(株) 電通の鬼十則の7番目には「計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生れる」とある。さて皆さん、長期計画は何年で立てますか? 熟慮されたきちんとした根拠があるのであれば、それが何年でも問題ない。ただ一方で、そもそも長期計画を立てたことがない、目前の仕事をやるだけ、泳いでいる魚を獲るだけ、といった人も少なくないと思う。
トップ企業が「長期計画を持て」というのだから、もつに越したことはないだろう。それを何年にするか。私のお勧め、漁業運営のキホン(5)「3・6・12の法則」を解説する。
3・6・12の意味は、3年で中期計画の中間チェック、6年が中期計画、そして12年が長期計画だ。前期前半・後半、後期前半・後半の4期3年ずつに区切られる。
この「12」に精巧な仕掛けが詰まっている。まず、長期計画は15年以上だと長すぎる。立案を手掛けた人が異動や引退などで最後まで残れる可能性が低いからだ。キリよく10年にすると、2で2回割れないので中期計画の中間チェックが中途半端な時期になってしまう。かといって2で2回割れる8年だと、中間チェックが2年ごとになり、初めの1年で方針を決めるとあとのサンプルが1回しか取れない。自然相手なのでサンプルは複数取れた方がいい。そうなると12しか残らない。元来、この数字は日本人になじみ深い。小学校は6年、中高は3年、えとは十二支だ。私たちはおのずと3・6・12のサイクルの中で生きている。また、12年ならだいぶん時間があるので、夢でも希望でも「こうなりたい!」といった理念的なことも目標にできる。
計画に命を吹き込む
それでは具体的に、3・6・12の中でどう計画を立てたらよいか。長期計画は今言ったように理念的なことも含まれるので、中期計画において、それを具現化していく。前期6年でマイナスをゼロにし、後期6年でゼロをプラスにするといった具合だ。悪いものを普通にするのと、普通をよくするのとでは、求められる動きが異なる。6年でしっかり区別するといい。そして6年の一貫した動きの中で、3年ごとにどう動いていくか、より具体的に方策を練る。実際に動き出したら、3年たったところで、このまま進めば中期計画が達成できるかいったん立ち止まり、必要なら後ろ3年の方策の修正を行う。
実に科学的な仕事の構築ではなかろうか。これまで漠然と考えていたことが3・6・12で整理することで、ぐっと現実的になる。私はグライダー効果(最初がんばって山に登れば、あとは気持ちよく飛んでいくだけ)と呼んでいるが、最初にしっかりとした計画を立てられれば、あとは迷いなく動くだけである。計画に命を吹き込むくらいの気概で立案を始めてもらいたい。
(連載 第5回 へ続く)
