閉会のあいさつ
司会 最後になりますが、海洋水産技術協議会顧問、全国水産技術協会会長の川口恭一様から閉会のご挨拶を差し上げます。川口様、よろしくお願いします。
川口 皆さん、長時間お疲れさまでした。また、オンラインで参加されている皆さんにも、改めてお疲れさまでしたと申し上げたいと思います。講師の3人の方々には本当にお世話になりました。ありがとうございました。
本日のお話をお聴きして、まず私が思いましたことは、カーボンニュートラルが実現した時に果たして地球の環境は変わっているのだろうか?ということです。しばらく先のことになりますから私には確認する術はありませんが、とは言え、やはり将来に向けて地球を、あるいは水産業を守っていくためには、ここでわれわれが何とかしなければいけないということは間違いないところです。そのためにも、現在の水産業や漁村が元気でなければいけない、そうでなければ何もできないという状況だという認識でお話を伺っていました。そう考えた時に、現在をどうやって耐え忍び、今後につなげていくかということがポイントになってくるわけでありまして、やはりCO2の増加を抑制していくことをさらに進めなければいけません。しかもそれを担う水産業や漁村がそれぞれに耐えていくだけの力を持っていかなければいけないという現在の課題が当然浮かび上がってくるわけです。
そう考えますと、やはり先ほどのお話ではありませんが、ブルーカーボンの世界にチャレンジしていくとか、あるいは先ほどありました資源利用、あるいは消費の動向というようなことを含めて、一つ一つできるところを工夫してやっていくことが必要です。
もともと水産資源は人間の生き様には関係なく自分が生きていくために移動分布しているわけです。それを追いかけて人間が利用してきたのが、縄文時代以来の漁業の姿です。それが近世になって産業化してきました。その時も人間は、魚がいるところに出かけていって漁業をやってきました。しかしながら、現在ではそのような漁業のやり方はできません。そこをどうやって変えていくか、そのようなことを考えなければならない時期にあろうかと思います。
そういう意味で、本日のお話を踏まえ、それぞれが意識を変えていかないと、簡単には物事は変わっていかないということをつくづく思いました。また、それをいかに実現していくかという点では、先ほど三菱総研による11の提言のご紹介がありましたが、私はそれを聞いて非常に共感を覚えました。提言で言われていることは、対話と相互理解の促進です。具体的には、洋上風力発電施設の事業者と漁業者について書かれてありますけれども、そのことはわれわれ水産業界にもそのまま当てはまる話であり、例えば、大規模な漁船漁業と沿岸漁業との関係など、われわれが長い間苦労してきた資源や漁場の利用調整と全く同じことです。やはり基本はお互いの対話と相互理解が大切で、それが無いとなかなか円滑に動いていきません。相互理解が成立した先に実現していくものであろうと思います。
そのようなことで、本日ご参加の皆さんにもご理解をいただき、議論の輪を広げていっていただきたい。良い意味でのインフルエンサーになってもらいたいということを、改めてお願いをしたいと思っています。
また、本日のワークショップを機会にわれわれも工夫をして、引き続きいろいろな話題提供をしていきますので、ぜひご参加いただいて、水産業、あるいは漁業・漁村をつくっていくために、同志として一緒に取り組んでいただきたいということをお願いして、閉会の挨拶に代えさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。(拍手)
司会 川口様、ありがとうございました。3人の講演者の皆さまにおかれましては、貴重なお話を聞かせていただき誠にありがとうございます。拍手をもって謝意を表したいと思います。(拍手)
本日のワークショップが皆さまの今後の活動において少しでもお役に立てば幸いです。以上をもちまして本日のワークショップを終了します。ありがとうございました。
※ 本号は、2025年4月7日に開催された、海洋水産技術協議会主催のワークショップ
「進む温暖化と水産業」の内容を取りまとめたものです。