5. 終わりに
2023年は、市場移転から5年の節目であり、新型コロナの影響が社会から消えるタイミングであり、そして築地市場跡地の事業予定者が決まる年であるなど、さまざまな変革のタイミングを迎える。「食のまち」築地が“千客万来”を本当に実現できるか試される年になる。
世界レベルの飲食店が集まる銀座界隈が至近にあって徒歩や自転車でも行き来ができる「食のまち」としての明らかな優位性、歴史が育んだ公共交通機関によるアクセスの多彩さ、足元の商圏である中央区一帯において近い将来急激な人口増が確実視されている点、築地市場跡地の再開発施設の稼働により大幅な人流の増加が見込める点など、築地場外市場を取り巻く環境へプラスに働く要素を列挙していけばキリがない。築地市場の閉場、そして新型コロナの逆風を乗り越えることができた今、後は上がり目しかない状態といえないか。
そんな中で、関係者の多くが望む“千客万来”の築地場外市場を実現するのは、今まで人々を惹き付けてやまなかった「“商店街”コンセプト」を今後も守り続けながら、あらゆる可能性を追求して、より洗練させていくことに尽きる。築地場外市場の関係者全体で認識を共有し、実現するためのアイデアを出し合えば、そう難しいことではないと考えている。
写真13:2016年11月の「築地魚河岸」のプレオープン日の賑わい。
当時の賑わいを恒常的なものにすることも、今後の対応次第では難しくない
当時の賑わいを恒常的なものにすることも、今後の対応次第では難しくない