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漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する調査研究
-平成25年度事業報告-

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事業報告書

漁業・水産業における
東日本大震災被害と復興に関する調査研究
-平成25年度事業報告-

要旨

東日本大震災の発災から2週間後、当会では、漁業・水産業に関する被災状況等の情報交換および今後の再建・復興に当たり必要となる視点・方策の検討を行うため、漁業・漁村の現状に精通した専門家の方々にご参集いただき、研究会を開催しました。その時の小括として2011年4月に『水産振興』別冊「東日本大震災と漁業・漁村の再建方策」を刊行し、以降も2011年度に5回の研究会を開催しました。

研究会活動をさらに体系化して進めるため、2012年度からは標記の調査研究事業として、2014年度まで3か年にわたり、(1)情報収集、(2)現地調査、(3)研究会開催の3つを活動の柱にして継続実施いたしました。

(1)の情報収集では、漁業・水産業の被災状況および再建・復興等に関する著書・論稿、報道、機関・団体の発信情報等について収集整理し、下表のとおり2015年に「漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する情報資料集」として刊行、公表しました。

(2)の現地調査では、①漁業経営・漁業構造、②漁協、③水産加工・流通、④漁村社会(漁村復興まちづくり)、⑤漁業者・漁村女性・漁家、⑥原発事故と放射能問題の6つの課題を設定し、岩手・宮城・福島・茨城の4県において、内水面漁業や食の分野を含め、数多くの現地調査を実施しました。それらの結果については、下表のとおり各年度の事業報告書にとりまとめ刊行、公表しました。

(3)の研究会は2011年度を含む4か年で22回開催し、上記の情報収集の進捗状況や現地調査の結果概要等を共有した他、復興事業等に関する官庁・県庁や水産団体等の担当者(計11名)を招いて話題提供をしていただき、意見交換を行いました。また、調査研究の成果を踏まえ、復興課題等に関する議論も行い、下表の2014年度(平成26年度)事業報告書において提言集としてとりまとめました。

また、当事業の成果を公表し研究会メンバー(委員等)以外の方々との意見交換を行うため、2014年3月10日にシンポジウム「東日本大震災から3年 -復旧・復興過程の現状と課題-」を開催し、下表のとおり同年6月にその概要を報告集として刊行、公表しました。さらに、月刊『水産振興』においても、上記の別冊以降も下記の「関連する資料」のとおり、関連した様々なテーマで刊行、公表を続けました。

なお、東日本大震災に関する調査研究の継続については、本事業の終了後に検討を行った結果、漁村復興まちづくりに課題を絞り2017年度から2019年度にかけて「東日本大震災における漁村の復興問題」を実施しましたので、当該ページもご覧ください。

報告書等一覧
刊行時 題名 主な内容
2013年6月 漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する調査研究
-平成24年度事業報告-
  • 現地調査報告(16報告)
2014年6月 シンポジウム報告集
「東日本大震災から3年-復旧・復興過程の現状と課題-」
  • 基調報告(漁業と漁業協同組合の復興状況と課題、水産物産地流通
  • 加工業の現状と展望、福島の漁業再建に向けての課題と展望)
  • 総合討論
2014年7月 漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する調査研究
-平成25年度事業報告-
  • 現地調査報告(12報告)
2015年8月 漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する調査研究
-平成26年度事業報告-
  • 調査研究の総括
  • 研究課題ごとのまとめと提言
  • 現地調査報告(10報告)
2015年11月 漁業・水産業における東日本大震災被害と復興に関する情報資料集
  • 復旧・復興に関する動向
  • 収集情報リスト

目次

  • 緒言-平成25年度調査研究の経過と概要-
  • I 漁業経営・漁業構造
    • 1. 漁業・養殖業協業生産の現状と課題
    • 2. 宮城県北部におけるワカメ養殖産地の復興の動向と課題
    • 3. 女川湾とその近傍海域における刺網漁業の再開過程
  • II 漁協問題
    • 1. 被災漁協の借入金返済問題
  • III 水産加工・流通
    • 1. 三陸地方(宮城県)における水産加工業の復旧・復興の課題
    • 2. 気仙沼地区における水産加工・流通業の復旧・復興の動向と特徴-階上地区「がんばる養殖」を中心とする再建の情報提供-
  • IV 漁村社会
    • 1. 被災漁村復興と復興交付金事業の関連と課題-漁業集落防災機能強化事業の視点から見た3年目の漁村復興まちづくりの現状-
    • 2. 漁村共同体の震災対応-宮城県南三陸町(旧歌津町)泊浜地区の契約会を事例に-
  • V 漁業者・漁村女性・漁家
    • 1. 東北の漁村女性へのヒアリング調査
  • VI 原発事故と放射能問題
    • 1. 福島県沿岸漁業の復興過程(2)-試験操業の拡大と避難指示区域の漁業者の動向-
    • 2. 原発事故と学校給食
    • 3. 茨城県霞ケ浦北浦における漁業・水産加工業の被害と影響
  • 附論
    • 1. 東日本大震災からの復興の視点
    • 2. 東日本大震災からの復興に取組む水産業改良普及事業の状況
    • 3. 気仙沼産生鮮メカジキにおける漁業生産と産地流通加工の復旧・復興過程の現状と課題

委員等

  • 座長廣吉 勝治 (元 北海道大学大学院 水産科学研究院)
  • 委員赤井 雄次 (水産経営技術研究所)
  • 乾 政秀 ((株)水土舎)
  • 加瀬 和俊 (東京大学 社会科学研究所)
  • 片山 知史 (東北大学大学院 農学研究科)
  • 工藤 貴史 (東京海洋大学 海洋科学部)
  • 近藤 信義 (サンフード(株))
  • 関 いずみ (東海大学 海洋学部、海とくらし研究所)
  • 富田 宏 ((株)漁村計画)
  • 二平 章 (茨城大学地域総合研究所)
  • 馬場 治 (東京海洋大学 海洋科学部)
  • 濱田 武士 (東京海洋大学 海洋科学部)
  • 調査員石井 元 ((社)漁業情報サービスセンター)
  • 岩成 正勝 (パブリックコンサルタント(株))
  • 上田 昌行 ((株)水土舎)
  • 廣田 将仁 ((独)水産総合研究センター 中央水産研究所)
  • 藤原 美妃子 (復興庁 男女共同参画班)
  • 村上 幸二 (全国水産業改良普及職員協議会)
  • 附論寄稿松浦 勉 ((独)水産総合研究センター 中央水産研究所)
※ 所属は発行当時のもの。敬称略・順不同。

刊行

2014年

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ステータス

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