基本方針の精神に則りながら、事業者と漁業者双方にwin-winの関係ができることを祈ってやまない」と書かれております。

本日お集まりいただいた立場の異なる6名の識者の方々に、この「事業者と漁業者双方にwin-winな関係づくり」、そして「漁業協調型展開」についてご議論いただき、今後の展開の一助になればと思っております。本日は本当にお忙しい中、そしてまたコロナ禍の中にお集まりいただき、ありがとうございます。簡単ですが、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

事務局:それでは、本日の司会は、農林水産政策研究所の梶脇様にお願いしておりますので、進行をよろしくお願いいたします。

司会(梶脇 農林水産政策研究所上席主任研究官):それでは始めたいと思います。

梶脇 利彦(農林水産政策研究所上席主任研究官)

新春のお慶びを申し上げます。皆様におかれましては、よき新年をお迎えになったことと思います。「洋上風力発電の動向が気になっている」と題しました本日の座談会の司会進行を務めることになりました、農林水産政策研究所の梶脇でございます。どうかよろしくお願いいたします。

初めに、きょうの座談会を企画するに至った趣旨につきまして、主催者である東京水産振興会の長谷理事に説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

坂本 雅信さかもと まさのぶ

1959年生まれ。1981年慶応義塾大学商学部卒業後、野崎産業(株)入社。その後、米国クレアモント大学院修士課程修了を経て1994年より与茂七水産(株)代表取締役就任。2009年より現職。2012年千葉県漁業協同組合連合会代表理事会長就任。2016年全国漁業協同組合連合会副会長就任。2020年全国共済水産業協同組合会副会長就任。現水産政策審議会委員(2019年~)。

中原 裕幸なかはら ひろゆき

1948年生まれ。1972年上智大学卒業後、(社)海洋産業研究会(当時)に入職。1983年に1年休職して南カリフォルニア大学海洋沿岸研究所で Master of Marine Affairs修士号取得。常務理事で2020年に退職、現在顧問。再エネ海域利用法に関する経産省・国交省合同会議委員、神奈川大学海とみなと研究所上席研究員、神戸大学客員教授、横浜国立大学講師、日本海洋政策学会理事、元東海大学海洋学部講師、元JAMSTEC監事

茂木 正もぎ ただし

1966年生まれ。1992年北海道大学大学院を卒業後、通商産業省入省。2009年資源エネルギー庁資源・燃料部燃料政策企画室長、2011年省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー対策課長、2013年製造産業局科学課長、2015年同局素材産業課長、2017年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長、2018年中小企業庁総務課長、2019年大臣官房参事官(技術・高度人材戦略担当)兼任危機管理・災害対策室長を経て2020年7月より現職。

矢花 渉史やばな しょうし

1968年生まれ。1991年慶應義塾大学法学部卒業後、農林水産省入省。食料産業局、林野庁等勤務。この間、山形県鶴岡市、兵庫県等に出向。2015年10月から2020年8月まで水産庁勤務(水産経営課長、漁政部参事官、漁政課長)。独立行政法人水資源機構首席審議役を経て2021年7月より現職。

長谷 成人はせ しげと

1957年生まれ。1981年北海道大水産学部卒業後、水産庁入庁。資源管理推進室長、漁業保険管理官、沿岸沖合課長、漁業調整課長、資源管理部審議官、増殖推進部長、次長等を経て2017年長官。2019年退職。この間ロシア、中国、韓国等との漁業交渉で政府代表。INPFC、NPAFC(カナダ)、宮崎県庁等に出向。現在(一財)東京水産振興会理事

梶脇 利彦かじわき としひこ

1964年生まれ。1987年水産大学校増殖学科卒業。1989年水産庁入庁。香住漁業調整事務所、水産庁沿岸課、協同組合課、九州漁業調整事務所漁業監督課長、水産庁国際課課長補佐、長崎県水産部水産振興課長、沿岸沖合課課長補佐、名古屋大学大学院環境学研究科准教授、(国研)水産研究・教育機構中央水産研究所主幹研究員、水産庁漁業取締課首席漁業監督指導官を経て現在農林水産政策研究所政策研究調整官