浜の活性化に向けた取り組みの現状と課題
-平成27年度報告書-
要旨
全国各地の浜(漁村地域)は、多くの魅力と可能性を持ちながらも、担い手不足や漁村人口の減少、魚価の低迷など数々の厳しい問題を抱えています。それらの状況を改善して浜を活性化することは、漁業者・漁家のみならず、広く国、地域の共通課題といえます。
全国の漁業者も、浜の活性化のために以前から様々な活動に取り組んでいます。それらの活動のうち優良な事例については全国漁業協同組合連合会主催の「全国青年・女性漁業者交流大会」(以下、「交流大会」)において発表、共有されています。また、国による支援策も拡充され、特に2014年からは漁業所得の向上を目指す漁業者による主体的な取り組みを支援する「浜の活力再生プラン」(以下、「浜プラン」)が進められています。
しかし、これらの取り組みのなかには継続・発展がみられる活動がある一方で、停滞・縮小へと向かう活動もあります。そのため、活動の持続的な発展のためには、個々の事例の特徴や課題などについてあらためて振り返りをし、成功要因などについての分析を行う必要があります。
そこで当会では、「交流大会」の受賞活動や「浜プラン」の活動など、全国の漁村で取り組まれている活動事例を調査・分析することにより、各地の取り組みをさらに効果あるものにするための条件を解明することを目的として、2015年度から2017年度の3か年にわたり標記の調査研究事業を実施いたしました。
本調査研究では下表のとおり、各年度でテーマ設定をして該当する複数の優良活動事例についてヒアリング調査などを実施し、委員会での討議を踏まえ、それぞれ報告書に取りまとめ刊行、公表しております。また、2018年度には、3か年の調査研究成果に基づき、特に参考となる25の事例をピックアップし、その概要や成功要因などを簡潔に整理した冊子「浜の活性化に向けた取組事例 ダイジェスト版」を取りまとめ刊行、公表しております。
平成27年度 | 浜の水産物をいかに売っていくか(販売) | 17事例(愛媛、山口、福岡など13都県) |
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平成28年度 | 漁村地域にいかに人を呼び込むか(交流) | 10事例(徳島、鹿児島など8県) |
平成29年度 | 漁村地域にいかに人を呼び込むか(交流) | 10事例(新潟、富山など9道府県) |
平成30年度 | ダイジェスト版作成 | 25事例(新潟、高知、山口など16都道府県) |
目次
- まえがき(一般財団法人東京水産振興会)
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第1章 調査の概要
- 1. 調査の全体フレームについて
- (1) 背景と目的 ~浜のための浜による活力興しに向けて~
- (2) 調査の視点 ~「いかに売るか」を多角的に考える~
- (3) 調査全体のフロー
- (4) 実施体制
- 2. 平成27年度調査について
- (1) 第一次フォローアップ調査(アンケート)の実施
- (2) 事例調査の実施
- 1. 調査の全体フレームについて
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第2章 事例調査の結果
- 1. 交流大会受賞事例フォローアップ調査の結果
- (1) 庄内おばこサワラの挑戦(庄内おばこサワラブランド推進協議会)
- (2) 浜のかあちゃんパワーではまに笑顔と元気を(大洗町漁業協同組合女性部)
- (3) 学校とともに魚食需要を創造する(八丈島漁業協同組合女性部八丈産おさかな研究会)
- (4) インターネット・SNSを活用した直販の取り組み(新潟漁業協同組合山北支所山北板曳網協議会)
- (5) 勝ち残るための定置網漁業~ひと手間かけて単価アップ!~(株式会社鹿渡島定置)
- (6) 海の幸で地域に笑顔を賑わいを(株式会社三見シーマザーズ)
- (7) 未利用魚加工で魚価低迷に倍返し(山口県漁業協同組合田布施支店「新鮮田布施」)
- (8) 「品質第一」でもっと儲かる漁業(Fresh 室津(山口県漁業協同組合室津支店))
- (9) マハタでひとハタあげる(愛媛県認定漁業士協同組合)
- (10) 「遊子の台所プロジェクト」(遊子漁業協同組合・漁協女性部)
- (11) 「あまくさあじ」のブランド化への取り組みについて(天草漁業協同組合一本釣り小組合)
- (12) 漁師と食卓をつなぐ女性起業家グループの取り組み(漁村女性起業化グループ「めばる」)
- 2. 補足調査の結果
- (1) 魚の駅「生地」(くろべ漁業協同組合)
- (2) きたなだ海の駅「JF北灘おさかな市」(北灘漁業協同組合)
- (3) 道の駅むなかた(株式会社まちづくり宗像)
- (4) 「JF糸島志摩の四季」(糸島漁業協同組合)
- (5) 地元を元気に!(株式会社みなみ丸)
- 3. 参考情報
- (1) 新湊きっときと市場をはじめとする富山・東能登の販売拠点
- (2) 陸側からの挑戦
- 1. 交流大会受賞事例フォローアップ調査の結果
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第3章 調査結果の分析
- 1. 分析のフレーム
- 2. 事業タイプ別分析
- (1) 事業体タイプ別の傾向
- (2) 生産タイプ別の傾向
- (3) 付加価値化タイプ別の傾向
- (4) 市場設定タイプ別の傾向
- 3. 事例にみる「壁」とその「突破の手立て」
- (1) 生産・加工・流通・販売の各段階における工夫
- (2) 人材・組織・地域内外の連携など「事業を支える体制」の改善・強化
- (3) 地域の雇用・観光交流・福祉・教育など「地域活性化への波及」
- 4. 海側と陸側の事情のすり合わせ
- (1) 水産物をいかに売っていくか
- (2) いかに浜を活性化させるか
- 5. 調査結果のまとめ
- (1) 総論~今年度調査から見えてきた脈絡~
- (2) いかに売っていくか
- (3) いかに浜をつくるか
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第4章 今後に向けて(今年度調査より)
- 1. 浜のビジョンをつくろう
- 2. 事業の点検・設計をしよう【いかに売っていくか編】
- 3. 拠点をつくろう
- 資料編
- 1. 委員等名簿
- 2. 調査の経過
- 3. 委員会会議録
- 4. 事例一覧
委員等
- 座長 (国立大学法人東京海洋大学海洋科学部 教授)
- 委員 (日本放送協会 解説主幹)
- 〃 (全国漁業協同組合連合会 常務理事)
- 〃 (茨城県水産業改良普及職員協議会 副会長)
- 〃 (国立大学法人鹿児島大学水産学部 教授)
- 〃 (学校法人東海大学海洋学部 教授)
- 〃 (公益社団法人日本観光振興協会 常務理事)
- 〃 (道の駅「萩しーまーと」 駅長)
- 〃 (有家町漁業協同組合 参事)
- 〃 (株式会社ティーアールアイ 代表)
- 作業部会 委員 (全国漁業協同組合連合会 漁政部 部長)
- 〃 (全国漁業協同組合連合会 漁政部)
- 〃 (全国漁業協同組合連合会 漁政部)
- 〃 (国立大学法人東京海洋大学 海洋科学部 教授)
- 〃 (国立大学法人鹿児島大学 水産学部 教授)
- 〃 (学校法人東海大学 海洋学部 教授)
- 〃 (株式会社ティーアールアイ 代表)
- 〃 (株式会社ティーアールアイ 副代表)
- 事務局 (一般財団法人東京水産振興会 専務理事)
- 〃 (一般財団法人東京水産振興会 振興部長)
- 〃 (一般財団法人東京水産振興会 振興部次長)
- 〃 (全国漁業協同組合連合会 漁政部)
- 〃 (全国漁業協同組合連合会 漁政部)
- 〃 (株式会社ティーアールアイ 代表)
- 〃 (株式会社ティーアールアイ 副代表)
刊行
2016年
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ステータス
冊子:在庫なし