水産振興ONLINE
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2022年5月

座談会 洋上風力発電の動向が気になっている

銚子市漁業協同組合代表理事組合長(全国漁業協同組合連合会副会長) 坂本 雅信 氏
一般社団法人海洋産業研究・振興協会顧問 中原 裕幸 氏
資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 茂木 正 氏
水産庁漁港漁場整備部長 矢花 渉史 氏
一般財団法人東京水産振興会理事 長谷 成人 氏
司会 農林水産政策研究所上席主任研究官 梶脇 利彦 氏

国のエネルギー政策

茂木(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長):ありがとうございます。経済産業省の省エネルギー・新エネルギー部長の茂木でございます

茂木 正(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)

エネルギー政策は、常に新しい政策がどんどん導入してきているわけですが、やはりここ数年といいますか、この直近で言いますと、一昨年の2020年10月の菅前総理の「2050年カーボンニュートラル宣言」が大きな節目になるということであります。

もちろん、それ以前から再エネを最大限導入していくとか、あるいは主力電源化とか、こういった話もエネルギー政策の中では大きな柱になってきたわけですが、やはり「2050年カーボンニュートラル宣言」を前提にして、その後、エネルギー政策をどうしていくのかという議論が大きく、一昨年の10月、秋以降進んできました。この中で、昨年10月に「第6次エネルギー基本計画」が改定され、策定されたわけですが、いろいろイシューはありますけれども、やはり一番大きな部分は、2030年に再生可能エネルギーの比率を36~38%にしていく、この電源構成を目指すと。「野心的な目標」と言っていますが、この目標を設定したことが非常に大きな特徴になります。

現状、再生可能エネルギーの比率は、発電量の18%ぐらいです。これは2019年度の数字で、直近の数字ですと、もう少し上がっていますけれども、2030年までに36~38%にするというのは非常に高い目標でありまして、これを実現していくために、あらゆる施策を投入していくということになっています。もちろん再生可能エネルギーについては、FIT制度11が2012年から施行されていまして、様々な取り組みが行われてきていますが、この取り組みを進めながらも、新しい取り組みもたくさんやっていかなければいけない。その中で、洋上風力発電というのは、2030年、さらにその先を見据えて再エネの導入量を増やしていく上での重要な切り札であるというふうにわれわれも考えていますし、政策上もそのように位置付けて進めてきているところであります。洋上風力を進めていくに当たって、私ども単に再エネを入れていくということだけではなくて、コストも下がっていって、産業のサプライチェーンもできて、そして地域としっかり共生をする形で導入を進めていくということで、再エネを入れながら、さらに経済、あるいは地域の活性化を両立していけるような施策にしていくべきだ、という大きな指針を持っているところです。

2019年の4月に施行された再エネ海域利用法、これが一つ重要な政策ツールになっておりまして、もうすでに皆さんご承知のとおり、第1回目の入札が、長崎県の洋上風力で、浮体式でやったわけですけれども、これは小さいプロジェクトでありました。いよいよ昨年来、入札の審査を進めてきました三つの海域、4区域について、年末に本格的な規模の洋上風力発電施設に対し落札業者が決定したということで、この公表を行ったところです。

そういう意味では再エネ海域利用法についても、最初の大きな実績が出てきまして、これをいかに実行、実現していくのかが次のフェーズでありますし、さらにこれを区域の数を広げていきながら、地元のご理解も得ながら、いかにして進めていくのか。これが次の大きな課題だと思っています。政府全体としては、すでに官民で目標設定をしまして、2030年までに10ギガワットの案件を形成していく、2040年には、これを30~45ギガワットまで増やしていけないかということで、こうした取り組みも、関係者の皆さんとよく頭を擦り合わせながら進めていきたいなと考えているところです。