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水産振興コラム
20269
漁業運営ベーシック講座・青森編

第4回 鬼十則と漁業運営(下) なじむ3・6・12周期

窪川 敏治
(有) 金城水産 代表取締役 / 水産庁・水産政策審議会 委員 / 石川県定置漁業協会 代表監事
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(株) 電通の鬼十則の7番目には「計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生れる」とある。さて皆さん、長期計画は何年で立てますか? 熟慮されたきちんとした根拠があるのであれば、それが何年でも問題ない。ただ一方で、そもそも長期計画を立てたことがない、目前の仕事をやるだけ、泳いでいる魚を獲るだけ、といった人も少なくないと思う。

トップ企業が「長期計画を持て」というのだから、もつに越したことはないだろう。それを何年にするか。私のお勧め、漁業運営のキホン(5)「3・6・12の法則」を解説する。

3・6・12の意味は、3年で中期計画の中間チェック、6年が中期計画、そして12年が長期計画だ。前期前半・後半、後期前半・後半の4期3年ずつに区切られる。

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この「12」に精巧な仕掛けが詰まっている。まず、長期計画は15年以上だと長すぎる。立案を手掛けた人が異動や引退などで最後まで残れる可能性が低いからだ。キリよく10年にすると、2で2回割れないので中期計画の中間チェックが中途半端な時期になってしまう。かといって2で2回割れる8年だと、中間チェックが2年ごとになり、初めの1年で方針を決めるとあとのサンプルが1回しか取れない。自然相手なのでサンプルは複数取れた方がいい。そうなると12しか残らない。元来、この数字は日本人になじみ深い。小学校は6年、中高は3年、えとは十二支だ。私たちはおのずと3・6・12のサイクルの中で生きている。また、12年ならだいぶん時間があるので、夢でも希望でも「こうなりたい!」といった理念的なことも目標にできる。

計画に命を吹き込む

それでは具体的に、3・6・12の中でどう計画を立てたらよいか。長期計画は今言ったように理念的なことも含まれるので、中期計画において、それを具現化していく。前期6年でマイナスをゼロにし、後期6年でゼロをプラスにするといった具合だ。悪いものを普通にするのと、普通をよくするのとでは、求められる動きが異なる。6年でしっかり区別するといい。そして6年の一貫した動きの中で、3年ごとにどう動いていくか、より具体的に方策を練る。実際に動き出したら、3年たったところで、このまま進めば中期計画が達成できるかいったん立ち止まり、必要なら後ろ3年の方策の修正を行う。

実に科学的な仕事の構築ではなかろうか。これまで漠然と考えていたことが3・6・12で整理することで、ぐっと現実的になる。私はグライダー効果(最初がんばって山に登れば、あとは気持ちよく飛んでいくだけ)と呼んでいるが、最初にしっかりとした計画を立てられれば、あとは迷いなく動くだけである。計画に命を吹き込むくらいの気概で立案を始めてもらいたい。

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(写真提供:ハンググライダー選手・鈴木由路氏)

連載 第5回 へ続く

プロフィール

窪川 敏治(くぼかわ としはる)

窪川 敏治

1980年生まれ、漁業とは無縁な東京育ち。東京海洋大学資源管理学科卒。学生時代含め中学受験の塾講師を12年務め、2011年に石川県に移住転職。大型定置網漁業の(有)金城水産 代表取締役、水産庁・水産政策審議会 委員、石川県定置漁業協会 代表監事、石川県漁協加賀支所 総代、(株)船舶職員養成協会北陸信越 教員。水産庁・「漁業の働き方改革」実現に向けた調査事業検討委員会 委員(2018)、同・資源管理手法検討部会サワラ日本海・東シナ海系群 参考人(2023)。岩手大学(資源経済)および京都大学(資源解析)の研究協力も行う。
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