水産振興ONLINE
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2021年9月

内水面漁協による環境保全活動について

玉置泰司(国立研究開発法人 水産研究・教育機構元中央水産研究所経営経済研究センター長)
坪井潤一(水産技術研究所 環境・応用部門 沿岸生態システム部 内水面グループ主任研究員)
阿久津正浩/高木優也/久保田仁志/吉田 豊/小原明香/山口光太郎/関森清己/星河廣樹/澤本良宏/傳田郁夫(主担当者)

第1部 中央水産研究所経営経済研究センター調査

国立研究開発法人 水産研究・教育機構
元 中央水産研究所経営経済研究センター長

玉置泰司

結果及び考察

3. 内水面漁協への聞き取り調査の結果(つづき)
B. その他の環境保全活動の実施状況について
(1) 静岡県:狩野川漁協
1)2015年度に実施した活動
ア.植樹・森林保全活動

植樹活動については2015年度は2月頃に入会地でブナを植えた。20人の理事と手慣れた総代が作業を実施。ブナの苗は1本千円くらいだが、鹿や猪の食害防止のため、1本毎に周りに杭を4本打って、プラスチック(生分解性のもの)で囲った。苗代と材料代と賃金で20万円程度。補助金は付いていない。

イ.河畔林手入

11月頃に20人の理事と手慣れた総代が作業を実施。遊漁者の要望から、釣り糸が引っかかる場所の枝をチェーンソーなどで伐採する。伐採した枝葉は山の肥料にする。賃金で20万円程度支出。

ウ.河川湖沼等清掃

5月の第2日曜日、アユ釣りの解禁の前に実施。500人の参加者の8割は組合員。他は国交省、県土木、建設業組合、友釣り関係者、その他ボランティアなども参加。集めたゴミは分別まで行い、関係3市と国土交通省で処分費を負担。40数年の歴史があり、国交省名古屋支局からの表彰も受けたことがある。組合員の日当・車代で50万円程度支出。

エ.水質汚染・不法投棄の監視

現場監視員4人が遊漁券の現場売りを兼ねて通年回っている。各自が週に1~2日休んでいる。監視員への給料支払いとなり、活動経費としては不要である。

オ.河川管理者・事業者との協議

管理委員会の3名の理事及び環境委員会の4名の理事の内2名くらいと事務長が対応する。工事届けが出ると説明を受け、現場に状況監視に行く。年間30日くらいで、特に手当は出さない。

カ.産卵床造成

ウグイとオイカワは4~5月にそれぞれ1箇所ずつ。アユは9月末~10月に2箇所(2日)。アユの時は国交省が重機(ユンボ)を入れる。ウグイ・オイカワは手持ちの道具で実施。作業は半日かかる。出動人数はアユで15人、ウグイとオイカワは各10人。2015年度60万円支出。

キ.カワウ防除・駆除

防除は50人でテグス張りを5日くらいで行う。駆除については、当河川では散弾銃を撃てないので、空気銃での駆除を猟友会に頼み、日当を支払う。2017年は200羽駆除した。2015年度30万円支出。

ク.子供体験放流

4月~5月に稚アユの放流を地元の幼稚園2校、保育園1校、こども園、子供会を呼んで4回実施。子供にバケツを持たせ、直接放流させる。地元の新聞社にも知らせる。2015年度20万円支出。

ケ.環境学習ふれあい体験活動

小学校のアユの友釣り教室を、5校で学校別に行う。1回25人程度集まる。なお、このうちの1校は小学校の釣りクラブがあり、20~32人が年4回実施する。国交省の補助事業と市の補助事業も含まれる。

2)今後実施したい活動
ア.外来魚駆除

日本大学の調査でブラックバスがとれた場所があるので、駆除してみたい。

イ.希少種の調査・保護

希少種といっても、昔からいたウグイ、マルタ、ハヤ、タナゴなどがいなくなった。ウグイはかつては観光バスで釣りに来るほどいた。このような普通の魚が希少種になってしまったので増やしたい。

ウ.水草・水生植物除去

カワシオグサが繁茂して、釣り針が引っかかるし、付着珪藻が生えず、アユが縄張りを作らなくなる。除去の方法が分からない。何とか研究してもらいたい。

(2) 静岡県:大井川非出資漁協
1)2015年度に実施した活動
ア.河川管理者・事業者との協議

国交省、県の土木事務所、農林事務所などが、工事の際には漁協に説明に来る。説明は現地でも受ける。工事の立会は地区の役員が行う。当漁協では6地区に分かれている。漁協内には事業部会が有り、副組合長が部会長となっている。総務部会もあり、理事の1名が部会長となっている。むずかしい工事の場合はこれらの部会長も立ち会う。2015年度は45人日で17万円支出した。

イ.魚道の整備・管理

発電所の放水口の部分の河床について、中部電力に重機で整備を行ってもらう。ただし、魚道の所有者が明確でないが(中部電力か農政局か)、河川占有は漁協が行っており、魚道の整備改修をどこが責任を持って実施するかが明確でないという問題がある。

ウ.カワウ防除・駆除・調査

カワウの追い払いとパトロールには、県内水面漁連の1/2補助が手当てされる。2016年度の実施はテープ張り(4/11と4/12)、モニタリング調査(4/18、4/29)、カワウパトロール(4/25、4/30、5/14、10/21、11/18~19、11/26~27)、県内一斉追い払い活動(4/19~4/28)などを実施。捕獲駆除には県の1/2補助が手当てされている。2017年の捕獲は、春と秋の2回猟友会に委託して実施し、春(4/19~5/31)は150羽くらいで、秋は50~60羽くらい捕獲できた。秋は9月一杯は釣り人がいるため、10~11月の実施となる。河口から10km上流までは狩猟ができず、秋はカワウが河口部に移動したため、捕獲が少なかった。2015年度はカワウ全体で306,000円の支出で、うち補助金はあわせて18万円だった。

エ.子供体験放流

小学校1校の全生徒で30人くらいしかおらず、全校生徒でアユの放流を行う。漁協からは10人ほど手伝いに行く。2015年度は稚アユ代金を含め15万円支出した。

オ.環境学習ふれあい体験活動

2015年度は、同じ日に親子・初心者向けの雑魚釣り(17名)と友釣り(13名)を実施した。友釣りの場合参加者2名に対し指導者が1名付く。釣り道具については、メーカーから借りたり、漁協役員から古い道具を譲り受けたり、県の補助金で購入したりした。指導者日当、参加者保険料、おとり代、えさ代などで2015年度は278,000円の支出で、県の単独予算の補助が10万円あった。

(3) 三重県:桑員河川漁協
1)2015年度に実施した活動
ア.河川湖沼等清掃

全組合員が年に2日(作業が半日であれば4日間実施する)、自分の都合がよい日に清掃を実施する。回収したゴミは各自で処理する。出漁日数の報告の時に実施を確認する。2日分で2万円を各組合員に支払う。組合の自主財源で実施。

このほか三重県の事業で年に1回半日の清掃を行い、総代など72名が参加した。組合から1人5千円支払うが、うち1人千円分は補助金が出る。

イ.水質汚染・不法投棄の監視

現場売りの監視員2名が実施している。合計280人日で、監視員手当63万円/人に含まれている。

ウ.水産資源調査

理事と組合員8人と調査会社4人で水質調査を実施。20万円の予算。

エ.カワウ防除・駆除

駆除は猟友会に54万円で委託。猟友会には漁協理事も入っている。空気銃も使用している。空気銃の方が静かなので逃げにくい。猟友会は駆除の際にオレンジ色のベストを着なければならず、カワウが学習してくるとベストを見ただけで逃げ出してしまう。2016年は約200羽を駆除。

ロケット花火による追い払いも5月末から解禁にかけて実施している。日当は合計で10万円程度。

オ.子供体験放流

近隣市町の小学校の稚アユ放流を2017年には4校で実施した。1回あたり生徒28~65名で、うち2校の移動には鉄道会社がバスを提供した。1年生が1校、3年生が1校で5年生が2校であった。アマゴの放流も1校の小学3年生と実施した。また、近隣3市町の授産施設通所者を対象にニジマス体験放流会を実施し、2017年は約440名の参加があった。体験放流会は組合役員5~6名が手伝っている。

カ.環境学習ふれあい体験活動

商工会主催のマスの手づかみ体験に協力。放流用マス50kg、塩焼き用マス200~300尾で44万円位の漁協支出。販売代金は商工会に寄付。

2) 今後実施したい活動
ア.魚道の整備・管理

堰に付いている魚道の形が悪いので改善したい。県が実施すべきなので、流域課と話をしている。

(4) 三重県:銚子川漁協
1)2015年度に実施した活動
ア.植樹・森林保全活動

水産多面的機能発揮対策事業で2013年度から実施している。植える樹種はヤマザクラ、モミジ、ケヤキ、クスなど。鹿の食害防止のため、苗木の周りに4本杭を打ち、1m四方を当初は金網で囲んだ。金網は設置後2~3年でさびて腐ってしまうため、その後はナイロンネットに換えた(図16)。以前植えた苗木のネットの張り替え作業も実施している。非出資組合であり、常勤職員もいないため、補助事業の事務作業が大変である。

図16 ネットで囲った苗木
イ.河畔林手入れ及び河川清掃

こちらも水産多面的事業で実施。9月の第2日曜日に河川一斉清掃を行う。休日なので、他に仕事を持つ若い組合員も参加できる。逆に言えば、平日は若い人は各種活動に参加できない。自治会や電源開発等の多面的事業の活動組織メンバー以外にも、キャンプ場の客も一緒に行う(2015年度は12団体から114名が参加)。夏休み後なので一般ゴミが多い。3トン車1台分にもなる。なお、水産多面的事業が始まる前から漁協独自に一斉清掃を実施していた。このため国交省から水資源功績者として表彰を受けたこともある。多面的事業に採用されてからは、作業日当の支出も出来るようになったほか、保険も掛けられるようになり、漁協組合員以外の幅広い参加が行われるようになった。川の一斉清掃以外に草刈作業4回、流木撤去作業2回を実施した(銚子川環境保全会2016)。

ウ.河川浄化等の啓蒙・宣伝活動

こちらも水産多面的事業で実施。新たな看板建ての他、既存の看板の清掃作業も行う。新聞広告や生活情報誌への広告掲載も実施している(図17)。

図17 啓蒙のための看板
エ.カワウ防除・駆除

狩猟許可を有する組合員は6名いる(うち4名が主に活動)狩猟許可申請は漁協が実施。捕獲数に応じて内水面漁連の補助金を受ける。3月から8月まで半年間。認可が出て半年間が狩猟期間となる。9月以降も捕獲したい場合は再申請が必要となるため、申請作業の手間が大変で実施できない。落ち鮎が産卵の時期はたくさんの鳥が集まるが、駆除できない。捕獲数はくちばしの写真を証拠として撮っている。2015年は80羽、2016年は56羽、2017年は44羽駆除した。

防除としては淵や瀬3カ所にビニールひもを張っている。4月の始めに張り、6月1週目の解禁前に回収する。

オ.子供体験放流

電源開発の補助金で実施。漁協からは13人が手伝う。2回実施した。小学生と先生が2回で65人位参加した。放流の前にはアユの生態の話や、川をきれいにする啓蒙を実施する。2015年は5月29日にアユ放流(組合長他5名が手伝い)、11月12日にアマゴ放流(組合長他6名が手伝い)。2016年は4月15日にアユ放流(組合長他5名が手伝い)、4月26日にアマゴ放流(組合長他12名が手伝い)。

カ.水質汚染・不法投棄の監視

監視部会のメンバーが土日に流域の監視を兼ねて現場売りを行っている。また、車に付けるマグネットシートで「パトロール中」という表示を5枚作成し、有効に利用している。

(5) 三重県:大内山川漁協
1)2015年度に実施した活動
ア.河川清掃

水産多面的機能発揮対策事業で2013年度から実施している。漁協からの参加者は理事・総代を中心に22人で、漁協以外は18人であった。清掃は年に6回実施している(図18)。

図18 回収されたゴミ(漁協提供写真)
イ.水草・水生植物除去

こちらも水産多面的事業で実施。ホテイアオイとオオカナダモが問題となっている。アユ釣りが終わってから11月初頭の渇水期に実施している。陸からだけでなく、船も利用して除去している(図19)。除去した水草が下流に流れないように、網で止めて除去している。なお、カワシオグサは5~6年前に大量発生して問題となったが、豪雨で流されてからは問題となっていない。

図19 オオカナダモの除去(漁協提供写真)
ウ.ニゴイ駆除

こちらも水産多面的事業で実施。昔はニゴイを食用に利用する人もいたが、臭いので今は食用にする人はいない。モリで突いたり、ひっかけ釣りや網をかけたりして捕獲する。11月から駆除を行う。3~5人で50~70尾を捕獲する。漁協関係者6人/日、その他9人/日で実施した。多面的事業とは別に、調整池の水抜きの際には15人位で魚族の保護を行っているが、ニゴイの稚魚は何千匹と除去する。

エ.水質汚染・不法投棄の監視

町の補助20万円で、150人日実施。

オ.河川管理者・事業者との協議

ボランティアで150人/日で実施。

カ.水産資源調査

中部電力グループ会社の委託費176千円で漁協関係者22人日、それ以外16人日でアユ遡上調査を実施。

キ.カワウ防除・駆除

駆除は猟友会員が3/15から一斉に開始する。散弾銃を使用し、5月までに2017年は12日実施した。1羽5,000円の補助金が県内漁連から支出される。2016年は23羽駆除。糸張りは地区が自主的に実施する。

ク.子供体験放流

稚アユ放流事業の中で実施している。小学生1回、授産施設の子供1回実施。

ケ.環境学習ふれあい体験

こちらも水産多面的事業で実施。アユのしゃくり釣り体験を行う。アユや生物の生態説明や、川をきれいにする啓蒙のあと、各自にしゃくり竿をプレゼントして、子供が自分で竿に色つけなどをしてから、しゃくり釣り体験の実施を行う。小学生は遊漁料無料としていることもあり、プレゼントした竿で、自分達でもアユ釣りに行くようになることを期待している。

コ.植樹

役員がボランティアで、川岸に柳の挿し木を行っている。

2)今後実施したい活動
ア.ヨシの除去

堆積土砂で出来た中州にヨシがはびこっている。刈ってもまた生えてくるので、除去したい。

(6) 岩手県:西和賀淡水漁協
ア.河畔林手入

漁協・組合員だけでなく、行政と一緒に対応している。河川管理者や、道路脇にあって川に影響を与える木については道路管理者に依頼することもある。木は国が切って町が処分する。景観に配慮し、樹種についても希少な植物は切らないようにしている。

イ.河川清掃

和賀川の清流を守る会(北上市長が会長)は西和賀町と北上市で年に2回水質調査とゴミ拾いを行っている。水中への不法投棄があれば、スキューバ潜水で取り除く。ゴミの処理費は町が負担。水中作業は漁協しかできない。警察やマスコミも呼んで、新聞記事も出してもらいアピールしている。家のリフォーム等の業者が捨てる廃棄物が多く、トラック一杯分のガラスを回収したこともある。

ウ.外来魚駆除

ブラックバス駆除はバス釣りの人と一緒に行う。つまり、バス駆除をしたところにバスがいないことをバス釣り人に証明してもらう。毎年バス釣り大会を行っている。

エ.水産資源調査

釣り人と協力しての魚類調査として、「第1回西和賀ざっこ釣りコンテスト(みんなで魚類モニタリング)」を2012年6月17日に実施した。釣り人40人が参加した。2018年は第7回のコンテストが開催され17人が参加した。

オ.産卵場造成

イワナ・ヤマメ各5カ所位すべて手作業で造成している。釣り人も手伝いに来る。ウグイはかつて3カ所位造成した。最近はやらない。カジカ・ハナカジカは10カ所位。

(7) 岩手県:豊沢川漁協
ア.カワウ駆除・追い払い

駆除は猟友会に頼んでいる。年間110人で89発発砲し、4羽回収、23羽未回収、半矢21羽。追い払いは40回で336羽追い払った。花火は107発使用。

イ.河畔林手入れ

熊が多いので、川の木を切ることで見通しをよくして熊の被害を防ぐ。

ウ.植樹

豊沢川の森市民植樹祭に参加(2016年8月19日)。

エ.河川清掃

4・6・8・10月に清掃を実施している。冷凍庫を3~4個投げ入れられていたことがある。不法投棄を見つけた際は警察に連絡している。

(8) 青森県:三戸漁協
ア.河川清掃

小さいゴミは漁の時に見つけたら取っている。大きいゴミを見つけたら県に通報している。

イ.外来魚駆除

ため池のブラックバス駆除を池の持ち主と漁協が協力して水を抜いて村の人と一緒に駆除している。外来魚以外は水を入れた後に戻している。ブラックバスを主として50~100kg捕獲し、クリーンセンターで焼却処分している。

ウ.産卵床造成

ウグイ・オイカワの産卵床を4~5月に重機を入れて、組合員も一緒に作業をして3カ所ほど造成する。9~13時まで組合役員4~5人で対応。重機は建設業者にレンタル料を5千円位支払っている。

エ.カワウ駆除

調査をやってから猟友会に駆除を依頼する。組合員の中にも猟友会員がいる。営巣地で30羽を駆除した。

オ.子供体験放流

ここ5年間位幼稚園児とアユ、イワナ放流をしている。放流時に漁協から幼稚園に声かけをする。

(9) 群馬県:吾妻漁協
ア.河川清掃

組合員が役場の職員や地元の先生、幼稚園児・小学生も一緒にゴミ拾いを行う。

イ.水草・水生植物除去

バイカモが西部地域の小さい渓流で繁茂して困っている。

ウ.水質汚染・不法投棄の監視

遊漁券の現場売りの人の役割が多い。不法投棄については、以前は古タイヤ等たくさんあったが、最近はほとんど無い。

エ.河川管理者・事業者との協議

県の水産部局との協議は1年に1~2回実施している。土木部局とはない。

オ.水産資源調査

国交省の八ッ場ダムの調査に月1回漁協が立ち会っている。

カ.産卵床造成

イワナ、ヤマメ各40カ所、ウグイ、オイカワ各3カ所ほどを造成している。

キ.魚道の整備

漁協・組合員の見回り時に埋まっていたら県に通報している。

ク.カワウ駆除・防除・調査

調査は県の依頼で年3回夜明けと共に飛来数・着水数を数えている。昔はひもを張って防除したがすぐ慣れて効果が無いので、4~5年前からかかしを置いている。アユの放流から解禁の間組合員が40体ほど作成している。県の補助もある。花火はうるさいと苦情が殺到した。カワウが来るのが朝4:30からなので、早朝は苦情が来る。駆除はコロニーで猟友会に頼んで空気銃で実施している。駆除隊は町で組織している。1羽落とすと県の蚕糸園芸課から5千円の補助が出る。

ケ.子供体験放流

2017年は2月27日に幼稚園児52名と、3月7日に幼稚園児75名と、5月24日に小学生14名と、5月30日に幼稚園児34名とで、それぞれ一緒にヤマメの放流を実施した。

(10) 岐阜県:恵那漁協
ア.河畔林手入

解禁前に邪魔な木を伐採している。また、行政が増水対策で木を伐採するが、川に関する工事は漁協に届け出をするので、立ち会うこともある。漁協支部役員が立ち会うこともある。着工届けは業者から3部持ってくる。1部は漁協が受領印を押して返送し、1部は漁協本部で保管し、1部は漁協支部に郵送する。

イ.河川清掃

2017年は5月14日(付知川のアユ解禁1週間前)に総代が集まり、100人規模で一斉清掃を行う。8:30から昼まで。20年前からやっている。参加者にはお茶1本だけ配付。他の川は地元の支部が独自に行うのでスケジュールが異なる。

ウ.河川浄化啓蒙宣伝活動

4~5年前から、田植えの代掻きの濁りが出ないよう営農組合にお願いしている。昔は老人が管理していたが、亡くなって営農組合に頼むようになり、広い範囲を一気にやるようになったので、放流直後や解禁前にはお願いに行っている。

エ.水質汚染・不法投棄の監視

現場売りの監視員が水質汚染監視も行っている。監視員は付知川ではアユの時は2人、アマゴの時は1人配置している。総代100人にも監視員証を渡して、支部でも現場売りはできる。

オ.河川管理者・事業者との協議

河川工事の際には河川管理者が話を聞きに来る。工事の時に石をこのように並べて欲しい等の注文を出す。

カ.産卵床造成

イワナ・ヤマメ・アマゴのために20位造る。半日人力でジョレンを使って造る。1カ所5人位のボランティア活動で行う。

キ.在来個体群の保存

網を周年禁止する、釣り専用区を設置している。

ク.カワウ駆除

猟友会に銃器による駆除を依頼している。2016年までは年間120羽前後、2017年は30~40羽駆除した。駆除数が少なくなったのは、猟友会のモチべーションが下がったから。シカ・イノシシの方は1頭1~2万円だが、カワウは3,500円しかもらえない。小さい川であれば川に落ちたカワウを拾いに行けるが、木曽川では拾いに行けない。駆除した現物がないと3,500円をもらえない。

猟友会は6支部で50人位いる。

糸張りは4月上旬の放流前にボランティアとして30人位で張り、解禁1週間前の川掃除の時に外す。糸張りを行うのは猟友会が銃器駆除をできない場所である。ロケット花火は猟友会による銃器駆除が禁止されるバードウィーク(5/10~5/16)に実施する。花火を漁協役員と監視員に渡す。付知川には理事2人を割当、朝6~8時まで花火で追い払う。恵那市の恵那峡には150羽のねぐらがあるが、かんぽの宿・ホテル、遊覧船もあり、急斜面でもあり、銃器は撃てない。

ケ.子供体験放流

アユ放流の時に付知町の小学校に声をかける。放流日と学校の都合が合えば実施する。関西電力が子供体験放流をする際に漁協が段取りをして手伝いをする。

(11) 岐阜県:郡上漁協
ア.植樹

2010年から毎年1町歩くらい植樹している。2017年は5月14日に0.89haに広葉樹の苗木1,600本を植樹した。苗木は補助金が出る。管理は漁協が県の補助を受けて森林組合に委託する。ネットで苗木を植樹した区域を囲んで鹿の食害防止をする。市の補助金で罠を仕掛けて地元の猟師とシカを捕る。ネットはかけてから5~6年経つが、問題ない。落葉広葉樹をメインとして常緑樹も混ぜている。植樹作業は組合員と一般の釣り人、水資源機構職員等がボランティアで実施。1日あたり2~3時間の作業。事業費は90万円位でそのうち補助は1/2。漁協はおにぎりを提供する。ネットの設置は漁協も手伝うが、ネット張り費用はジビエのNPOが出す。

イ.河畔林手入

柳を切ったりヨシを刈ったりしている。釣り場に降りていく道をアユの解禁前と漁期の終了後に支部と監視員で実施している。監視員は5人で2月~10月末までやっている。

ウ.河川清掃

解禁1週間前に行政が主となった河川美化運動を実施し、100人以上の組合員が出る。なお、組合員は川に出たときには日常的にゴミ拾いを行う。

エ.水質浄化活動

泥分の少ない川土砂を工事に使ってもらう、沈殿槽を作ってもらう等、土木との調整がメインである。

オ.水草・水生植物除去

2013~2014年頃、渇水が続いた次の年に、カナダモがたくさん生えたので、水に入ってトビ口で取った。ミズワタクチビルケイソウがアユ解禁前から出ることがあるが、7月にはなくなる。

カ.水質汚染・不法投棄の監視

組合員や監視員が何かあれば市の環境課または県土木事務所の河川課に連絡する。洗剤の泡が流れたら突き止めて市役所の環境課に連絡する。ひどい泡の時は市役所に連絡すると県土木も連れてくる。

キ.産卵床造成

2018年はアマゴ・イワナで95カ所造った(台風もあり少なかった)。例年90~130カ所くらい造成する。1カ所当たり3人で20~30分の作業。1日当たり10~20カ所造る。10/10からの産卵前の9月下旬から10月初めに造る。胴長、ジョレン、竹みを使う。産卵床を造った場所に親魚放流を行う。

ク.在来個体群保存のための活動

アマゴ・イワナを過去から放流していない河川には放流しないようにしている。

ケ.カワウ駆除

漁協職員が自らエアライフルで銃器駆除を行う。カワウ駆除は冬場がメイン。カワアイサによる食害もあり、管内に200羽くらいいる。日本全国初となる有害鳥獣対処捕獲許可を得て捕獲し、県水試と胃内容物同定調査を行った。2018年はカワウ51羽、カワアイサ19羽を駆除した。駆除した鳥の両足とくちばしを提出する。川に落ちて流されても写真があれば良い。カワウは淵で捕食するが、カワアイサは急流の瀬にも入って捕食する。ロケット花火は監視員が持ち歩いており、見つけたときに使う。

コ.子供体験放流

小学校4~5年生が自然体験学習として各地域でアユ・アマゴの放流を行う。年中行事として喜んでやっている。2017年は6月22日に幼稚園の体験放流を実施した。7月13日には小学校のウナギ放流体験学習を実施した。

サ.環境学習ふれあい体験学習

2017年は4月25日に小学校の自然体験学習会を実施した。

子供・女性アマゴつり大会の実施(子供70人、女性30人が参加した)。

アマゴ釣り教室は各支部で1カ所、少なくても全部で9回は実施。餌釣りで、漁協が竿、餌、しかけを支部に貸し出す。地元組合員が講師になる。釣り教室は学校の授業としてやっている。小学校4~5年生が対象。15年位前には親子アユ釣り教室を夏休みに実施し、毎年20組位が参加していた。費用がかかるし、アマゴ釣りと異なり講師もマンツーマンなので負担が大きく、10年前にはやめた。料金を取ればアユ釣り教室の実施も可能とは思うが。なお、漁協とは離れるが、2018年6月に長良川アユパークがオープンした。ここではアユ釣り体験メニューもあり5,000円である。漁協としては講師の派遣等の相談に乗っている。漁協管内ではもともと中高生の釣りは無料であるが、生徒が実行委員会を組織し「中高生友釣り選手権」を行っている。座学、釣り教室から始まって、選手権を行う。講師には大人の釣りクラブのメンバーが行っている。

(12) 石川県:白山手取川漁協
ア.河川清掃

一斉清掃は行わず、組合員の釣りクラブが主体に実施。実施日をクラブで決めて、ゴミは市の処分場まで持って行き、処分料は請求されない。年に1回6月頃にやっている。釣りクラブは魚種毎に集まり、組合員以外も入っている。アユは複数、サクラマスもある。

イ.河川浄化等の啓蒙・宣伝活動

産卵床造成で集まったときに行う。

ウ.水草・水生植物除去

そのための活動日をもうけるのではなく、河川の中に水草が生えて釣りの邪魔なときは見つけたら除去する。放流の時や産卵床造成の時にもついでに行う。

エ.河川管理者・事業者との協議

工事業者が事前に漁協に申請に来たときに実施している。産卵時期に工事が重ならないように依頼している。新幹線や国道の工事の時にも事前に相談に来るので、その時に瀬替えの時期等を依頼する。

オ.水産資源調査

アユの遡上量等を副組合長が調べて資料をまとめて県に提出している。また、県の調査には協力を行っている。

カ.魚道の整備

木が詰まったものを組合員が水に入って除去することもあるが、大きなものは国交省にやってもらう。

キ.カワウ調査

2017年より石川県内水面漁連の事業で年に3回4月・7月・10月に目視調査を実施して報告している。漁協管内ではコロニーは確認できず、駆除するほど多くない。

ク.子供体験放流

10月のヤマメの親魚放流の時に小学校を対象に順番に学校を決めて実施している。アユも通常の放流に合わせて市と一緒に実施している。2017年までは白山市の事業だったが、2018年から能美市、川北町も参画した。

ケ.環境学習ふれあい体験教室

2018年はライオンズクラブメンバーの親子を対象にイワナ・ヤマメ釣り教室を実施した。漁協が道具や餌を準備して組合員が講師となった。えさ代の実費はもらった。組合員は10人が手伝い、約50人が集まった。天然の川は危険なので人工池(30m×10数m)で実施した。

(13) 宮崎県:祝子川漁協
ア.河川清掃

毎年夏休みに新聞広告を出して地域住民等にも呼びかけ、川の清掃を行う。漁協以外に地元住民、工事業者、学校関係者が合計200人位集まる。開始してから20年近くになる。ここ10年ほどは子供体験学習として体験放流も合わせて行うようになった。

イ.水質汚染・不法投棄の監視

組合役員や組合員がパトロールを行う。車に貼る「パトロール中」のマグネットのシールを10枚位作成して渡している。遊漁券の現場売りはやっていない。遊漁券は漁協事務所、釣具店、温泉、川沿いの民宿で販売している。

ウ.河川管理者・事業者との協議

土木事務所が6~7月に地区内の各組合長を集めて、年間の工事の予定を説明する。県北、県南、県央の3地区に分かれており、当漁協は県北の説明会に出ている。市役所(水産・土木・振興局)等も参加する。

エ.産卵床造成

アユ産卵床は毎年2カ所重機を入れて造成する。コイ・フナは毎年2カ所に「きんらん」を入れる。組合員にお願いして枠にきんらんを取り付けたもの。オイカワ・ウグイは重機を入れて河床をならして造る。

オ.外来魚駆除

刺し網によるブラックバスの駆除を何十年もやっている。毎年50~60尾獲れる。県から10万円の補助が出ている。

カ.魚道の整備

毎年2~3月の遡上の時期に、堰堤の下を掘削し、魚道にたどり着くまでの魚が上る道を造る。1回当たり10人位の作業。重機も頼む。1日午前と午後で2カ所実施。県内漁連が半額補助。

キ.カワウ追い払い

ロケット花火による追い払いと、魚道へのネット張り、糸張りを実施。花火は役員や釣りを多く行う5~6名に1回6本ほど渡している。市から2~3万円の補助が出ている。

ク.子供体験放流

クリーンアップの時に合わせてウナギ、モクズガニの義務放流を子供たちと行う。

ケ.環境学習ふれあい体験活動

ニジマスのつかみどりを行った。

(14) 宮崎県:名貫川淡水漁協
ア.河畔林伐採

2017年は7月21日に、水泳場付近の1kmほどを伐採して見通しをよくする。組合員12人で1日がかりの作業である(高鍋土木事務所 河川パートナーシップ事業 32,000円の補助)。

イ.河川浄化等の啓蒙・宣伝活動

ゴミ捨て禁止の看板を立てる。現場で見かけたら注意をする。釣り教室の際に子供にも伝える。

ウ.河川管理者・事業者との協議

1年に1回工事の前に土木事務所が説明会を開催する。工事業者は着工前に漁協に来て、水質汚濁防止協定を結ぶ。

エ.カワウ調査

全県一斉に飛来調査を行う。当漁協管内は渓流なのでカワウは来ない。

オ.子供体験放流

過去にアユで実施したことがあるが、場所が危険なので近年はやっていない。

(15) 広島県:西城川漁協
ア.河川清掃

2017年は4月9日に組合員127人、ボランティア91人により、1,230kgのゴミを回収した。

イ.水質汚染・不法投棄の監視

広島県立大学に水質調査を3年間実施してもらった。初年度は漁協が年間60万円を支出して、2年目以降は県の助成で実施。水質の監視は漁協の「環境委員会」で実際に歩いて監視している。

ウ.子供体験放流

アユの放流を行うときに小学校に声をかけて一緒に行う。実施頻度は2~3年に1回位。

エ.カワウ防除

銃器駆除、花火による追い払いの他、漁協役員・組合員及び建設業者の協力を得て、50kmの流程にテグスを張った。

オ.水草・水生植物除去

オオカナダモが異常繁殖しており、駆除について検討している。