事業報告書
漁村・漁港地域への再生可能エネルギー導入に関するハンドブック
要旨
東日本大震災以降、わが国では再生可能エネルギーの開発利用への関心が高まっています。漁業や水産業に関係する分野においても、沖合での大規模な洋上風力発電が注目される一方で、漁村や漁港周辺など限定的なエリアで得られる各種の自然エネルギーの利活用についても注目が集まっています。
具体的には、波力、潮流、潮汐、海水熱(温度差)、風力、小水力、太陽光、地熱など、各地の漁村や漁港周辺地区の海域や陸域で利用できる自然エネルギーを精査・選択し、それらを複合的に用いた小規模・分散型発電システムなどの構築により、漁港施設などへのエネルギー供給源とする、という地産地消型エネルギー利用の考え方です。
こうした自然エネルギーの利活用は、巨額の建造資金や長期間の工期を要せず、漁村や漁港周辺地区の経済規模に見合った短期間での計画として進めることが可能とされ、漁業や水産業における省エネ化など地域産業振興への貢献が期待できます。
そこで当会では、上記のテーマに関する各種情報の整理を踏まえ、モデル地域におけるフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査;以下、FS)を主体とした標記の調査研究事業を、2013年度から2015年度の3か年にわたり実施いたしました。
本調査研究では下表のとおり、各年度でFSを主体とした調査などを実施し、委員会での討議を踏まえ、それぞれ報告書に取りまとめ刊行、公表しております。また、2016年度には、本事業の成果を多くの関係者の方々に幅広く活用していただくため、調査研究成果を簡潔に整理した冊子「漁村・漁港地域への再生可能エネルギー導入に関するハンドブック」も刊行、公表しております。
平成25年度 | わが国における利用可能な再生可能エネルギーの概要および政策の整理、漁村・漁港地域における導入と振興方策の検討 |
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平成26年度 | 北海道函館市釜谷漁港および戸井漁港をモデルとしたFS |
平成27年度 | 宮城県名取市閖上漁港および岩手県宮古市宮古港をモデルとしたFS |
平成28年度 | 「ハンドブック」の作成 |
目次
- はじめに(嵯峨 直恆)
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第1章 漁村漁港地域における再生可能エネルギー導入の可能性
- 1. 漁村漁港と再生可能エネルギー
- 2. 様々な再生可能エネルギー
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第2章 漁村漁港地域における再生可能エネルギー導入検討事例
- 1. 函館戸井地区の小規模分散型再生エネルギーの導入検討手順
- 2. 釜谷戸井両漁港におけるエネルギーミックスの検討
- 3. 各再生可能エネルギーの導入検討
- 4. 釜谷漁港戸井漁港におけるエネルギーネットワークの検討
- 5. 釜谷戸井両漁港のエネルギー需給の推計収支の検討
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第3章 再生可能エネルギーを活用した漁村漁港地域の振興策の考え方
- 1. 再生可能エネルギーの導入と地域振興
- 2. 漁村漁港のエネルギー需要とエネルギーの利用方策
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第4章 漁村漁港地域における再生可能エネルギー導入の手引
- 1. 事業主体の検討
- 2. 合意形成について
- 3. 関連法規の許認可について
- 用語解説集
委員等
- 座長 (弘前大学食料科学研究所長)
- 委員 (一般社団法人漁港漁場新技術研究会 会長)
- 〃 (北海道立工業技術センター長)
- 〃 (一般社団法人海洋エネルギー利用推進機構 理事)
- 〃 (エネルギー戦略研究所株式会社 取締役研究所長)
- 〃 (独立行政法人水産総合研究センター 理事)
- 〃 (一般社団法人海洋産業研究会 常務理事)
- オブザーバー (水産庁 漁港整備部計画課)
- 〃 (一般社団法人海洋産業研究会 研究員)
- 調査担当 (株式会社アバン アソシエイツ 専務取締役)
- 〃 (株式会社アバン アソシエイツ 取締役計画本部長)
- 〃 (株式会社アバン アソシエイツ 計画本部長)
- 事務局 (一般財団法人東京水産振興会 専務理事)
- 〃 (一般財団法人東京水産振興会 部長)
- 〃 (一般財団法人東京水産振興会 次長)
※ 所属・役職は発行当時のもの。敬称略・順不同。
刊行
2016年
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ステータス
冊子:在庫あり(資料請求フォームへ)