水産振興ONLINE
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2023年5月

海洋水産技術協議会ワークショップ
「ブルーカーボンとカーボンクレジット-課題と展望」

5. 追加質問

(ワークショップ終了後に寄せられた質問と講師の回答について以下に掲載します。)

◎クレジット売買について

Q1:間引いた海草を深海に投入する取組は、ブルーカーボンの対象になりますか?

A(堀氏):残念ながら人為的に海草を深海へ投入することは、現時点では国際法により禁止されています。自然に深海へ流出する分には問題ありません。

◎養殖業における追加性の判断について

Q2:個別経営体では従来型の養殖形態であっても、漁協単位、地域単位で養殖業の減産傾向が見られる場合などに、クレジットを活用することによってその維持が図られるとか増産が見込まれるといった場合に追加性の要件がクリアされる余地があるとの説明でしたが、海藻養殖の、茹でる、乾燥するといった過程で生じる排出量を勘案しても吸収量との差し引きで認証が可能となりますか。

A(桑江氏):クレジットは、水揚げ前の養殖中までの段階までの活動に対して認証します。茹でて乾燥する工程を、ブルーカーボンのクレジット取得のためにわざわざするとは考えられませんので、クレジット申請時に茹でて乾燥する工程の排出量を差し引く必要はありません。水揚げ後の茹でて乾燥する工程は水産業(水産物として出荷するなど)のために行うということでしょうから、その工程に伴う排出は、水産業のセクターとして計上すべきものとなります。

養殖から乾燥等の加工を行っている漁業者でも、養殖までがブルーカーボンのクレジット申請対象となり、製品化するために茹でたり、乾燥したりする際に排出されたCO2は水産業のセクターで計上されるため、クレジット申請時に、排出量を差し引く必要はありません。

◎Jブルークレジットの制度や手続きについて

Q3:認証取得に向けた申請から取得までにかかる期間はどの程度ですか。

A(桑江氏):実績から申し上げると約3-4ヶ月です。

Q4:申請に必要な費用について教えてください。

A(桑江氏):クレジット取得後、全量を売却される意思表示をされた場合、これまでは無料とさせていただく代わりに、売買成立時に成功報酬をいただくことにしています。全量売却されない場合は手続き費用が生じます。

◎海藻・海草の種類や測定について

Q5:認定されなかった事例がありますか。あるならばその理由を例示的に教えてください。

A(桑江氏):事前相談の時点で、クレジットの要件を満たしそうかどうかを判断させていただきますので、実績としては正式な申請を受け付けたにもかかわらず認証されなかった事例はありません。

◎クレジット売買について

Q6:販売しなかったプロジェクトは、貯蓄できますか?1年限りでしょうか?

A(桑江氏):保持可能です。ただし、クレジットの価値は一般的に時間とともに減少しますので、早めの活用(譲渡、自身でのオフセットなど)を勧めています。

Q7:認定後、JBEを通さずに相対取引できますか?

A(桑江氏):可能です。