東日本大震災における漁村の復興問題
-令和元年度事業報告書-
要旨
東日本大震災の被災漁村では様々な復興事業が進行中です。具体的には、被災漁村の集落形成、漁村の防災機能強化、陸域での水産施設整備(漁港や水産加工施設等)と一体となった漁村の復興まちづくりがその内容ですが、それらについては、関連事業や制度が複数の省庁の所管のもとで運営され大変複雑であったため、総合的なまちづくりの視点が欠落しがちであったとの問題点も指摘されていて、必ずしも復興のプロセスや課題が明確になっているとは言い難い状況があります。
そこで当会では、漁村の復興事業に関する具体的内容やプロセスを個別に検証して被災漁村での復興事業の現状と課題を明らかにするとともに、被災地での継続的復興のあり方と被災地以外での事前防災のあり方に資する提言を行うことを狙いとして、平成29年度から3年間にわたり本事業を実施いたしました。
平成29年度及び30年度は、東日本大震災で被災した漁村の復興まちづくりについて、①制度設計、②主体・体制、③計画技術、④低地利用、⑤地域の持続性の維持(6次産業振興等)の5つの基本視点を設定し、29年度は岩手県および宮城県の被災漁村10地区、30年度は岩手県、宮城県、福島県の被災漁村7地区をそれぞれ選定して、行政担当者、漁協・漁業関係者、被災住民等を対象にヒアリング調査を行い、その成果をそれぞれ報告書に取りまとめました。
令和元年度は、南海トラフ大地震による津波被害等の発災が予測されている西日本太平洋岸の県のうち和歌山県を対象に、紀南地域の4町における漁村をモデル地区として事前防災・事前復興等に関する調査を実施いたしました。令和元年度報告書では、各町の漁村における事前防災等に関する現状や課題を整理するとともに、最終報告書として3か年の調査研究成果を踏まえた提言を取りまとめております。
各年度の調査対象地区は以下のとおりです。
平成29年度 |
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平成30年度 |
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令和元年度 |
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目次
- まえがき
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序章 事業概要
- 1. 事業の目的
- 2. 調査・研究内容と方法
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第1章 平成29年度及び30年度の調査結果概要
- 1-1. 調査の前提
- 1-2. 大規模津波被災漁村の問題点・課題に関する仮設の設定
- 1-3. 東日本大震災から現在に至る漁村復興の時系列的経緯のマクロ把握
- 1-4. モデル被災自治体・関係住民等聞取調査結果概要
- 1-5. 平成29・30年度調査の総括と今後の課題
- 1-6. 主要調査研究論文等の概要整理
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第2章 南海トラフ大地震・津波発生予測とモデル調査地区の抽出
- 2-1. 南海トラフ地震・津波発生予測地方等の取組概要
- 2-2. モデル地区の抽出
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第3章 南海トラフ大地震発災が予想される地方等における事前防災・事前復興に関する現地調査の実施と調査結果の整理・分析
- 3-1. 和歌山県における事前防災・事前復興の考え方
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3-2. モデル地区事前防災・事前復興状況調査結果の整理・分析
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1. すさみ町
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
- 1) 地区の概要
- 2) 漁業・漁村の概要
- (2) 被災想定の概要
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(3) 事前復興・事前防災の取組概要
- 1) 地区の取組概要
- 2) 漁業・漁村の取組概要
- (4) 主要な問題点・課題の整理
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
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2. 串本町
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
- 1) 地区の概要
- 2) 漁業・漁村の概要
- (2) 被災想定の概要
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(3) 事前復興・事前防災の取組概要
- 1) 地区の取組概要
- 2) 漁業・漁村の取組概要
- (4) 主要な問題点・課題の整理
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
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3. 太地町
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
- 1) 地区の概要
- 2) 漁業・漁村の概要
- (2) 被災想定の概要
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(3) 事前復興・事前防災の取組概要
- 1) 地区の取組概要
- 2) 漁業・漁村の取組概要
- (4) 主要な問題点・課題の整理
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
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4. 那智勝浦町
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
- 1) 地区の概要
- 2) 漁業・漁村の概要
- (2) 被災想定の概要
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(3) 事前復興・事前防災の取組概要
- 1) 地区の取組概要
- 2) 漁業・漁村の取組概要
- (4) 主要な問題点・課題の整理
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(1) 地区の概要と漁業・漁村の概要
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1. すさみ町
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第4章 東日本大震災に学ぶ南海トラフ地震・津波危険地区の事前復興・事前防災への提言
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4-1. 委員提言
- 1. 提言-1:漁村における地震・津波災害に対する事前防災と合意形成
- 2. 提言-2:事前と事後の分担と復興まちづくりの準備
- 3. 提言-3:東南海地震に備える漁業集落の事前復興まちづくりに向けて
- 4. 提言-4:人口減少時代の災害復興
- 5. 提言-5:持続可能な漁業と漁村づくりに向けて
- 6. 提言-6:東日本大震災から学ぶ事前復興への知見
- 7. 提言-7:漁村の再生なくして漁業の復興はない
- 4-2. 総括
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4-1. 委員提言
委員等
- 座長 (株式会社漁村計画 代表取締役)
- 委員 (株式会社水土舎 主任研究員)
- 〃 (株式会社アルメックVPI 主任研究員)
- 〃 (芝浦工業大学建築学部 教授)
- 〃 (兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 准教授)
- 〃 (株式会社都市環境計画 取締役、NPO法人都市計画家協会 理事)
- 〃 (岩手大学農学部 准教授)
- 〃 (北海道大学名誉教授)
刊行
2020年
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ステータス
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