内水面の環境保全と遊漁振興に関する研究
2016年度事業報告書
要旨
現在、内水面の漁業協同組合(以下、内水面漁協)の多くでは、組合員の減少や高齢化、収入減による経営悪化等の影響により事業や活動が停滞しつつあります。内水面漁協には、組合員等が漁場や釣り場として利用する河川や湖沼において水産資源の増殖を行う義務があります。また、漁場や釣り場の管理や環境保全も行い、そこを利用する遊漁者(釣り人)が支払う遊漁料は内水面漁協の大きな収入源となっています。
こうした内水面漁協が行う事業や活動の停滞は、国民の財産でもある河川・湖沼の水産資源の減少や自然環境の悪化を引き起こすことにつながります。そのため、内水面漁協が活性化し、事業や活動を通じた漁業や遊漁の振興および内水面の環境保全が図られることは、漁業や遊漁関係者のみならず、国民全体の課題だと言えます。
そこで当会では、内水面における環境保全について、その主要な担い手である内水面漁協による環境保全活動および遊漁振興に関する実態把握調査等を、2016年度から4か年にわたり、(国研)水産研究・教育機構中央水産研究所(当時)への委託により実施いたしました。
具体的には下表(調査概要)のとおり、中央水産研究所において内水面漁協を主体とした環境保全活動および組合事業を支える収入源としての遊漁振興に関してインターネットアンケート調査等を実施し、また中央水産研究所から栃木県水産試験場・埼玉県水産研究所・長野県水産試験場への再委託を含め、山梨県・栃木県・埼玉県・長野県の4県における実態把握調査および調査地における遊漁振興策の検討を、各年度で実施いたしました。
4か年の研究成果については、年度ごとに報告書を取りまとめ、また、内水面遊漁に関する振興方策を提案書「内水面における遊漁の振興について」として取りまとめ、2019年2月18日に水産庁および全国内水面漁業協同組合連合会に対して政策提案を行いました(2020年3月に改訂)。それらは当会のHPで全文PDFを公開しております。さらに、『水産振興』においても、第613号「内水面3魚種(アユ、渓流漁、ワカサギ)の遊漁の実態」(2019年1月)、第627号「内水面3魚種(アユ、渓流魚、ワカサギ)の遊漁の振興策」(2021年2月)および第628号「内水面漁協による環境保全活動について」(2021年8月)として、それぞれ冊子の刊行あるいは「水産振興ウェブ版」での電子版記事により公表をしております。
なお、4か年の研究成果を継承し、2020年度からは、さらに具体的な活性化策を検証する「内水面漁協の活性化に関する研究」を実施しております。その内容については、専用サイト「馬頭高校漁業協同組合」において、2020年度研究成果報告書PDF等を公表しておりますので、ご覧ください。
年度 | 環境保全に関する調査 | 遊漁振興に関する調査 |
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2016年度 |
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2017年度 |
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2018年度 |
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2019年度 |
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目次
- 事業の概要
- 環境保全に関する調査
- 1 全国における漁協の環境保全活動の把握
- 2 山梨県における漁協の環境保全活動の事例
- 3 栃木県における漁協の環境保全活動の事例
- 4 埼玉県における漁協の環境保全活動の事例
- 5 長野県における漁協の環境保全活動の事例
- 遊漁振興に関する調査
- 1 内水面遊漁の全体像の把握
- 2 天然アユ遊漁の実態把握
- 3 放流アユ遊漁の実態把握
- 4 釣具の市場規模の把握
- 5 渓流遊漁の実態把握
- 6 ワカサギ遊漁の実態把握
- 計画検討会、中間検討会、成果検討会
調査担当者
- (国立研究開発法人水産研究・教育機構 中央水産研究所)
- (国立研究開発法人水産研究・教育機構 中央水産研究所)
- (国立研究開発法人水産研究・教育機構 中央水産研究所)
- (栃木県水産試験場)
- (栃木県水産試験場)
- (埼玉県水産研究所)
- (長野県水産試験場)
- (長野県水産試験場)
刊行
2016年
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ステータス
冊子:在庫なし