水産振興ONLINE
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2021年10月

座談会 平成の漁業制度改革

司会矢花 渉史 氏
長谷 成人 氏/山口 英彰 氏/藤田 仁司 氏/横山 健太郎 氏/森 健 氏/赤塚 祐史朗 氏/萱嶋 富彦 氏/
永田 祥久 氏/ 清水 浩太郎 氏/加悦 幸二 氏/中村 真弥 氏/木村 聡史 氏/藤田 晋吾 氏/塩見 泰央 氏/
冨澤 輝樹 氏/牧野 誠人 氏/西尾 暁 氏

座談会 平成の漁業制度改革(1日目) つづき

「水産政策の改革について」から改正法の成立まで

矢花:ありがとうございます。残りの時間で6月取りまとめ以降の条文化、法制局とのやりとりなどいろいろとあるのですが、その辺りで少し、これはここで記憶として皆さんと共有しておいたほうがいいだろうというようなものがあれば、出していただけるとありがたいのですけれども、いかがでしょうか。では藤田晋吾さん、お願いします。

藤田(晋):ありがとうございます。中身に入る前に、法制局とのやりとりを担当したという観点で、膨大な条文量となる改正漁業法が短期間でうまく仕上がった1つの大きな要因として、法制局の細川参事官のことを語らずにいられません。経産省(から出向)の方なのですが、非常に、われわれの立場に立っていただいて、法制局内の難しい幹部との調整もすごくやっていただいて、われわれももちろん休みなくやったのですが、細川さんも休みなく、土日も早朝も含めて対応していただきました。時間がないという制約の中、細川参事官は、我々の話を速やかに理解していただき、色々とアドバイスいただきました。細川参事官に大変お世話になったということをこの場で申し上げたいと思います。

矢花:ありがとうございます。今あった法制局の細川参事官というのは、本当に何というか、あの人によく巡り合えたなというか、あの人でなければ多分できなかったでしょうねという、そういうスーパーマンですね。

藤田(晋):水産庁の法制局の担当は歴代経済産業省から来られている参事官というしきたりのようなものがあるのですが、今回これだけ大変なボリュームの漁業法について、今までどおりになるのかなとは思っていました。このため、5月ぐらいの段階から、お手紙を付けて、ぜひ見てくださいというようなことをやり始めたことを記憶しています。

矢花:ありがとうございました。

山口:臨時国会でということについては、確かに準備に時間がない中で、たこ部屋の人をはじめ企画課、経営課その他関係課の皆さんにもかなりご苦労を掛けたと思いますし、もっと時間をかければもっと良くなったのではないかというところもあったかもしれません。一方で臨時国会というのは通常は予算審議がなくて法案審議に集中することができます。そういう点では、農水省の他の法案との競合もないし、先ほど話がありました法制局の審査も、皆さんには夏休み返上でやってもらい大変でしたが、細川参事官を独占できましたし、集中的に法案を作って国会でも集中的に審議を行ってもらうには、恵まれた環境であった言えると思います。

あと、話は変わりますけれども、藤田晋吾さんの話に少し補足させていただくと、彼とは農業競争力強化支援法のときに官房で一緒に仕事をしてきまして、彼の法案を作るセンスや調整能力はよく分かっていました。実は彼も静岡県に出向していて、そのときのポストは水産局長になりましたが、私の何代か後ということになります。ご実家も水産関係であるということもあり、官房にいるときから「私は水産庁に行きたいです」と聞いていました。そういう点で、たこ部屋に入ってもらい、その前から頑張っていた横山さんや萱嶋さんをはじめ多くの人たちとのチームワークで大法案がまとめられたことに感謝しているところです。

矢花:長官、ありがとうございます。他に何かここでご発言しておきたい方はいらっしゃいますか。萱嶋さん、お願いします。

萱嶋:法制局の話にも入っているので、私からも一言申し上げておきたいと思います。先ほど藤田当時企画官から話のあったように、細川参事官にやっていただけるということになったのは本当に良かったと思っています。また法律化の作業のほうもだいぶ早くからいろいろと進めていったのが、うまく功を奏したかとも思っていまして、皆さまご存じのとおり最初に改革の方向性があり、それを横紙という形で一段詳しいものをみんなで作っている中で、併せてそのまたさらに細かい、今度は条文になるとどうなるのかというのを結構早くから、もちろん、そもそもその前段階の横紙が固まらないとなかなか決まらないという面はありますが、一方で条文のところと少し見ながらチェックをしていたのを、今でも思い出します。

先ほどいろいろと話の中で、たこ部屋の話は冨澤さんからもあったと思いますけれども、最初はいろいろと分野ごとに人を分けてやっていこう、などということもやっていたわけですが、先ほど言ったようにもう時間がないという中で、条文量がとにかく膨大な、当時整理してみると180条になるのではないかとか、いや、250条になるのではないか、もう何か恐ろしい状態で推移していたので、何とかこれを束ねていかないとということで、最終的には部屋の中で法制局をメインで対応する人と、それと先ほど出たもろもろの外部、団体もそうですし政治関係もそうですし都道府県などもそうです、そういった方々との調整を主としてやるというところでうまく今度はチームを切り替えていただいて、その結果として私どもの手元に全ての条文がどっと集まって、大体200条前後ぐらいになったというのが当時の状況でした。

法制局に早く持っていかなければということでしたので、あまりまだ整理し切れていないけれども、当時は第2章第3節、第何節の第何条のような何か仮の番号を付したような状態で整理していたものを持っていって、早速それに沿って見始められたというのが、今でも印象に残っています。

一つだけ当時で後悔していると言うと言い過ぎなのですが、もう少し工夫の余地があったなと今でも思っているのは、あの条番号です。結構早い段階で、第何条はこの条文というのを結構かちっとはめてしまって、後から1条加えたいとか1条削りたいというときに、全体が動くのだけは勘弁してくれと法制局からは再三再四言われていました。

どうしても1条、例えば第5章に1条加えるとなると、今第5章にある1条をどこかに、第9章か何かに持っていかなければいけないという、すごくこう、何かジェンガのようなパズルをやらされて、1条削るならきちんと何かここに入れろというような。あれは今でもすごいパズルだったなということを思い出したのは、少しこの法制局関係で懐かしいところではありますが、いずれにしても細川参事官でなければ絶対にこれは実現しなかったということと、藤田企画官が当時あの大戦略を実現されなければこれは実現しなかったという点において、お2人に敬意をここに表したいと思います。

矢花:ありがとうございます。この辺りでどなたかご発言ありますか。しばらく発言していないですけれども、横山さんなど、何かありますか。

横山:こうして皆さんのいろいろな当時の調整状況を改めてを聞いていると、膨大なあれだけの内容をよくあのような短時間でできたなというのを改めて実感するところなのですけれども、それだけのことができたというのは、水産庁内の役割分担を明確にして、みんなが1つの方針の下で動けていたというのがすごく大きいのかなと思っています。

案を作っていく段階、つまり平成30年3月ぐらいに改革の内容が取りまとまる前までの過程においても、長官室に担当も含めて集まって、みんなでその場で意見を出しながら内容を固めていくという作業ができたことにより、広く水産庁の改革に関わるメンバーの情報共有が効率的に図られたということと、あと意思決定のスピード化が図られたということがすごく大きなところかと思っています。

あと水産改革においては、もちろん法制局での条文調整作業もそうですし、原課とともに具体的な改革の中身を詰めていくという作業もそうですし、併せて幹部の人たちにどう動いていただくかとか、あと党の対応をどうするかなどのロジ作業など、やることが多岐にわたっていた中で、得てして普通の法改正ですとたこ部屋だけがそれをやり、たこ部屋が幹部の一部とだけとつながることととなり、孤立してしまいがちになってしまうところが、今回は、当時の藤田課長と矢花参事官がいていただいて、私もその下で、具体的な内容の検討や、たこ部屋と各課との調整、検討状況や条文解釈など各課への情報共有といったことを本課で担うことにより、特定の者だけで具体的な内容を検討するのではなく水産庁全体で問題意識を持って作業することができたことが、ポイントだったのかなと思っています。

その意味においては、まさにそういうような役割・やり方を進めていく体制を企画課につくっていただいた藤田課長と、たこ部屋に主に座って調整していただいた矢花参事官の活躍によるところが大きかったのかなと、私が企画課にいた立場として感じたところです。

矢花:過分なお話をありがとうございます。あと赤塚さん、お願いします。

赤塚:ありがとうございます。たこ部屋の外の立場からの意見を申し上げますと、横山さんが先程説明されたとおり、これだけ大きな改正で、かつ非常に短い期間で作業しなければならない状況であったにも関わらず、たこ部屋以外の関係課に対してはきめ細やかな情報共有がありました。更に、極めて多忙な中にも関わらず、条文案の解釈に係る質問、特に私なんかはそれまで法律を扱ったことがないものですからかなり素人的な質問が多かったと思うのですが、それに対して丁寧に対応してもらったことにも大変感謝しています。今後の大改正においても、このような大改正を何度も経験することが水産庁にとって幸せかどうかは分からないですけれども、引き継がれて欲しい仕事の進め方だと思います。

矢花:ありがとうございます。長谷理事、何かこの辺りでご発言はありますか。

長谷:もう本当に大変な状況の中で、心の方ではなく体の病人は出たかもしれないけれども、死人も出さずに最後までたどり着けたということが本当に奇跡のようにも思いますし、それぞれの持ち場で皆さん本当に尽力していただいて素晴らしいチームだったなという、だからこそまたこうして、このような座談会もしたいなという思いになったのだと思いますけれども、ありがとうございました、ご苦労さまでした。

山口:いいですか。条文審査といいますか法制局の話については、特に条文を作る上の苦労のようなものを紹介してもらえませんか。実際にたこ部屋を中心に、横山さんや赤塚さんも含めて、各省協議や団体との調整でいろいろと苦労したのではないかと思いますし、後世に残すためにも、少し話しておいていただきたいと思います。

矢花:では、一応目的や原則も含めて条文のところでもやろうとは思いますので、軽くお願いします。藤田さん、手が挙がっていますので、晋吾さんお願いします。

藤田(晋):各条文の中での苦労話や論点は、各条項の議論の中で触れていきたいと思いますが、全体を通した論点としては、法案全体の建付けの話があります。法案検討室が立ち上がった7月頃、庁内では、まず、漁業法とTAC法と水資法を一つにしようという大きな話があり、さらに、その他にも沿岸漁場整備開発促進法など、この機に類似制度を統合すべきではないかといった議論もありました。したがって、結局、どの法律を改正するのかということです。こうした大枠は、全体のコンセプトに関係するので、自分として最初に法制局に行って議論して、果たして通るか、認めてもらえるかという、そのことが最初の山ではないかと思っていました。本当にTAC法と漁業法が統合できるのか、本当に法制局を通せる理屈ができるのかというところ、その辺りが一番悩みどころで、心配になっていたところでした。それだけ大事な論点なので、間違った理屈を法制局で出すと、参事官などに引っ掛かるとそれがうまくないと思ったので、十分庁内で議論して練って出していかなければいけないと思っていました。

そんな時、水協法のほうが先に準備が進んでいたので、早速、法制局審査が始まりました。その際、漁業法の話も出ないとも限らないから取りあえず誰か1人は行くという話になり、私が行ったのですが、水協法の話を水産経営課の担当の福島飛鳥さんが説明しようとしていたら、細川参事官が先に漁業法の統合の話を始められまして、「漁業法とTAC法を統合したいんだって?」といきなり問い掛けが来て、内心、こちらはあまり準備も整っていなかったことから、正直ドキッとしたわけです。

その時、TAC法は現行規定の中でも一応個別割当ができる条項はあるが、それは不利益処分として構成されているため、今後、本格的にアウトプットコントロールとして導入するのであれば、利益処分に転換していかなければいけないと考えており、そういう転換をしつつ、漁業法の中に埋め込んでいく必要があるのだという旨の説明をしました。そうしたら、細川参事官は、義務的なものを権利的なものに変えていくということか、それなら何とか説明できるかなといったようなことを言ってくださったというのが、思い出話として1つあります。

矢花:ありがとうございます。そういう意味で少し今のような、条文の中身ではなく法制局対応や、国会、最後の対応もいろいろとありましたが、その辺で何かこう少し今、これから条文の話に入る前に、これはちょっとみんなで共有しておこうというのがあればと思うのですが、どなたか何かありますか。どうですか。横山さんですか。

横山:今、当時矢花参事官からあったような話にプラスアルファーの話なのですが、改革の内容を原課と調整しながら具体化していくという作業をする傍ら、他省庁との調整もやっていたところです。

特に今回は資源管理を強化し、罰則を強化するといったような面で、法務省といろいろと調整したり、漁業法とは都道府県知事の役割や国の役割というのがいろいろとあることから、地方自治との関係の中で総務省に何度も説明をするなど、他省庁との調整が非常に多かったなというようなところがあります。

具体の、個別の話はまた各条文のところでやるとして、今回これだけのボリュームがあったということなので、それこそ本当に早め早めで荒々の段階から説明していった方が良かろうと考え、まず現行条文の説明をしながら、改革の検討が進むにつれて、随時追加で説明していき、調整していきました。

まさに先ほど藤田晋吾企画官からもお話ありましたけれども、ターゲットが決まったら早め早めで荒々の段階でもお話しして、ある意味仲間にしていくといいますか、前提知識を持ってもらうようにしたことが、短時間での作業の中で、最後はドタバタしましたが、何とかうまくいったポイントかと思っています。

ただ一方で逆の立場で考えてみると、条文が荒々で、かつ、毎日のように条文が変わるものをちょこちょこ持ってこられて、よくもまあ法務省や総務省の方々が付き合ってくれたなというのが正直なところであり、ありがたく思っています。

矢花:藤田晋吾さん、どうぞ。

藤田(晋):何度もすいません。法制局対応ということで、今日も参加されていますけれども冨澤君がすごく大活躍をしてくださいました。先ほど彼は謙遜して、いろいろなロジ的な話のようにおっしゃっていましたけれども、実はそれがすごく大事でした。要するに膨大な条文になりますから、資料を間違いなくセットして、間違いなく組んで届ける。例えば、それを一つ取ってみても、すごくとても重要な作業になります。萱嶋君が一太郎で新旧対照表をどんどん直していくのですが、実は途中で、あまりに条文の数が多過ぎて一太郎が故障してしまうという事件が起きまして、それで法制局から、資料管理は厳重にしろと何度も言われました。法制局というところは厳しくて、中身がよくても、資料の丁合いをミスするだけで通らなくなるという中、冨澤君が細川参事官と非常にお友達のような信頼関係を築くまでに至り、取りあえず、我々の資料が間に合わなくとも、冨澤君が体一つで行って細川参事官と雑談して待ってもらっているとか、そういうすごい活躍をしてくださいました。もちろん、法案の内容についてもしっかり活躍していただいたのですが、そういうエピソードもあったという意味で、この場で紹介させていただきたいと思います。

矢花:冨澤さん、一言どうですか。

冨澤:私はロジ関係ということでしたけれども、まさに今藤田企画官からお話がありましたとおり、最後に皆さまが作っていただいた膨大な資料を、大体いつも大きい10センチ幅のドッチファイル6冊とかですかね、最後の長官審査などのときには参照条文、新旧対照表、その他資料で、確かドッチファイルを6冊ぐらい届けていた記憶があります。この印刷をするだけでも非常に時間もかかりましたが、やはり最後に細川参事官とのお話の中で細かい調整が入るので、私はそれをその場で聞き取り、修正内容をたこ部屋の方々に電話で伝えまして、すぐ次の修正版の原稿を届けていただいて、それを差し替えるというような作業をやっていました。そういう意味でも、よく法律を知らない私の曖昧な電話の中でも、皆さんには本当にそれをうまくくんでいただいて修正版を出していただいたことは、当時のたこ部屋の体制としてすごく充実した体制であったのだと今でも思う次第です。私から法制局関係は以上です。

矢花:ありがとうございます。今、ロジの重要性というのは大切だと、大変さというのがありました。漁業法の場合ボリュームがボリュームだけに想像を絶するといいますか、修正を掛けた中身が出来上がってから、それを印刷して法制局に届ける部数を作るのに3時間、4時間など。ですから逆にそういう時間を逆算しながら作業をやっていたということで、冨澤さんなどは工場長などと呼ばれていましたけれども、そういう状況でした。まあ本当にボリュームが大きいことと、時間の限られている中で、普通には言えないような苦労、普通では想像できないような苦労を皆さん乗り越えてこられたという感じがします。では山口長官、お願いします。

山口:まずとにかくあの合本5点セットの分厚さが、本当にいろんな法案を作った私の役人生活の中でも一番厚かったです。漁業法だけでも、いわゆるTAC法と一緒になっているので2本分ですよね。それに水協法が1本分以上ありましたよね。水協法は、改革に伴う改正、「水産政策の改革について」に書いてある事項だけではなく、これは法改正の機会にということなのでしょうけれども、共済事業の部分についての保険業法並びの諸々の規定とか、登記に関する規定を登記令に落とすための改正とかありました。そういう、この際やってしまおうというところも含めて、水協法の部分は、たこ部屋ではなくて、水産経営課の本体の中だけで全部それをやっていただいたということで、それがもう農協改革法並みの改正を1本やり、その3つが全部1つの法律になっているということで、大法律3本分ぐらいのボリュームであったと思います。本当にこの短時間でやれたというのは、誰かも言ってましたが、奇跡だというそういう思いがあります。

ただ、そういう点ではやはりいろいろと取りこぼしやミスが出るのも仕方がないところではあるので、それをとやかく言うつもりはありませんが、せっかくですので覚えていることを話します。まずは時間がすごく限られていたわけです。この水産改革については臨時国会の安倍総理の所信の中でも出てきて、今国会に法律を出しますということになっていたわけです。それで、臨時国会に提出する法案の最終閣議が11月6日であると、どうしてもそこまでに間に合わせろという厳命が下っていました。

ところが今も話がありましたように、条文は最後までころころと変わるし、最後の段階で横山さんが言っているような罰則について構成要件がどうだこうだとかというところまで、これも各論で出てくると思いますけれども、密漁対策の罰則規定の内容として、新しい罰をつくって3,000万円の罰金も付けたりなど、いろいろと本邦初公開もやりながら条文を作ったものでした。法案作成の最後の最後は本当に、読み合わせに何人使ったのでしょうか。もうとにかく水産庁中の事務官と空いている人を全部入れて、超短期のたこ部屋要員も入れると10人以上いたのかな、そういうこともやりました。

矢花:ありがとうございます。この絡みで誰か発言ありますか。萱嶋さん。

萱嶋:あのときはもう本当に、特に10月です、10月の1カ月間はみんな帰ることもできなくて、たこ部屋の皆さんは本当にいろいろとやってくださったと思います。特にあの頃になると法制局関係では偉そうにも私のほうでいろいろとやらせていただきまして。皆さまのご協力があって、計画どおりに実現できたということで、あのときにあの部屋にいらっしゃった皆さまには、もう本当にありがとうございますと申し訳ありませんでしたという気持ちでいっぱいです。逆に言えば、そのように私が偉そうにやっているのを皆さんで認めていただいた、本当にそれこそ藤田企画官以上、皆さま上の方々にも感謝したいと思います。あの頃は従って毎日出前で、何か出前を食べないと気が済まないということで、今いませんけれども牧野君に毎日何か出前を考えてもらっては皆の出前を注文するということをやったのも、また何か、今思い返すと懐かしいところです。

あとそういった観点で言うと、とにかく読み合わせなども計画的にやらないと絶対間に合わないということで、部屋の中での読み合わせももうむちゃくちゃ言いまして、読み方を私がこれまた偉そうにレクチャーして、皆さんにやってもらったというのも、また懐かしい思い出です。

法令審査官の熱田君は、私と横山君の同期なわけですが、彼も本当にこの点についていろいろと協力してくれて、法制局に行くに当たってあれこれ工夫もしてもらってうまく進められたということは、今でも思い出すところで、このことも特筆しておかないといけないと思います。

藤田(晋):法案作成の最後のひと月の話がでましたが、10月9日に、新たに、兼松君、古園君、竹内君、菊地さんの4名の方々に、メンバーに加わってもらいました。兼松君、古薗君、菊地さんは法案検討室に、竹内君は本課に配属となりました。

法案検討室の3名の方々は、例えば、引用条項に誤りがないか、新旧対照表と条文案に齟齬がないかなど、非常に細かいチェックをしてくれましたし、新たに書き下ろす条文案の用例も探し出してくれたりしました。また、竹内君は、横山君とペアを組んでもらい、各省庁との折衝窓口をしてくれました。他省庁との折衝は、法改正の内容をきちんと説明した上で、他省庁所管法律のハネ改正の要否や内容を調整する必要がありますが、竹内君は速やかに膨大な法改正の内容を理解し、他省法律のハネ改正内容のチェックや漁業法の自治事務の規定の書き下ろし等の作業を適切に行ってくれました。その他にも、追加メンバーは、まさに寝る間を削って、ありとあらゆる作業を率先してやってくれて、本当に助けてもらいました。この4名の方々の活躍無くして、今回の法案がスケジュール通りに完成することはなかったと思います。とても感謝しています。

矢花:ありがとうございます。では清水さん。

清水:本当にたこ部屋も大変でしたので、合本や資料本の印刷は水産経営課でやることになりました。指導室の指導2班で塩手班長と、その下で中村慎也さん、今は北海道漁調にいますけれども、その2人でやってもらいました。本当にもうものすごい分厚さと部数でしたので、本当に綱渡りでした。

彼らも平成19年の水協法改正などを経験して経験豊富なので、本当に心配をしてもらいながらやってもらいました。途中で1回新旧の線なし版を印刷してしまい肝を冷やしたこともあったような気もしますけれども、何とか乗り切った覚えがあります。

併せて、先ほど山口長官からも水産経営課は通常体制でやったという話がありましたので、これも記録に残しておきたいと思いますが、先ほど指摘ありました補佐は福島飛鳥さん、その下に法改正のために増員された中村真也君、検討段階から担当していた小林祥子さんという法令の係員、その3人で、中村君が来るまでは福島さんと小林さんという女性2人でやっていました。本当に激務で、女性事務官2人で作り上げてきたというのは、なかなか農水省の法改正でもなかったのではないかと思いますけれども、本当に死にそうになりながら頑張ってもらいました。

あとそれだけではなくて、先ほども指導2班が出ましたけれども、指導室は近久室長の下で、主に担当していたのは指導1班の石本班長とその下の長島専門官、その辺もみんな法改正の経験もありまして、それを加悦総括が束ねるということで、その水産の事務官の皆さんの強力な支えがありまして、本当に法制局の三段表や読み替え表なども、言えばささっと作ってくれるような人たちがそろっていたので、本当に何とか乗り切れたかなということです。

あとやはり法制局の細川参事官が非常に良くて、メールでいろいろと審査してくださり、あと事務官の礒岡章子さん、礒さまとみんな呼んでいましたけれども、用例とか読み替えやその辺りのかなり実質的な部分も見てくれていたと記憶していまして、そういう中で水産経営課は通常の業務をやりながら、みんなで乗り切ったということです。

でも実際は漁業法の陰に隠れながら、内容も農協法もののコピペの部分も多かったので、その点ではある意味ラッキーだったかなとは思っていますけれども、水産経営課一丸となって皆さん頑張ってやってきたなという思いが今のところ強いです。

矢花:ありがとうございます。多分言い尽くせないところはいろいろあるとは思うのですが、また少し条文のほうで多分その辺は、団体とこうだったとかどうだったなどと、いろいろとあると思いますので、取りあえず経緯のところは一回これで締めたいと思います。