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水産物産地流通の現状と課題
-大規模・中核的産地市場流通調査報告-

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事業報告書

水産物産地流通の現状と課題
-大規模・中核的産地市場流通調査報告-

要旨

わが国の水産物流通は、取り扱う魚種や品目の数が大変多く、また鮮魚や活魚での国内出荷の他、加工原料用、輸出用、非食用向け(魚粉原料や漁業・養殖餌料等)といった様々な需要・用途があります。そのため、全国各地の多くの漁港には産地卸売市場(以下、産地市場)が開設されており、日々水揚げされる水産物等が集荷され市場取引が行われています。

産地市場は、漁港規模や主要水揚げ魚種(漁業種)をはじめとした様々な地理的・歴史的条件を反映し、その事業規模や事業内容、買受人の構成等は多様です。一般的に、地域の漁業協同組合(漁協)またはその連合会が産地市場の卸売業者となり、市場取引による販売事業は漁協等の経営を支える大きな収益源となっています。一方、特定第三種漁港等の一部の大規模漁港では、株式会社も産地市場の卸売業者となっています(釧路、八戸、石巻等)。

近年、多くの産地市場では、水揚げ量の減少、市場外流通の拡大、輸入水産物の増加等の様々な構造的要因により、厳しい経営環境に置かれています。その影響は漁協や市場の買受人(出荷業者や水産加工業者等)の経営悪化を招き、漁村地域の活力低下をもたらす可能性があります。

そこで当会では、産地市場を巡る変化に対応し、市場経営等を改善し得るような産地流通の方策検討に資する整理を行うとともに、地域の漁業経営や水産業振興の一助とするため、1997年度から2か年にわたり、標記の調査研究事業を実施いたしました。

その概要は下表のとおりで、1997年度は大規模・中核的な産地市場等を、1998年度は沿岸漁業主体の中小規模の産地市場をそれぞれ調査対象としました。各年度の調査研究結果はそれぞれ報告書として刊行し、公表いたしました。

調査研究概要
年度 調査対象 調査先(市場名または漁協名)
1997年度 大規模・中核的産地市場等 釧路、八戸、石巻、小名浜、沼津、焼津、新潟、境港、唐津、長崎、高知、佐世保
1998年度 沿岸漁業主体の中小規模の産地市場 ひやま、山形県、房州ちくら、みうら、越前町、雑賀崎・加太、志度・鴨庄、大田市域、大津・長門、新南陽市、延岡市
※ 1997年度の調査先には、産地市場の機能を有する消費地卸売市場も含みます。

目次

  • 第I部 調査研究事業の実施概要とまとめ
  • 第II部 大規模・中核的産地市場流通の現状と課題 —その諸相—
    • 1. 釧路魚市場 —大規模産地市場の縮小再編方向—
    • 2. 八戸魚市場 —イカ集散地としての再編成と課題—
    • 3. 石巻魚市場 —魚市場活性化方策の行方—
    • 4. 小名浜魚市場 —漁協合併・事業統合による再生への道—
    • 5. 沼津魚市場 —消費地圏と直結した市場運営—
    • 6. 焼津魚市場 —選択を迫られる漁協開設大型市場—
    • 7. 新潟市域の魚市場 —消費地市場を含めた再編統合の課題—
    • 8. 境港魚市場 —ポストイワシをめぐる大規模市場の選択—
    • 9. 唐津魚市場 —激化する産地市場間競争—
    • 10. 長崎魚市場 —多様化する市場機能と内包する諸問題—
    • 11. 高知市中央卸売市場 —産地的機能と取引方式の変貌—
    • 12. 佐世保市中央卸売市場 —新市場への移転で目指す拡大再編—

委員等

  • 座長廣吉 勝治 (北海道大学水産学部 教授)
  • 委員田尾 直之 ((株)漁協経営センター 専務取締役)
  • 田坂 行男 (水産庁中央水産研究所経営経済部 消費流通研究室長)
  • 婁 小波 (鹿児島大学水産学部 助教授)
  • 村上 陽子 ((社)食品需給研究センター 理事)
  • 乾 政秀 ((株)水土舎 代表取締役)
  • 石井 元 ((社)漁業情報サービスセンター 事業二課長)
  • 近藤 義照 (全国漁業協同組合連合会事業企画部 部長代理)
  • 調査員馬場 治 (東京水産大学 助教授)
  • 板倉 信明 (北海道大学水産学部 助手)
※ 所属は刊行当時のもの。敬称略・順不同。

刊行

1998年

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ステータス

冊子:在庫なし

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