水産振興ONLINE
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2024年4月

ノルウェーの漁業管理から何を学ぶべきか?
割当制度の利点と課題

阿部 景太(武蔵大学経済学部 准教授)

ノルウェーの割当制度

誰が割当を受け取れるのか?

ノルウェーの割当制度を語る上で、もっとも重要なことは「誰が割当を受け取れるか?」が厳しく規定されている点であろう。漁業はノルウェーでもっとも重要な伝統産業である。漁具と漁船への資本を投じるリスクをとることで獲れる魚は、沿岸地域への定住のための基礎的な収入源となり、沿岸地域の商業を発展させた。この観点から、水産業の制度的枠組みは、漁業者の利害と彼らの収入源を中心にして成立した。

割当を受け取れるのも、「漁業者」である必要がある。これは当たり前に聞こえるが重要な点だ。割当を、漁業を目的としない人々が所有した場合、沿岸に定住し漁業に依拠する人々が収入を得る機会が阻害される恐れがある。そのため、割当を得るためには明確に「漁業を営んでいる」という証拠をもっている漁業者である必要がある。

しかし、ノルウェーの漁獲割当は厳密には漁業者ではなく、漁船に割り当てられている。これは、ノルウェー漁業政策のかつての基本目的が、資本家などによって所有されるトロール(底曳き)網船などの大規模漁船と、沿岸の小規模漁船の対立の調整であったことから、1956年に成立した漁船所有者権利の法律で、漁船を所有して登録するための条件を設定していたことに起因する。漁船を所有できるのは漁業者だけであり、だからこそ漁船にライセンスや許可を付与することで、漁業者のみがライセンスや許可に付随する割当を所有することができるのである。このため、ノルウェーの割当制度は Individual Vessel Quota(個別船割当)の略である「IVQ」と呼ばれる事が多い。

割当は漁船に付与されているライセンスや許可に対して与えられる。ライセンスは、トロール船やまき網船などの大規模な漁船の管理のために導入されたものである。1970年代に導入され、大規模な漁船が増加しすぎないようにライセンス制によって制限したことに端を発する。一方で年間許可は、1990年代に沿岸タラ漁業などのアクセス制限のために導入された。それ以前は、ノルウェー国民なら誰でも希望すれば沿岸のタラ漁業に参加できるオープンアクセス制であったが、1989年に起きたタラ危機をきっかけに沿岸漁業にも制限がかけられるようになった。当初は一時的な処置と認識されていたため、年間許可という形で毎年更新する形を取っているが、実質的にはライセンスと大きな違いはない。

割当の配分は船の大きさで決まる?

割当制度になって心配することは、与えられる割当がいくらか、という点ではないだろうか。個別割当というシステムそのものは機能することがわかっていても、配分が難しいために実行するのが難しいというケースが少なくないかもしれない。一漁業者の観点から見れば、多ければ多いほどよいか、ある程度自分が漁獲できる最大限に近い量は確保したいというのが本音だろう。管理をする側から見ると、頭を悩ませるのは効率性と公平性のトレードオフである。決められたTACを漁業者に配分する際、例えば100人漁業者がいれば1/100ずつ配るのが公平であるが、一方で漁業者の漁獲能力はそれぞれ異なるため、うまく使い切る漁業者もいれば使い切れない漁業者が発生する可能性がある。

これを考慮するために、よく用いられるのが漁獲履歴による計算である。漁獲能力を測るために、過去に多く漁獲した履歴のある漁業者ほど多く配分される方式である。日本のIQでの議論でもこの方法が採用されつつあり、世界でも採用例の多い方法であるが、問題は漁獲競争ならぬ「割当競争」が起きる可能性である。多くの割当を得るために、将来IQなどが導入されることが予想される場合に、無理に多くの漁獲を行うインセンティブが発生する現象である。また、漁獲能力を測る意味で効率的に見えるが、資源に漁獲圧を多く与えてきた漁業者ほど割当が多くもらえるのは倫理的ではないのでは、という批判も存在する。

ノルウェーでは、割当を配分する際に漁獲履歴は関係なく、漁船の大きさで割当の大きさが決まる方式をとっている。漁船の「大きさ」は、漁業種類によって異なり、例えばまき網船の場合は貨物積載量によって決まるが、沿岸漁業では漁船の全長によって決まる。漁船の大きさが漁獲能力を規定するため、その大きさによって割当を配分しようとする方式である。

こう聞くと、「割当を多く得るために、漁船を大きく改築したり代船すればよいのではないか」と考える読者もいるかもしれない。この割当の配分を理解するために重要な概念が基準全長(hjemmelslengde)である。基準全長は、現在の実際の全長とは異なり、それぞれの船が持つ許可によって規定されている船の長さである。例えば、基準全長が11mの船は、代船して全長が15mになったとしても、11mとして扱われる。この長さに基づいて、各船への個別漁獲割当が決定されるため、ある船が改築や代船によって船を大きくしたところで、割当を増やしたり上のカテゴリーに移行することは基本的に認められていない。11m未満のカテゴリに属する船は、実際の全長を15mまで延伸することが認められることが2016年の水産局による指導で決まったが、他のカテゴリには特定の規定はないため、基準全長と実際の全長が異なる船は多くある[12]。なお、沿岸サバ漁業ではこのグループ分けは基準全長の13mと21mに閾値が設定されている。他の沿岸漁業と同様に、13m未満のカテゴリに属する船は、改築・代船によって実際の全長を21mまで伸ばすことが認められている。

割当は守られているか?監視と執行のシステム

ノルウェーのように割当制度を運用する国では、漁獲データの正確さが重要となる。正確に誰がどれだけ漁獲したかを当局が把握できなければ、ルールが遵守されない可能性があるからだ。漁獲データは漁業者から提供されるものであり、その正確性は漁業者の規則遵守に基づく。

この点が、日本で漁獲量規制や割当制度を施行する際に壁となるのではないだろうか。漁業者は漁獲した魚を販売するチャネルが複数ある。特に近年ではインターネットを通じた直販も盛んになっており、漁業者の収入に貢献している。一方で、様々な販売経路が存在することで、どれだけ漁獲があったかを把握するのが困難となる。

ノルウェーの漁獲量規制や割当制度が機能している一つの理由には、販売組合がある。販売組合は公的に認められた団体であり、漁獲物の販売における専売権を有する。このため、「公的に認められた独占」と言われることもある、世界的にも特殊な団体と言える。2023年時点でノルウェーには主にタラなど底魚を扱う五つの地域販売組合と、ニシンなどの浮魚類を全国的に扱う販売組合が一つ存在する。ノルウェーの漁業者は漁獲した魚を売るためには、必ず販売組合を通さなければならない。ノルウェー漁船がどこにいつ水揚げしようとも、買い手と漁業者は水揚げした魚の魚種、重量、サイズ、価格、日時や水揚げ場所など記録した売上表を提出することが法で定められている2。漁業者は売上表を販売組合に提出し、それに基づいて販売組合から代金が支払われる。

その成り立ちから漁業者で構成される団体ということができるが、現在では漁業者の監視も担っている[13]。漁業者は必ず販売組合を通して取引するため、漁獲が一元的に管理されるのである。水産局や沿岸警備隊と協力して割当の遵守状況の監視や、違反船に対する罰金徴収なども行う。

しかし、販売組合は割当制度を執行するために設立された組織ではない。元々は、漁業者が水揚げした魚が買い手に買い叩かれることに対抗するために設立された組織である。販売組合と呼べる団体は少なくとも1926年から存在していたとされる。当時ニシンを水揚げしていた漁業者は、水揚げの集中するシーズンに大きく値崩れする問題に直面していた。数多く存在する漁業者が魚を集中的に供給する一方で、輸出販路を持つ買い手が買い叩くのは市場原理であるが、漁業者はノルウェー国外に輸出される価格と水揚げ市場で決まる価格が大きく異なることに気づき、買い手側に対抗すべく販売組合を構成することで水揚げ価格の値下がりを統制しようとした。この組織が、鮮魚法という法律によって1938年に法的に認められた[14]。さらに、1951年に鮮魚マーケティング法で販売組合の存在を恒久的に認めたとされる[15]。鮮魚マーケティング法は、養殖魚を除くすべての漁獲物が販売組合を通じて販売されることを規定している。

この背景が、漁獲量制限を行う時代にうまくマッチし、漁業者の利権を守る団体から、漁業者を管理する機関へと時代とともに生まれ変わったのである。現在では、2008年に制定された野生海洋生物資源管理法によって、水揚げした漁船の割当行使の監視と取締の権限が与えられている。もちろん現在でも漁業者の利権を守るという機能も維持しており、競りにおいて買い手側の団体と交渉して最低価格を設定したり、ノルウェー水産物審議会との連携による付加価値の創造なども行っている。日本でも有名な、漁獲された魚が洋上にある状態で電子オークションシステムによって取引されるものも、販売組合が行っているものである。

資源管理の進むノルウェーであっても、常に漁業者がルールを遵守するとは限らない。漁業関係者に対して行われたアンケートでは、約40%の漁業者が「ずる」を許容しており、また60%は知人の漁業者が漁獲報告を実際より少なく報告していることを知っていると答えた[16]。他にも同様の報告が相次いだことから、政府は2018年に有識者委員会を組織し、2019年にレポート『未来の漁業規制』が発行された[17]

このレポートによる政策提言を受けて、当局はキャッチIDと呼ばれるプログラムを開始した。これは、AIやセンサーなどさまざまなテクノロジーの導入により漁獲報告を自動化し、漁船が漁獲物を水揚げする前、漁獲した時点でできる限り人の手を排除した状態で割当消費を計算するというものである。また、電子報告システム(ERS)の導入を小型漁船にも広げ、2023年に10m以上の漁船に義務化、また2025年には8m以上の漁船に拡大することを予定している。

漁業者はどのように意思決定に参加するのか?

ノルウェーでは、新たな政策提案や変更の際に、関係者(ステークホルダー)を参加させて議論を行う。これは漁業に限らず、一般的に行われているノルウェーでの政策手続きの一環である。この公開意見募集の手続きは、日本で言えばパブリック・コメントに当たるものであるが、関係者が出した意見や提案が政策形成に影響することは珍しくないため、関係者自身が政策形成に参加する意欲も高い[18]

この政策形成への関係者参加の手続きとして漁業管理で最も重要なものが漁業規制顧問会議である。前述したように、グループ間の割当配分や、その他の漁業に関わる規制については、管理当局が原案を作成したあとに、漁業規制顧問会議において関係者が議論を交わし最終的な規制が決定する。この会議は毎年11月に開催され、各漁業者協会、販売組合、労働組合、研究者、各自治体や環境団体、また北欧の先住民族であるサーミ議会も参加する。2019年までは6月と11月の年2回開かれていたが、2020年以降は11月の1回のみとなっている。会議はオープンで議事録も公開され、2022年からはインターネットでも中継されている[19]

会議は次のような手順で行われる。まず、水産局が漁業の現状の説明と割当の配分を含む規制の原案を作成し公開する。それに対して、漁業者協会や販売組合など関係する団体はそれぞれの意見やフィードバックが記載された文書を会議前に公開する。これらの文書は水産局のウェブページで公開される。これらの準備を行った上で、会議で議論が交わされる。会議の後に、議論された内容を踏まえて水産局が規制の最終提案書を作成し、それに基づいて通商産業水産省が最終的な規制を決定する。

漁業管理のための規制を形成する過程に関係者の意見を反映させる機会が設けられていることは2つの点で重要である。1つ目は、民主的な意見の形成である。規制によって最も影響を受ける漁業者や業界、また環境団体などの意見を反映させることは民主的な意思決定プロセスにおいて最も重要視される。民主的プロセスは規制政策の正当性を担保するとともに、コンプライアンスも確保する。2つ目の点は、意見を反映する機会が、漁業管理を改善し続けるサイクルを形成する機会となることである。ノルウェーの漁業規制は割当の配分を中心に毎年改正されるが、図7に示されるようにさまざまな情報を取り込み、施行後に生じた検討事項なども含めて改正される中で、関係者の意見は重要な役割を果たす。これはニシン資源が崩壊し、漁業規制が本格的に導入され始めた1970年代から確立されたプロセスである[20]

図7
図7. ノルウェー漁業の年間規制サイクル
(Gullestad et al. 2017[20]のFigure.1に基づいて筆者作成)
(ICES:国際海洋探査委員会)

国内の配分はどう決まる?

TACによる漁獲量制限と割当制度による管理を実施するにおいて、大きな論争の元となるのはグループ間の割当ではないだろうか。TAC自体は生物学的に決定されるが、その配分は経済的・社会的な条件も大きく関わってくる。

ノルウェーでも、割当が各漁船に配分される前に、漁獲グループによってまず配分され、それがグループに所属する漁船に配分される形となる。ここでは、主要な漁業の例として、北部タラ漁業のグループ間配分を説明する。

タラ漁業を行うグループは全部で8つある。そのうち3つは沖合で操業するタラトロール船団、伝統的漁法の沖合船団、そしてタラを混獲として漁獲するシロイトダラトロール船団である。残りは沿岸の船団であり、基準全長に基づいて11m未満・11m以上15m未満・15m以上21m未満・21m以上で500m3の貨物積載量の船団の4つのグループ船団に加えて、オープングループの船団がある。総漁獲枠はこれらのグループに配分されるが、商業的な船団に配分される前に、教育・研究枠、遊漁枠、若年層向けの枠(後述)などの少量の割当が差し引かれる(図8)。

図8
図8. 2023年の北東タイセイヨウダラ(北緯62度以北)の割当配分図
(NOU2016:26に掲載の図を元に著者作成)

商業的漁船グループに対する配分はまず、トロール船団と伝統的漁法の船団に分けられる。タラのグループ間の配分では、2020年までトロールラダーというスキームが用いられてきた。トロールラダーとは、タラの全体割当が少ないときにはトロール船団には少ないシェアを、多いときにはシェアを増加させて配分し、残りが伝統的漁法の船団に配分されるというシステムである。自然条件に応じて変化するTACの増減のリスクに対する耐性が低い沿岸漁業への影響を緩和するため、リスク許容度の高いトロール漁業がリスクを引き受けるという漁業規模特性に応じた柔軟な資源配分方式であるが、効率的ではないという批判もあった。トロールラダーでは、資源水準が高いときであれば35%、低いときであれば最低20%がトロール船団に配分され、残りが伝統的漁法船団に配分されていた(表1)。2021年からは、割当制度の変更に伴いトロールラダーは廃止され、トロール船団が32%で固定となった3

伝統的漁法船団の割当は、まず沖合船団と沿岸船団に分けられる。伝統的漁法とは、刺し網、手縄、延縄など比較的受け身で、ノルウェー沿岸で伝統的に営まれてきた漁法を指す。伝統的漁法の沖合船団は28m以上の全長もしくは500m3以上の貨物積載量と規定されているが、実際には40-50m程度の長さの延縄船が中心である。

表1. トロールラダーに基づく沿岸船団とトロール船団の間の割当配分
表1

沿岸船団には、生鮮魚スキームと呼ばれるタラが沿岸に来るシーズンである1−4月以外の水揚げを奨励するための割当が差し引かれた量が、各漁船グループに配分される。各グループは漁船の長さで決まるが、これは基準全長に基づいたグループ分けである。

生鮮魚スキーム(Ferskfiskordningen)は、2013年に導入された制度で、1〜4月に集中するマダラの水揚げ時期を、夏以降にシフトさせるための措置である。2020年のルールでは、実際の割当に加えて、4月13日以降は10%、6月13日以降は30%を一週間当たりの漁獲に上乗せして漁獲することができる。すなわち、10%分だけ実際の割当よりも多くの漁獲が可能となる。生鮮の水揚げのみが対象となり、例えば冷凍の状態で水揚げされたものは含めない。タラの産卵シーズンに水揚げが集中すると価格の低下が起きる上、買い手側としても加工量や取扱量のシーズン内の変化が大きすぎるため、冷凍する量が多くなって製品としての価値が下がってしまうことを防ぐ意図がある。

活魚割当ボーナスとは、魚を生きた状態で水揚げするインセンティブを与えるために、生鮮水揚げと同様に実際の漁獲量より割当消費を割り引くことで、割当量よりも多く漁獲できるスキームであり2008年に導入された。活魚として水揚げされた方が高い価格が付き、さらに柔軟な加工が可能となるため価値創造に貢献するという考えである。生鮮水揚げと活魚ボーナスについては、一定の効果があったとされているが、ボーナス部分が個別割当ではないため、漁獲競争が生じていると指摘されている[23]

沿岸漁獲スキーム(Kystfiskeordningen)とは、ノルウェー北部の県であるトロムス県、フィンマルク県およびヌールラン県に属する指定された自治体に所属するオープングループの漁船が、割当から追加的に漁獲できる枠である。特にノルウェー北部に広がる過疎地域の経済活動を活性化させるために、特別に配分する意図の政策である。

リクルーティング割当スキーム(rekrutteringsordningen)は、文字通り若年層の漁業参加を促すために設定された割当である。毎年10人程度の30歳以下の者(女性は40歳以下)に対して15m未満グループへの参加を条件に割当が配分される。この割当へは応募された中から水産局が決定し、割当が配分される。2022年には6人が選ばれたが、うち3人は女性であった4

重要な国際交渉

図9
図9. ノルウェーの排他的経済水域と近隣諸国

ノルウェーが漁獲する資源の多くは、他国との国際共有資源である。地図で見るとわかりやすいが、排他的経済水域は隣国や外海と接している(図9)。またタラやニシン・サバなど対象魚種に回遊性のものも多い。そのため、国内の割当も国際的な枠組みで決定される配分に基づく。国際海洋探査委員会5(ICES)の科学的勧告に基づいて魚種全体の総漁獲可能量が決定されたのち、特に欧州連合(EU)やロシアなど周辺国との協定に基づいた交渉の後に各国配分が決定される。

ロシアとノルウェーの関係は、国際共有資源の管理として成功例と言える。バレンツ海およびノルウェー海におけるマダラなどの資源がロシアと共有されていることは早くから認知されており、1957年にはソビエト連邦との間で資源調査・研究協力の枠組みが存在していた[24]。その後漁業の資源管理についての国際的枠組みとして、ロシア・ノルウェー共同漁業委員会が1976年に設立された。当初はいくつかの商用資源のみを対象とした小さな研究のための関係であったものが、時間をかけて包括的な資源調査の枠組みとなり、ひいては協力管理のための組織となったことは、長期的な国際的漁業管理の枠組みの成功例とされている[25]

EUとノルウェーの二国間協定は、1980年に署名されたが、すでに1976年にはスウェーデンとの間でスカゲラク海峡における漁業やスウェーデン船の北海での操業について協定が存在していた。この協定に基づいて、EUとノルウェーの間でTACの設定や配分、またそれ以外の規制についても交渉が行われる。

これらの国際的な協力枠組みは多くの資源の保護に効果があった一方で、国際協力がうまくいっていない事例がサバである。2019年3月、大西洋のサバ漁業に与えられていた海洋管理協議会(MSC)の持続性認証が停止されたが、これはサバ資源が警告レベルの閾値を下回ったと推定されたことに加え、漁獲圧が高い状態が依然続いているからである。サバは遊泳範囲が広く、8つの沿岸諸国が主要な魚種として漁獲している。国際的な枠組みは存在したが、2007年前後からサバの遊泳範囲が従来より北西方向に移動してきており、とくにアイスランド周辺での漁獲が増えているにもかかわらず、アイスランドはそれまでサバの主要な漁獲国としてみなされていなかったため、各国の管理計画に含まれていなかった。この空間的ミスマッチの結果、沿岸諸国はアイスランドを含めた国際的管理を行うため沿岸国としての地位を与えたが、アイスランドを含めたTAC設定や配分の合意に至っていないため、各国が独自にTACを設定していた[26]。これらのTACの合計はICESの科学的勧告を大幅に超えるものであったため、結果として高い漁獲圧が続き、資源減少の理由の一つとなったと考えられる[27]。サバの回遊範囲が変化した理由はまだ確定されていないが、気候変動による海水温の上昇や餌の枯渇、また資源量の変化自体が地理的分布を変化させた可能性もあると指摘されている[28]

ロシア・ノルウェーの二国間協定が長い時間をかけて醸成され成功しているのに対して、環境変化によって引き起こされたアイスランドとの短期的な関係構築が失敗しているのは対照的である。日本も例えばサンマ資源を巡り隣国との関係構築に苦慮している。資源の状況が悪化すると短期的な資源利用の交渉が困難になるため、国際共有資源として認識される種に対しては、早期に小規模な共同管理の枠組みを構築することの重要性という教訓が、日本にも重要な示唆を与えている。

ノルウェーの割当はITQなのか?

ノルウェーの割当制度がITQなのかどうか、という点に対しては論争があり一概にYESともNOとも言えない問題である。例えば、「原則としてIQと同様に自由に売買できるものではないIVQと,クォータの売買を金融商品と同様に自由化するITQは,全く異なる仕組みであることは正しく認識しておかなければならない」(片山・大海原, 2015, p.329[29])、というノルウェーの制度はITQに当てはまらないという意見もあるが、ノルウェーの経済学者ハネソンは譲渡可能という特性をもって疑う余地なくITQであると述べている[30]

ITQと呼ぶべきかどうかはさておき、ノルウェーの割当移譲の制度を理解し、ITQ的システムがノルウェーにもたらした利点と課題を把握することは、日本の漁業資源管理制度を考えるうえで重要な示唆を与えるだろう。

まず重要な点は、ノルウェーのITQ的システムへの移行は「緩やかな」ものであったという点である。上述のハネソンや、ノルウェーの他の研究者はアイスランドと比較して徐々に変化したノルウェーの割当制度の特異性を指摘する。その背景には、ITQによって達成できる経済的効率性と、それによって失われる沿岸コミュニティの維持などの社会的条件とのトレードオフがある。

ノルウェーがIVQと呼ばれるシステムを導入したのは、1978年のシシャモ漁業が最初だとされている。その後、他の漁業にも拡大され、1986年のニシン漁業や、1990年の沿岸タラ漁業にも適用されるようになる。このIVQとは、基本的にほかの漁船や漁業者に譲渡することはできない割当である。この時点では、ノルウェーのIVQは図2の「IFQ(IQ)」であるが、ITQではない。

ノルウェーにITQ的な制度が導入されたのは、1984年のタラトロール漁業に対してである。この制度は単位漁獲割当制度(Unit Quota System, UQS)と呼ばれるもので、船から船への割当の移譲が制限付きで認められる最初の制度だった。ここでの「制限」とは、以下の4つの条件である。

  • 1. 割当を失った船は漁業から排除される
  • 2. 譲渡された漁獲枠は13~18年後に返還される
  • 3. 同じ船団グループ間でのみ移譲が可能
  • 4. 各船が保有できる割当ファクター(QF)の数に上限を設定

一つ目の条件は、業界の中で自発的に漁船を減少させるための施策であり、全体として大きすぎる漁獲能力を調整する意図がある。一方で、二つ目と三つ目の条件は、割当が一部の漁業者・企業に集中して不平等な配分が起こることを防ぐ意図がある。

2004年には、沿岸漁船に対して構造割当スキーム(strukturkvoteordning, SQS)という管理制度が実施されることとなった。これは、1990年のIVQ施行後、収益性は改善したものの全体としては低く、さらに全体の漁獲能力も大きすぎると判断されたためである。SQSも、UQSに似た仕組みで、次のような条件のもとで、船から船への割当の移譲を認める制度である。

  • 1. 割当を失った船は漁業から排除される
  • 2. 譲渡された漁獲枠は永年継続される
  • 3. 移譲した割当のうち20%は船団全体に還元される
  • 4. 同じ船団グループ間でのみ移譲が可能
  • 5. 同じ地域(県)内でのみ移譲が可能
  • 6. 各船が保有できる割当ファクター(QF)の数に上限が設定

沿岸船団に対するSQSは2007年に大きな改正があり、当初は15m以上の漁船に適用されていたが、11m以上まで拡大された。また、二つ目の永年継続は、2007年に改正されて20年(2007年より前に移譲していたものについては25年)の有効期限がかけられた。また五つ目の条件は、2016年に県から地方(北部と南部)という形で範囲が緩められた。これらの条件は、UQSと同様に、一つ目は漁業全体の漁獲能力の調整のため、もう一つは割当集中を防ぐための措置である。2005年には、UQSによって管理されていた沖合の船団もSQSに移行し、その際にグループ間の制限が緩和された(例:生鮮トロールと工船トロール間での移譲など)。

このように、ノルウェーのSQSという制度は多くの制限がある上、割当という権利自体のみを売買することはできない。割当は許可やライセンスを通じて漁船に交付されており、漁船を売買することで結果的に割当の取引が可能となる。この点は、より柔軟に割当を取引することができるアイスランドやニュージーランドのITQと大きく異なる。しかし、スキームを通じて、漁船の取引が多く行われた。つまり、割当が付与されている漁船そのものを売買することで、漁業者間の割当の取引が行われる仕組みがSQSという制度なのである。

割当制度の成果と課題

ノルウェーにおける漁獲量制限と割当制度は何をもたらしたのだろうか。冒頭で論じたように、漁業資源管理の目的は、資源の持続性・経済的利益・社会的目的の3つを達成することであるが、ノルウェーにおいてそれらは達成されてきたのであろうか?

資源が保全され、利益を上げているという日本で共有されている事実は間違いないだろう。2020年には資源推定のなされた74系群のうち50系群は良好であると評価されている。また、利益も上がっている。図10に示すノルウェー漁業の営業利益率の推移を見てみると、2004年にSQSが施行されて以降、利益率のトレンドが上にシフトしていることが見て取れる。前述したように為替などの影響もあると考えられるが、SQSによって経済的に効率化した部分があることは間違いないだろう。

図10
図10. ノルウェー漁業の営業利益率の推移

さて、ノルウェーのSQSという制度がITQかどうか、という疑問に立ち返ってみよう。漁船の取引を通じて、2006年から2015年の間にまき網で約19%、沖合の浮魚漁業では約68%、沿岸船団では30%の割当が取引されたとの報告がある[31]。また、筆者らがノルウェーで行った研究では、2004年以降のタラ漁業における漁船の減少が、単なる減少トレンドによるものではなくSQSの実施によって加速したことを検証した[32]。また図11は同研究で発表した図で、SQS実施直前の2003年とデータ最新年の2017年時点の割当の基準全長に対する分布を比較したものである。薄い点はそれぞれの漁船のデータを表しており、直線は各グループ内での傾向を表している。2003年(赤)では、基準全長と割当の関係はほぼ一対一で、割当が基準全長に基づいて配分されていることを表している。しかし、2017年には、大きな基準全長を持つ漁船に多くの割当が偏っていることが示されている。割当の取引は基準全長で決まるグループの中でしかできないため、グループの中で大きい漁船に割当が集まっていることがわかる。定義としてITQと呼ぶかどうかは議論があるが、①全体としての漁獲能力を下げる漁船の減少、②割当の分布の変化、の二点が達成されているのを見ると、ノルウェーのSQSがITQ的な機能を持っていることは間違いないだろう。

図11
図11. 沿岸タラ漁業におけるSQS実施前(2003年)と実施後(2017年)の
基準全長に対する割当の分布(Abe et al. 2023)

ITQのもたらす利点と課題は、まさしくノルウェーの漁業管理が頭を悩ませているトレードオフそのものである。すなわち、漁業者や漁船の減少と一部の漁業者・漁船への割当の集中による効率化と、それによって失われる社会的な目的である。ノルウェーの漁業管理において重要視されてきたのは、沿岸コミュニティにおいて広く多様に行われる経済活動としての漁業と、他の産業の成長率に取り残され賃金や資本のリターンが低くなりがちな経済性をどう改善するかというバランスの取り方であった。経済性を優先する政策は、大規模漁業を優先し、コミュニティに基づく小規模漁業をないがしろにするものとしてしばしば反対にあってきた。

しかし、一方で漁業の経済性を改善することは重要な課題であった。ノルウェー全体が経済成長し、人々の実質所得が増加するにつれて、産業全体の平均所得と漁業から得られる平均所得の間に大きなギャップが生まれる様になってくる。1965年以降、ノルウェー全体の実質所得が2%の率で増加したのに対し、漁獲物の実質価格は1%しか増加しなかった[31]。これによって生まれる所得のギャップを埋めるために、1960年代から70年代に漁獲量を増やしてきたわけだが、ニシン危機などを経験し、資源に限りがあるため漁獲量を増加し続けることは難しいことがわかってきた。これはすなわち漁業を営む人々が相対的に貧困に陥ることを意味し、沿岸のコミュニティの存続を危機にさらす事となる。

かといって、補助金を漁業者に配分することも持続的ではない選択肢であった。ノルウェーは1964年に漁業協定という協定のもとで漁業者に対して補助金を配分していた。これは、経済的に困窮する沿岸コミュニティを政治が救うべきという考え方に基づく。最も多い時では、漁業における付加価値の70%が補助金であったという[33]。しかし、財政的に難しいというだけではなく、1980年代にヨーロッパ経済圏に加入し、EUとの自由貿易協定が結ばれたことも大きな理由となり、補助金は徐々に削減された。2004年には漁業協定自体が廃止されたことから、水産業の経済性の向上は以前よりも重要視されるようになった。漁業自体を低コストかつ高付加価値を生み出す産業に改革しないと先はないという意識が当局や漁業者自身にもあったのかもしれない。

このような背景から、個人ではなく漁船に対する割当を発行し、その取引に規制を加える形のシステムが成立した。割当制度の当初の目的は、資本集約などの経済効率性の向上よりも、水産資源に対して過剰であったキャパシティを減少させつつ、沿岸に広がる小規模漁業の分布を維持することにあった。しかし、SQSがもたらした結果として、ノルウェー漁業は沿岸重視や過剰キャパシティの削減、赤字からの脱却という原則から、徐々にマーケット志向・効率性の向上へシフトしてきたとされる[31]

実際に割当制度を経験したことで、漁業者自体も全体としてはこのような政策に対しての態度が変化したことも、政策で重視する点のシフトに貢献している。1989年のタラ危機を受けて、1990年から施行された沿岸タラ漁業に対するアクセス制限と譲渡不可能な割当制の成果は、大きな利益の上昇に貢献した[6]。この理由は魚価の上昇ではなく、漁獲競争によるコスト削減の効果が大きかったからである。漁業者自身は1990年の割当制度の試行を一時的な措置として受け入れたが、結果的に恒久化された理由として、漁業者自身が政策変化を経験してその有益さに気づいたことは大きいだろう。

割当によって得られた経済性は、ある程度は漁業者に還元されているようだ。「漁業者は貧困に苦しんでおり、政府の政策によって保護されるべき」という意見は、日本だけでなく諸外国でも散見される考え方であるが、この命題は現在の北欧に限れば当てはまらない。Nielsenら[34]はフィンランドを除く北欧4カ国の漁業者の収入を調査した結果、スウェーデン以外の3カ国では漁業者の平均所得は国民全体の平均所得を上回っており、スウェーデンでも10%程度下回る程度だったという。とくにノルウェーではまき網などの船主が一般の所得の5倍以上となっているが、被雇用者の船員でも一般の約1.4倍の所得だと報告されている。所得が高い理由は、危険な労働に対するリスクプレミアムなどもあるが、最も大きな理由は労働市場及び資本市場が柔軟に働いているため、競争的な収入を提示できなければ労働者や資本を集めることができないからである。被雇用者の船員の給与が高い理由は、労働生産性の高い大規模船による操業が多くなっており、さらに大規模船は譲渡性のある割当による管理が主体になっており高効率だからである。

しかし、すべての漁業者が一様に割当制度の恩恵に預かったわけではない。今ノルウェーで問題となっているのは、やはり沿岸コミュニティに対する影響である。割当制度の下では、漁業者が強制的に漁業から排除されることはないように見える。しかし、例えば自分のコミュニティで周りの漁業者がどんどん割当を別の漁業者に売り、漁業から去っていったらどうなるだろうか。自分自身が漁業を続けたくても、漁業者に資材を供給する業者や地元の水揚げ市場がなくなってしまうかもしれない。図12は、SQSが開始された2004年と14年後の2018年のタラの受け入れ港の変化を表している。赤い点は、2004年時点では水揚げが行われていたが、2018年までに水揚げが停止された港を指す。SQSが実施されて以降、多くの水揚げ港が停止していることがわかる。割当の移譲が許された結果、多くの割当が一部の地域に集中し、漁獲物の水揚げが実質的に流出した地域では漁業の継続が難しくなっている。沿岸コミュニティのために漁業の経済性を改善し、パイは大きくなったがその配分が難しくなっている状況だ。2020年にはノルウェー漁業者協会の北部支部が、小規模漁業における課題に十分に取り組んでいないことを理由に協会からの独立を宣言するなど、対立が深まっている様相を呈している。

図12
図12. 2004年と2018年の水揚げ受け入れ港の変化。青い点は2018年時点でも水揚げを行っているが、赤い点は2004年以降で2018年までに水揚げが停止された漁港を表す
(ノルウェー国家監査院のレポートより引用)

割当制度が一定の成果を出した一方で、その運用や副次的な影響も精査される必要がある。ノルウェー政府は、2020年に割当制度を含む漁業関連法(参加者法、海洋資源法)を改正した。この背景としては、1) 割当制度の透明性の改善 2) 割当利用の柔軟性の改善 3) 漁獲キャパシティの長期的な調整 4) それらに伴う法的制度の調整、の4つが挙げられる。ノルウェーの割当制度は、上述したように1980年代に始まってから、長い時間をかけて積み上げられてきたものであるが、さまざまな利益折衝の結果、システム自体が複雑になっている面があった。それらを簡潔化して透明性を確保するために、上述のトロールラダーのような動的な配分や、基準全長に基づいて毎年変わる割当ファクターなどを固定化する変更がなされた。また一方では、割当を使い切れないなどの無駄をできるだけ減らすために、割当のリースやその上限の緩和、またそれまでは相対で行われてきたリースの取引を行う市場の整備などが盛り込まれた。

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