完全閉鎖型の東京・豊洲市場で、水産卸売場棟1階西側に唯一、半開放型で整備されたエリアがある。水槽約50基が立ち並ぶ “活け場” と呼ばれる活魚売場だ。常時20種類以上入荷する天然物のほぼ全量をセリ売りしている。今回の「豊洲市場DEお魚対談」では、特種物業会所属の仲卸で、活魚取引委員会委員長の宇田川勝久さん((株) 川鉄社長)と、卸で大都魚類 (株) 特種部活魚課長の河野智和さんが、新型コロナウイルス禍前以上の活気を取り戻した活魚で語った。(上)は活け場の今を話題にした。
「魚に触れるので若い子が活魚をやりたがる」などと語った宇田川さん
近年の好業績の「牽引役は輸出」と言及した河野さん
売上額、コロナ禍前超す
最良の状態が高値生む
——— 活け場といえば一昨年に完成した活魚セリ室が記憶に新しいです。
宇田川さん コロナ禍で卸売場棟の外へと追いやられ、直後は真夏は暑く真冬は寒い闇市のような場所でセリをやらされたな。開場から3、4度移された。
河野さん 「密」が駄目だと、行くあてもないまま追い出されましたよね。
宇田川さん 都と話し合いながら実現に4年かかった。卸と仲卸の間でようやく折り合いがつき、共同整備で決着した。中は空調も効くし声も聞き取りやすいしでセリ室に関しては言うことないね。
——— 活魚は飲食店への販売が中心となるだけに、コロナ禍の間は苦労されたのではないですか。
宇田川さん ガタガタだった。需要は減っているのに各地から入荷はあったから。最初のうちの天然タイのセリは1番から値段が付かなかった。
河野さん 予約の取れない人気店は変わらず動いていましたけどね。セリ値がキロ1万円が3連続したと思えば次が800円、という日もあって良品と並品の値段差が極端だった。それが今となってはコロナ禍の前より売り上げが多い。牽引役は輸出です。海外だと輸送があるので、一日の鮮度の差が大きい。
宇田川さん 国内の高級層も入ってきている。
河野さん 熟成をうたう高級寿司屋が使うのも活魚。誰がいつ〆たかが分からないと、そもそも管理ができないので。
——— 確かに活魚の利点として、いつ〆たかが分かることだといいます。
河野さん 時間もだけど、〆る前の状態を仲卸の皆さんが目利きしているのも大きい。
宇田川さん 単に生きているだけでは駄目。腹を見せて浮いているような魚だと、割ってみると身が真っ赤ということはよくあることだから。
増える魚活ボックス
タイやヒラメなど、20種類以上の天然活魚が常時入荷
——— 産地からの輸送形態の実態はどうですか。
宇田川さん ブクブク(エアーポンプ)付きの箱、活魚車、「魚活ボックス」の3種類で、今後は「魚活ボックス」が主流になると思っている。
河野さん 活魚車ほど魚にやさしいといえないが、ブクブク付きの箱との中間といった感じ。それに出荷側も集荷側も圧倒的に作業が楽になる。
——— 活け場でのセリの現状を教えてください。
宇田川さん セリ台は2台で午前5時から競っている。魚に触れるし、〆られるしで若い子がやりたがるけど、近年の参加人数は横ばいかなあ。
河野さん 輸出についても、付き合いのある寿司屋さんが海外支店を出すにあたって商売の幅が広がっている、という感じで、輸出一本で真剣に出している店はせいぜい2、3件程度だと思う。
——— 産地側に活魚水槽を設け、出荷調整をしている産地が増えています。
河野さん 1、2日止めることはあっても、出荷調整でうまくいっている事例は多くない印象。
宇田川さん 魚を落ち着かせて餌を吐かせるためはあっても、出荷調整ではなかなか、ね。水槽内で魚体がボロボロになり赤くなってしまうし。
河野さん 流通量が少ない時に出せばよいというのは勘違いでしょう。やはりいちばんよい状態で豊洲に送るのがよい値が付きやすい気がします。浜が翌日休みなのでとの思惑で止めても、どこかで大獲れすれば価格は下がる。
宇田川さん ほかがくるとね。それが(全国区の)豊洲なんですよね。
(第6回へつづく)
