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20244

ノルウェーの漁業管理から何を学ぶべきか?
割当制度の利点と課題

阿部 景太

ノルウェーの漁業はしばしば漁業管理の模範的な例として挙げられる。資源は守られ、漁業は多くの利益をあげ、漁業者は大きな漁船の上で幸せに漁業をしていると考えられがちだ。こういった話を漁業関係者ならば一度は聞いたことがあるのではないだろうか。その成功は目覚ましいものがあるが、当然ながらノルウェー漁業も完璧ではなく、課題も抱えている。例えば、ノルウェーの大規模な漁業と沿岸の小規模な漁業は対立構造を抱えており、2024年の現在でもその利害を巡って政策変更が議論されている。特に北部を中心とした漁業コミュニティは、漁業の割当制度によって過疎化に拍車がかかったことや、小規模漁業者に対する施策が足りないことに大きな不満を抱えている。また、他国と近く、国際的に共有されている漁業資源が多いノルウェーであるからこそ、国際共同管理がうまくいっている面もあれば成功とは言えない状態にある資源もある。

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