定置漁業研究報告書
要旨
定置漁業は我が国で古くから続く漁法であり、沿岸漁業の漁獲量の約4割を占める中核的な漁業となっています。また、チームで操業するため技術を習得しやすく、就労時間も安定しているという特性から、漁業への就業を希望する若者の有力な受け皿となっています。我が国が急速な人口減少期に入り、多くの漁村で過疎化が大きな問題となっている状況において、漁村の存続のためにも重要な役割が期待されています。
その一方で、北日本における主要対象種であるサケの来遊不振、海水温の上昇に伴う全国的な漁獲魚種の変化、大型台風等による漁具の破損・流失リスクの増大、漁獲量管理に軸足を移そうとする国の資源管理方策への対応等、定置漁業が抱える課題が多くあります。
2023年9月からは改正漁業法に基づく定置漁業権の切替が全国で順次行われますが、このような環境変化を踏まえ、定置漁業の経営をリスクにも対応できる足腰の強いものにしていくことが求められています。
そこで当会では上記の背景を踏まえ、2020年度に、我が国の定置漁業を巡る課題の整理およびその解決策等をテーマとして、各界の専門家によるウェブ記事『水産振興コラム「定置漁業研究について」』のリレー連載を掲載するとともに、様々な立場で定置漁業と関係する方々にご参集いただき座談会を開催し、課題の共有を行いました。また、座談会議事録を編集し『水産振興』第624号「座談会 定置漁業研究」として公表いたしました。
本報告書は、全国の定置漁業関係者等に幅広くお役立ていただくため、座談会参加者を中心とした分担執筆により各課題についての検討結果を取りまとめたものです。また、巻末資料として、上記の『水産振興』第624号および「水産振興コラム」連載記事を掲載しております。
目次
- まえがき
- 序章
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第1章 改正漁業法と次期漁業権切替について
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第2章 もうかる漁業創設支援事業における定置漁業の経営改善策
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第3章 定置漁業における温暖化対策
- 1. 日本近海の海面水温の上昇
- 2. 勢力の大きい台風の直撃と定置網の実態
- 3. 施設の強靭化について
- 4. 網抜き・網入れ作業の効率化
- 5. 急潮・台風から定置網を守る方法
- 6. 都道府県定置網担当者の皆様へ
- 7. 漁業施設共済の加入率向上について
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第4章 漁獲量管理に軸足を移す水産政策への対応
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1. 選択漁獲の技術について
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2. 定置漁業におけるTAC管理について
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3. 定置業界からみた定置漁業におけるTAC管理について
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1. 選択漁獲の技術について
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第5章 鯨類・海亀混獲対策
- 第6章 定置漁業の多面的機能について
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巻末資料
- 水産振興624号 座談会 定置漁業研究
- 水産振興コラム 定置漁業研究について 第1回〜第11回
執筆者等(座談会参加者およびコラム執筆者を含む)
- (一財)東京水産振興会 理事
- (一社)日本定置漁業協会 専務理事
- 青森県定置漁業協会 会長
- 静岡県定置漁業協会 会長
- 長崎県定置漁業協会 会長
- 特定非営利活動法人 水産業・漁村活性化推進機構 専任指導員
- 東京大学生産技術研究所平塚総合海洋実験場 学術支援専門職員
- ホクモウ(株)営業部 業務課 企画 課長代理
- 日東製網(株)第1事業部 中日本エリアマネージャー
- ニチモウ(株)資材事業本部海洋営業部 部長
- 全国漁業共済組合連合会 常務理事
- 宮崎県漁業販売株式会社 専務取締役
- 水産庁増殖推進部栽培養殖課
- 水産庁増殖推進部研究指導課
- 水産庁増殖推進部栽培養殖課
刊行
2021年
ダウンロード [PDF]
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(全文)定置漁業研究報告書
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(章別)
ステータス
冊子:在庫あり(資料請求フォームへ)