水産振興ONLINE
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2022年5月

座談会 洋上風力発電の動向が気になっている

銚子市漁業協同組合代表理事組合長(全国漁業協同組合連合会副会長) 坂本 雅信 氏
一般社団法人海洋産業研究・振興協会顧問 中原 裕幸 氏
資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 茂木 正 氏
水産庁漁港漁場整備部長 矢花 渉史 氏
一般財団法人東京水産振興会理事 長谷 成人 氏
司会 農林水産政策研究所上席主任研究官 梶脇 利彦 氏

座談会開催の趣旨

長谷(一般財団法人東京水産振興会理事):明けましておめでとうございます。東京水産振興会の長谷でございます。

長谷 成人(東京水産振興会理事)

漁業・水産業は、サケやイカやサンマの不漁をはじめとしまして、すでに地球温暖化ですとか、海水温上昇の影響を受けているということでありますが、考えてみれば、これは水産に限らず、温暖化対策を進めなければいけないというのは人類共通の今世紀最大の課題だと、最近とみに思うようになっています。

2020年秋の菅前総理の「2050年カーボンニュートラル宣言」2以来、わが国におきましても、洋上風力発電が従来にも増して注目を集めています。2040年までに30~45ギガワットの洋上風力の案件を形成するという目標が、昨年10月閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」3にも盛り込まれているところです。この「野心的な目標」を目指すには、2018年に成立した再エネ海域利用法4に基づいて、一般海域を中心に案件形成が進むことになると思います。そうなりますと、洋上風力との相性ということでは、地域によって、また漁業種類によって、それは当然様々ではあるわけですけれども、共存が可能なところでは、漁業振興や地域振興と結び付けて、前向きに取り組むべきだと思っているところです。

図1
図1 日本近海の全海域平均海面水温(年平均)の平年差の推移

注:図の青丸は各年の平年差を、青の太い実線は5年移動平均値を表します。赤の太い実線は長期変化傾向を表します。平年値は1991年〜2020年の30年間の平均値です。
(出典:気象庁HP)

そういう観点で、各地で取り組みが始まっている洋上風力発電の事例に学んで、漁業・漁村の存続につなげるきっかけにしたいとの思いで、コラム連載をしたわけでありますが、コラムを通じて浮かび上がってきた課題への対応などにつきまして、きょうは幅広くご議論いただくために、座談会を企画させていただきました。本日はどうぞよろしくお願いします。

司会:2020年秋の「カーボンニュートラル宣言」を皮切りに、国では一昨年末に矢継ぎ早に「洋上風力産業ビジョン」5や「グリーン成長戦略」6を策定しました。また、2021年には「地域脱炭素ロードマップ」7、そして「骨太の方針」8、秋には「第6次エネルギー基本計画」が決定され、温暖化対策を決める国際会議「COP26」9も開催されております。岸田新総理の下、先の臨時国会ではクリーンエネルギー戦略をつくるとの所信表明10もございました。

脱炭素社会の実現に向けた、ここ数年のエネルギー政策の見直しについて、資源エネルギー庁の茂木部長から俯瞰してお話をいただければ幸いに存じます。よろしくお願いします。